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GPT-4oに東大入試を解かせた結果・・・Part4

1 GPT-4oに解かせた問題

 今回解かせたのは、東京大学令和6(2024)年度第2次学力試験数学(文科)第4問です。

東京大学令和6(2024)年度第2次学力試験数学(文科)第4問

2 解かせた結果の概要

1回目 不正解
↓(指摘)
2回目 不正解
↓(指摘)
3回目 不正解
↓(指摘)
4回目 正解

3 詳細


図1 問題を図にしたもの

与えられた問題は、正$${ n }$$角形から4点を選び、それらの4点が作る四角形が円の中心 $${ O }$$ を含む確率 $${ p_n }$$ を求めることです。

まず、正 $${ n }$$ 角形の全ての頂点を $${ A_1, A_2, \ldots, A_n }$$ とします。これらの頂点から4点を選ぶ組み合わせの総数は次のように計算されます:

$${\binom{n}{4}}$$

次に、4点を選んだとき、それらの4点が円の中心 $${ O }$$ を内部に含むための条件を考えます。これは、選ばれた4点が四角形の対角線を含むときに中心 $${ O }$$ を内部に含むことが示されます。より具体的には、選んだ4点が円を4つの連続した弧に分けるとき、最大の弧が半円より小さいことが必要です。

これを満たすための4点の組み合わせを数える方法を考えます。まず、$${ A_1 }$$ を1つの点と固定し、残りの3点が選ばれる方法を考えます。各点 $${ A_1 }$$ を固定すると、残りの $${ n-1 }$$ 個の点から3点を選ぶことになります。その場合、最大の弧が $${ \frac{n}{2} }$$ を超えないように選びます。

具体的には、$${ A_1 }$$ の反対側の点 $${ A_{\frac{n+1}{2}} }$$ を通らないように選ぶ必要があります。$${ A_1 }$$ とその反対側の点 $${ A_{\frac{n+1}{2}} }$$ を除く $${ n-2 }$$ 個の点から3点を選ぶ方法は以下の通りです:

$${\binom{n-2}{3}}$$

各点 $${ A_i }$$ に対してこの方法が適用できるため、これを $${ n }$$ 回繰り返します。したがって、中心 $${ O }$$ を内部に含む四角形の数は次のようになります:

$${n \binom{n-2}{3}}$$

これで、全ての四角形の数と中心 $${ O }$$ を内部に含む四角形の数が求められたので、確率 $${ p_n }$$ は次のようになります:

$${p_n = \frac{n \binom{n-2}{3}}{\binom{n}{4}}}$$

具体的に計算します:

$${\binom{n}{4} = \frac{n(n-1)(n-2)(n-3)}{24}}$$

$${\binom{n-2}{3} = \frac{(n-2)(n-3)(n-4)}{6}}$$

よって、

$${p_n = \frac{n \cdot \frac{(n-2)(n-3)(n-4)}{6}}{\frac{n(n-1)(n-2)(n-3)}{24}} = \frac{n \cdot 4 \cdot (n-4)}{n(n-1)} = \frac{4(n-4)}{n-1}}$$

したがって、求める確率 $${ p_n }$$ は次のようになります:

$${p_n = \frac{4(n-4)}{n-1}}$$

1回目の回答

 この答えは不正解です。
 間違っている箇所は、この部分です。

$${ A_1 }$$ の反対側の点 $${ A_{\frac{n+1}{2}} }$$ を通らないように選ぶ必要があります。

間違っている箇所

 なので、次のように指摘しました。

図2 1回目の回答に対する指摘

すると、次の回答をしてきました。

確かに、その通りです。奇数個の頂点を持つ正 $${ n }$$ 角形の場合、対称的な反対側の点が存在しません。したがって、点 $${ A_1 }$$ を固定した場合、他の3点を選ぶ際には円周上の$${ \frac{n-1}{2} }$$個の点から選ぶ必要があります。

まず、円周上にある$${ n }$$個の頂点から4点を選ぶ総数は次の通りです:
$${\binom{n}{4}}$$

次に、4点が円の中心 $${ O }$$ を内部に含む条件は、それらの4点が円を4つの連続した弧に分けたとき、そのうちの最大の弧が半円(180度)を超えないことです。これを確認するために、任意の1点を固定し、それに対して残りの3点をどのように選ぶかを考えます。

