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【イベントレポート第2弾 矢野智美さん】「秋田の外から来た人間ができること」

12月8日に行われたイベントCulture driven Management「秋田にいること、秋田から作ること」今回は後編です!

後半の記事では矢野智美さんのパネルディスカッション、そして懇親会の模様をご紹介します!

■矢野智美(秋田ことづくり代表取締役社長)
東京都出身。お茶の水女子大学卒業後、野村総合研究所で金融機関むけITソリューションの法人営業等に従事し、グロービス経営大学院にてMBAを取得。2015年、秋田県が主催するドチャベンにて金賞を受賞。その後秋田県横手市で「株式会社秋田ことづくり」を創設。秋田の旬の果物と日本酒のマリアージュ「Fruitreat」によってビジネスパーソンが「自分と向き合う時間」を演出する事業を展開中。秋田の素晴らしい「ものづくり」を、”魅せる” ”伝える”ための「ことづくり」企業として、秋田の最前線を走る。
http://www.akitakotodukuri.com/

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Culture driven managementとは「文化を中心に据えた経営」のことです。

当イベントでは、ゲストに高橋泰さんと、矢野智美さん(株式会社秋田ことづくり代表取締役)をお迎えし、トークセッションを開催しました。

『東北にいるから世界を目指せる「こと」がある。この風土、環境だからつくれる「もの」がある。』をテーマに、その可能性を追求しているお二人の考えや経験をお話ししていただき、参加者の皆さんと一緒に、東北だから、秋田だからこそ出来る「もの」「こと」を考え、ひとりひとりが「自分でも出来る!」と挑戦を開始してもらえるような日を目指しました。

イベントページ
https://www.facebook.com/events/545127762351614/?active_tab=about

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------矢野さん自身についてのこれまでの経歴等を教えてください。

 2016年の夏に秋田に移住して、「株式会社秋田ことづくり」を起業しました。東京生まれ東京育ちですが、両親と祖母の家は秋田にあるというルーツを持っています。 
 実は1年前までは、起業など微塵も考えたことがありませんでした。転機は、前職に就いて7,8年たった時に通ったビジネススクール(MBA)です。そこでは、ビジネスの勉強だけでなく、自分がこれからどうなりたいのか、どうしていきたいのかという、そこで得たスキルをどう生かしていくべきかということを日々考えさせられました。
 秋田に移住するきっかけとなったのは、MBAを学んでいる時期と同時期に大好きな祖母が亡くなったからです。秋田の葬式で親戚が、「秋田は好きだし戻りたいけど、仕事がないから帰れない」と言う姿を見て、「そうなんだろうか、仕事って自分で作るものなんじゃないのかな」と思いました。とはいえ、自分が安全地帯で声だけを上げている状態が嫌だと感じて秋田への思いが再燃し、それまで勤めていた野村総研をやめ、*ドチャベンにエントリ―したところ金賞を頂き、そのプランをもとに起業しました。

*ドチャベン・・・「土着ベンチャー」の略。秋田県が主催する地域に根差したベンチャーや起業家のための事業創出プログラムの事。

公式HP:http://www.dochaben.jp/

―― 最高決定権を持つキャリア(経営者)において、今までどんなことに意識してきましたか、そしてこれから何を意識していきたいですか? 
 秋田の外から来た人間のできることは、スピードで違いを見せることだと思います。地域の事を考えて丁寧に行っていくことももちろん重要だとは思いますが、時間が経つにつれ協力者も次第に減っていくので、事業には、スピードが命だと考えています。大企業で半年から1年かかっていたことを、1,2日で決定しています。
 普段やり取りをしている農家さんや蔵人の方の作業を早めるという意味では難しいですが、折り合いをつけながらどうスピードが上がるかを意識してやっています。

------ローカル発のビジネスをしていくうえでファンを獲得していくという知見に立つことがこれから大事になっていくと思います。ローカル発として共感してくれる人は秋田に留まらず日本、世界に多くいると思います。そこで全国、世界と勝負するときに意識していること、感じていることなどはあるのでしょうか。
 
