見出し画像

有給休暇の基礎

有給休暇、皆さんちゃんと取ってるのかな、と不思議に思うことがよくある。
自分たちオタクに取っては生命線にもなりうる。
有給が取れないことでライブや遠征を諦めた苦い思い出を持っている人もいるだろう。

働き方改革関連法案が決まり、いよいよ4月からその法案が順次展開されていく。
細かいことはこちらを見て欲しい。

働き方改革関連法案とは

(同業他社の記事だが、分かりやすく発信しているので有効活用させてもらう)
さて、そんな中で一番身近で大きいのは有給休暇取得の義務化ではないだろうか?
そんな有給休暇について基本をおさらいして、労働者として当然の権利を主張してほしい。

労働基準法を知っているか

労働基準法、聞いたことはあってもちゃんと目を通した人はどれだけいるだろうか。
ちなみに昔は法律調べようと思うと、各法単位の本を買うか、六法全書を買っておくかだったが、今は電子化されて最新のものがいつでもWebで確認できるようになっている。

e-Gov

さて読みとくのも書き方も少々専門的なのでひと読みしただけでは理解するのは難しいと思う。
なので次の項で説明する。

労働基準法第39条(年次有給休暇)

今回は有給についてなので、ページ左下の目次リストから第39条を選んでみよう。
やたらと8項あるのでやたら長いが、基本はこう書いてあるはずだ。

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

まずは、6ヶ月間働いた時点で、シフトや雇用契約で結んだ所定労働日数に対し、8割以上出勤していれば有給休暇は全員に付与される。これにアルバイトや正社員、派遣などの括りは関係ない。労働者(雇われる側)は全員貰える権利だ。
ただ、出勤を日頃からサボるような奴はもちろん貰えない。
週5で契約してるのに週3しか出て来なければ当然貰えない。

もし半年休まず勤めていて、有給休暇を付与されないならそれは違法行為だ。これの基準と対処法については後ほど述べる。

ちなみに半年経過後付与、といってもその間休めば欠勤になってしまう。
そこで、会社によっては入社直後に付与する事があるが、これは就業規則に定めていれば与えられる。
労働基準法の法定付与日より前倒しなので何ら問題はないが半年後の付与を前倒ししているだけなので、一年半経過するまでは付与されない。

どう判断すればいいの?

色々端折って説明したので、前述では判断出来ないと思う。
エンジニアらしく、ちょっとした処理プロセスでの書き方をしてみようと思ったが、文章がアホみたいに長くなりそうだったのと、一般の人には記事の可読性が落ちるのでやめておく。

まずは、以下のものを揃えよう。

1.雇用契約書、または労働条件の明示書類
雇用契約書はない可能性がある。これ自体は違法ではない。
しかし、労働条件の明示は必須である。
それは書面で交わさなければならない、というのが労働契約法第4条
だ。
ん?労働契約法?と気付いたあなた、素晴らしい。
労働法と呼ばれるものは数十種類に分かれている。
労働基準法だけでは足りないのだ。
本題に戻るが、もし覚えがない、ということであれば本社の人事部に問い合わせよう。
まぁ大体は雇用契約書を用意している会社がほとんどだが。
返却を求められるならコピーを取っておこう
ちなみに雇用形態に変更がある場合は、都度発行しなければならないが、時給UPなど賃金項目の一部変更などは、通知書など簡単な書面で構わない。

2.実労働日数を把握出来る書類
給与明細に実労働日数や時間が書かれていると思う。
基本はそれで構わない。
あとはタイムカードが有効だ。勤怠システムなどを導入していればPCから印刷も出来る。

3.就業規則
就業規則は従業員なら誰でも見れるようにしておく必要がある
こちらも労働基準法第15条で定められている。
もし就業規則なんて見たことないんだけど!と言う人は同じく人事に問い合わせよう。
よくあるのがバイトの子が店長に聞いたら自分も見たことがない、という話だ。
何もおかしくはない、店長クラスも雇われだ、労働基準法を知らないことはよくある。
店長が知らず、エリア営業が出すのを断ったりすれば、それは労働基準法に違反しているので、人事や内部統制にいえば、その営業は軽い懲戒処分になりかねない。

さて、この3つが揃ったら自分の有給休暇付与を特定出来る。
というか大体の労働問題の時に活用できるので、あったら百利あって一害なしだ。
自分を守る武器になる。

計算の仕方だが、雇用契約に定める日数を6ヶ月分まず何日か出してみよう。
次に実際の出勤日数を数えてみよう。
そして、出勤日数÷契約日数で計算して、0.8以上なら取得の権利は保証された。

もちろん1日も休んでない!という人が居て、週5勤務なら無条件で半年後10日分の有給付与対象だ。
シフト勤務の人など週間日数が4日以下や一定でない人は年間の勤務日数で付与日数が変わるのでこちらを見るといい。真ん中らへんにある。

https://roudou-pro.com/columns/46/

1.5年後、2.5年後…6.5年後まで付与日数は毎年上昇し続け、6.5年後以降は付与日数は固定される。

条件満たしているのに有給休暇が貰えない!?