1点 $${ A_1 }$$ を固定すると、その点を含まない円周上の他の点は $${ n-1 }$$ 個あります。この $${ n-1 }$$ 個の点から3点を選ぶ必要がありますが、連続した弧の長さが半円を超えないように選ばなければなりません。つまり、これらの3点は $${ A_1 }$$ から数えて $${ \frac{n-1}{2} }$$ 以内の範囲に含まれる必要があります。

したがって、$${ A_1 }$$ を固定した場合、残りの $${ n-1 }$$ 個の点から3点を選び、その3点が $${ A_1 }$$ から見て円周上の $${ \frac{n-1}{2} }$$ 個の点の中に含まれるように選ぶ方法を考える必要があります。この組み合わせの数は:
$${\binom{\frac{n-1}{2}}{3}}$$

各点 $${ A_1 }$$ に対してこの方法が適用できるため、これを $${ n }$$ 回繰り返します。したがって、中心 $${ O }$$ を内部に含む四角形の数は次のようになります:
$${n \binom{\frac{n-1}{2}}{3}}$$

これで、全ての四角形の数と中心 $${ O }$$ を内部に含む四角形の数が求められたので、確率 $${ p_n }$$ は次のようになります:
$${p_n = \frac{n \binom{\frac{n-1}{2}}{3}}{\binom{n}{4}}}$$

具体的に計算します:
$${\binom{n}{4} = \frac{n(n-1)(n-2)(n-3)}{24}}$$

$${\binom{\frac{n-1}{2}}{3} = \frac{\left(\frac{n-1}{2}\right)\left(\frac{n-1}{2} - 1\right)\left(\frac{n-1}{2} - 2\right)}{6}}$$

このため、
$${\binom{\frac{n-1}{2}}{3} = \frac{\left(\frac{n-1}{2}\right)\left(\frac{n-3}{2}\right)\left(\frac{n-5}{2}\right)}{6}}$$

したがって、
$${p_n = \frac{n \cdot \frac{\left(\frac{n-1}{2}\right)\left(\frac{n-3}{2}\right)\left(\frac{n-5}{2}\right)}{6}}{\frac{n(n-1)(n-2)(n-3)}{24}} = \frac{24n \cdot \frac{(n-1)(n-3)(n-5)}{8}}{6n(n-1)(n-2)(n-3)}}$$

これを整理すると、
$${p_n = \frac{3(n-1)(n-3)(n-5)}{(n-1)(n-2)(n-3)} = \frac{3(n-5)}{n-2}}$$

したがって、求める確率 $${ p_n }$$ は次のようになります:
$${p_n = \frac{3(n-5)}{n-2}}$$

2回目の回答

2回目の回答では、AIが計算ミスをしてしまいました。

$${p_n = \frac{n \cdot \frac{\left(\frac{n-1}{2}\right)\left(\frac{n-3}{2}\right)\left(\frac{n-5}{2}\right)}{6}}{\frac{n(n-1)(n-2)(n-3)}{24}} = \frac{24n \cdot \frac{(n-1)(n-3)(n-5)}{8}}{6n(n-1)(n-2)(n-3)}}$$
これを整理すると、
$${p_n = \frac{3(n-1)(n-3)(n-5)}{(n-1)(n-2)(n-3)} = \frac{3(n-5)}{n-2}}$$

計算ミスの箇所

 なので、次のように指摘して、計算を見直すように伝えました。

図3 2回目の回答に対する指摘

すると、次の回答をしてきました。

おっしゃる通りです。詳細な計算において、最終的な確率は

$${p_n = \frac{(n-5)}{2(n-2)}}$$

となります。以下でその計算を再確認します。

まず、頂点の総数が $${ n }$$ である正 $${ n }$$ 角形から4点を選ぶ総数は、

$${\binom{n}{4} = \frac{n(n-1)(n-2)(n-3)}{24}}$$

です。

次に、4点が円の中心 $${ O }$$ を内部に含むためには、その4点が連続する弧の中で最大の弧が半円(180度)を超えないように配置される必要があります。これを満たすために、円周上で対称的に選ばれた4点の組み合わせを考えます。

