ぼくのお日さまを見てきた

ずっと楽しみにしていた作品、ようやく見に行けた。
普段はTOHO系列みたいな大きなスクリーンでしか映画を見ないから、小さい劇場で小さいスクリーンを少ない人数で見るというのがまず新鮮だった。

この映画で特に印象的だったのが映像の美しさ。
雪の儚さと恋の儚さをこれほど綺麗な切り取り方ができるのかと感動してしまった。
私の住む地域では滅多に雪は降らないので、目に入る景色の全てが美しくて、魅力的で、それだけでこの映画を一生見ていたいとさえ思えた。
そしてその世界をより魅力的にする音楽。

主演のお二人の演技がとにかく初々しくてみずみずしいのがこの映画の質感にピッタリで、まっすぐに素直に恋をしている2人が羨ましくなった。
その2人をしっかりと見守って支える池松壮亮さん、登場シーンは少ないながらも印象深かった若葉竜也さんも良かった。
全体的にセリフが少ないけど、ちょっとした表情の変化や画角で彼らの感情の機微が伝わってくる。


お気に入りのシーンの話。

荒川コーチがスケートリンクに佇むタクヤに夢中で、さくらが眼中に入っていない。それに気づくさくら。自分への指導よりもタクヤと一緒にいる時の方がなんだか楽しそうだと思ってしまう。そして偶然コーチが恋人と一緒にいるのを目撃してしまう。
嫉妬と失恋の悲しさと悔しさが同居していたさくらの心情が、彼女の表情を見ていてずっと痛いほど伝わってくる。切なかった。

凍った湖で3人で踊るシーン。思春期なのも、さくらの複雑な心境もあって少しギクシャクしていたような彼らが、楽しそうに時間も寒さも忘れて踊っている。これほどに幸せな時間があるだろうか。

雪が溶けるまでのたった数ヶ月という刹那で恋をして、失恋をして、成長して、新たに踏み出していく。そんな濃密な時間を、この先もずっとどこかで思い出してしまうんだろうな。

すごく良い映画を見られて幸せだ。



半分くらいフェチの話になりますが、ベランダでタバコの回し吸いをするシーンも好きでした。

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