さて、有給が貰えないケース、先ほどの計算が間違っていなければ何かがおかしい。
雇用契約が使用者(経営に直結する立場)ならもちろんその限りじゃない、が、そんな人達が労働基準法も知らなければその会社は即刻畳んだほうがいい。
さて、労働者で、ちゃんと出勤しているのに、懲戒処分も受けてないのに貰えない人、先程の3つを持って労基署へすぐ駆け込もう
ちなみに労基署には管轄がある。
本社の所在地を確認し、その地域を管轄している労基署に駆け込むのが手っ取り早いが、本社が東京にあって全国チェーンで、地方なので行くのが厳しい…という場合もあるだろう。
その場合は最寄りの労基署で構わない。
あちらはプロだ、なぜ貰えないかの原因をそれを見て理解してくれる。
ちなみに労基署が会社に入るとどうなるか
是正勧告を受けると、就業規則の見直しなどはされるので、労働者にとっては待遇が最低限のラインまで改善される
あくまで最低限のラインまで、だ。
ちなみに賃金に関しては長くなるので割愛するが、賃金の5原則、という言葉を知っておいてほしい。そちらは所轄が税務署に移る場合がある。
税務署が入る、というのは映画「マルサの女」を見ていただければ面白く分かると思う。
そこで税務調査が入れば、最悪倒産もあり得るだろう。
職場がなくなると困る!という人は労基署やハローワークに申請すれば次の職が見つかるまで、収入は減るが失業保険を貰って生活できる。大体6割だ
次の職場を探す際に、前職が倒産した理由として事の顛末を話せば、ブラックな会社は、自社をそういう目で見られては困るから危機感を抱いて入れないし、ホワイトな会社は法令遵守意識の高い人、と思い迎え入れてくれやすい。

さて、大きく脱線してしまったが後にも先にも有給休暇はちゃんと働いている人には付与される当然の権利だ。
もう少しだけ付き合ってほしい、取得についてお話ししたい。

有給休暇の取得、取るために必要な事

有給休暇取得、大体は申請書がある。
申請書がなければ口頭でも構わないが、欠勤など不利益な扱いにされないよう注意が必要だ。
ちなみに有給休暇は原則、労働者の自由だ。
会社側が拒む事は出来ないし、理由も本来問うてはならない。言う必要もない。あくまでコミュニケーションで使うだけだ。

ただし例外はあるのでここだけ覚えておいてほしい。
事業に多大な影響を与える日の休暇取得は断れる。
そう、これも39条にあるが会社都合で断ることは可能だ。正当な理由があれば。
例えば官公庁への届出書類があるとしよう、それを期日までに提出しなければ操業停止に陥る、そんな状況で代理要員が立てられない立場のあなたが休むと会社は大きな痛手を負うことになる。
これは正当な理由だ。
こんな分かりやすい例はともかくとして、飲食などの店舗はどうだろう。
2〜3人で回している店舗があるとしよう、そのうち2人しか入らない日があり、あなたが休むともう1人が開店から閉店までやらないと店を開けていられない。
そんな状況じゃ休みなんて取れるわけがない。
そんな場合はまずは管理者に相談だ、いつなら取れるのか、と。
有給休暇は事前申告が基本なので、休みたいと言えば取らせてあげるのが当たり前の権利。
そもそもそんなカツカツの人数でカバーできる体制を整えずに営業している方が杜撰なのである。
大体そういう場合、他店や元締の営業所から応援を呼ぶことで解決する。そのような工夫が会社側には必要なのだ。
相手が相談をした時恫喝してくるような人柄なら、ボイスレコーダーを立ち上げておこう。
また、約束を守らない人なら書面で残そう

働き方改革関連法案で何が変わるのか

ちなみに、働き方改革改革関連法案で、最低5日以上の有給休暇取得を義務化する、という話は、年間付与日数が10日を超える人が対象だ。
しかし、就業規則を単純に変更し、今まで休みだった日を労働日にして、休みたければそこで有給を使え、というのは労働者にとって不利な変更となる。
そこは、不利益変更(雇用中の労働者にとって都合の悪い改変)となり、無効化されることや是正勧告の対象
となる。

さいごに

自分の身は自分で守る、自分の職場は自分で守る。
日本は法治国家だ。
法によって権利は守られているし、それに応じて義務もある。
会社はさまざまな法律を元に就業規則が定められている。
しかしながら、小さい会社の経営層や、ほぼ派遣や外部委託頼みになっている大手企業の人事、会計の社員がこの辺りのことを知らない、なんて話もたまに聞く
なので、自分で学ぶしか自分を守ることは出来ないと思っていた方が損をしなくて済むのだ、と思っている。

2019.02.17


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?