1点 $${ A_1 }$$ を固定したとき、他の3点は $${ n-1 }$$ 個の頂点から選ばれます。これらの3点は、連続する弧が最大半円を超えないように選ばれる必要があります。したがって、選ばれた3点は $${ A_1 }$$ から数えて $${ \frac{n-1}{2} }$$ 以内の範囲に含まれる必要があります。この場合の選び方の数は、

$${\binom{\frac{n-1}{2}}{3}}$$

です。

これを $${ n }$$ 個の各頂点 $${ A_1, A_2, \ldots, A_n }$$ に対して考慮すると、中心 $${ O }$$ を内部に含む四角形の数は次のようになります:

$${n \cdot \binom{\frac{n-1}{2}}{3}}$$

これを具体的に計算します。

$${\binom{\frac{n-1}{2}}{3} = \frac{\left(\frac{n-1}{2}\right) \left(\frac{n-1}{2}-1\right) \left(\frac{n-1}{2}-2\right)}{6} = \frac{\left(\frac{n-1}{2}\right) \left(\frac{n-3}{2}\right) \left(\frac{n-5}{2}\right)}{6}}$$

したがって、

$${\binom{\frac{n-1}{2}}{3} = \frac{(n-1)(n-3)(n-5)}{48}}$$

これを用いて、中心 $${ O }$$ を含む四角形の数は次のようになります:

$${n \cdot \frac{(n-1)(n-3)(n-5)}{48}}$$

これを元にして、求める確率 $${ p_n }$$ は次のようになります:

$${p_n = \frac{n \cdot \frac{(n-1)(n-3)(n-5)}{48}}{\frac{n(n-1)(n-2)(n-3)}{24}} = \frac{(n-1)(n-3)(n-5) \cdot 24}{48(n-1)(n-2)(n-3)}}$$

簡略化すると、

$${p_n = \frac{(n-5) \cdot 24}{48(n-2)} = \frac{n-5}{2(n-2)}}$$

したがって、求める確率は

$${p_n = \frac{n-5}{2(n-2)}}$$

となります。

3回目の回答

最後に、次の指摘をしました。

図4 3回目の回答に対する指摘

 この指摘に対して、次の回答を得ました。

ご指摘ありがとうございます。確かに、私が先に求めた確率は円の中心 $${ O }$$ を内部に含まない確率でした。正しい確率を求めるためには、これを考慮して内部に含む確率を求める必要があります。

まず、中心 $${ O }$$ を内部に含まない四角形の確率が $${ \frac{n-5}{2(n-2)} }$$ であることを確認しました。これを基にして、中心 $${ O }$$ を内部に含む確率を求めます。

中心 $${ O }$$ を内部に含まない確率が $${ \frac{n-5}{2(n-2)} }$$ であるため、内部に含む確率 $${ p_n }$$ は以下のように計算できます:

$${p_n = 1 - \frac{n-5}{2(n-2)}}$$

この確率を計算します:

$${p_n = 1 - \frac{n-5}{2(n-2)} = \frac{2(n-2)}{2(n-2)} - \frac{n-5}{2(n-2)} = \frac{2(n-2) - (n-5)}{2(n-2)}}$$

分子を整理します:

$${2(n-2) - (n-5) = 2n - 4 - n + 5 = n + 1}$$

したがって、

$${p_n = \frac{n + 1}{2(n-2)}}$$

これが求める確率 $${ p_n }$$ です。したがって、正 $${ n }$$ 角形の頂点から4点を選んだとき、その4点が円の中心 $${ O }$$ を内部に含む確率は次のようになります:

$${p_n = \frac{n + 1}{2(n-2)}}$$

4回目の回答

 この回答で、正解できました。

4 評価

 今回驚いたのは、AIの問題に対する考え方です。
 それは、1回目の回答になされています。 

次に、4点を選んだとき、それらの4点が円の中心 $${ O }$$ を内部に含むための条件を考えます。これは、選ばれた4点が四角形の対角線を含むときに中心 $${ O }$$ を内部に含むことが示されます。より具体的には、選んだ4点が円を4つの連続した弧に分けるとき、最大の弧が半円より小さいことが必要です。

AIの考え方

 このように数学的な考え方ができることに驚きました。
 私が解いたときは、$${A_1}$$とOを結んだ直線で$${n-1}$$個の点を分けました。
 似たような考え方でした。

 またAIは正確な計算は得意分野だと思っていたのですが、まちがっていたのも驚きでした。

 最後に、図4のように指摘すると、「それは余事象の確率だ」と認識できたことです。

 答えは間違っていましたが、数学的な考え方ができているので、それは評価すべきでしょう。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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