「Fruitreat」のターゲットはあくせく働くビジネスパーソンで、自分と向き合う時間をきちんと作れていない人です。これは普遍的なテーマだと思っています。そんな人に旬の果物とお酒が届くことで、自分を慈しみ、自分自身を振り返ってもらいたいという思いでいます。  
 また、セットの中に3枚のメッセージカードを封入しています。1枚目は果物のこと、2枚目は日本酒のこと、3枚目はそれらをマリアージュする事を書いています。日本酒や果物の基本情報に加え、どんな思いで農家さんが作っているのか、送っているのかということにフォーカスしています。また、そういったストーリーは雪深い寒い地方で生まれやすいと感じています。それを東京から移住してきた人間の視点を入れることでファンに響くのではないかと思っています。

------こんな人と仕事したい、コラボしたいというのはあるのでしょうか 
 高橋泰さんの答えと近いなと思っていて、圧倒的に当事者意識がある方と組みたいですね。あるブドウ農家さんからお話を聞く機会があったのですが、彼は雪害のことを天災じゃなくて人災だというんですよ。ひどい雪害でも、雪は毎年降るものなんだから多いか少ないかはあるにしろそれなりの対策は行うことができるのだとおっしゃっていました。クレイジーだなと思うじゃないですか。だけれども、それぐらい「自分がやらなければならない」という当事者意識を強く持てる方と組みたいですね。

以下からは参加者との質疑応答です。

Q.東京から秋田に来た時に何を魅力に感じましたか?
 
30歳のタイミングで帰った時に思ったのは「ご飯がおいしい」「景色が絶景」の2点でしたね。
 月並かもしれませんが、私のような、よそ者から見たときに地元のひとが何もないと思っているものはとてもキラキラしています。

Q.高橋泰さんが進化には滅びが必要だとおっしゃっていましたが、自身の滅びの経験、滅びを見た経験はありますか? 
 自分が社会に出て時がたち、楽になってきたとき、安全地帯で働く状態が危険だと感じました。成長がないとき、立ち止まっているときに滅びが一番加速するのではないでしょうか。
 今は農業など自分が全くわからないことに携わり、様々な経験、失敗をしています。そのため以前に比べ自分自身の成長の加速度は格段に上がっていると思います。

Q.事業をやっていくうえでの、攻めと守りのバランスを教えてください。 
 商品の見せ方において秋田らしさをどれだけ崩すか崩さないかという観点では、あまり意識はしていません。魅力のある素材を使っていると思っているので、おそらく秋田の良さは自然とにじみ出るものだと思います。
 人を巻き込んで事業を創っていくという観点では、相手のところに行くことを大事にしています。居るであろう時間に畑に行ったり、蔵に行ったり、生活の中に入っていきます。そこはタイミングが大事なので相手に合わせつつ、行った先で話はズバズバと聞いたりしていますね。

Q.これから先、秋田はどういう場所になっていくと思いますか?
 ビジネスチャンスがもっともっと増えてくると思います。東京だとプレイヤーが多く、打席に立つ機会が少ないことが多いですが、秋田だと、解決すべき課題がたくさんあり、手を挙げればやらせてもらえるんです。
 移住する人には、簡単に住めない土地なので人の数は確かに少なくなると思います。しかしその分敢えてその土地を選んで何かを企てようという「変態」が増えてもっともっと面白くなるのではないでしょうか。

Q. 経営するうえで大事にしていることを教えてください。
 決めることですね、それもスピーディに。自分で決められることははじめはうれしかったんですが、だんだんつらくなってきました。しかし決めることができないと、業績も落ちていきます。失敗してもいいから、どんどん決めて、よりアクションすべきだと思います。

以下からは懇親会の様子を少しご紹介します!

まずは、高橋泰さん、矢野さんがプロデュースされている商品をご紹介します。

【YAMAMO VACATION SET】

高橋泰さん自らがデザインしパッケージした醤油、味噌セットです!

【Fruitreat】

旬なフルーツを日本酒と味わう「フルートリート」。今回は洋ナシ、リンゴと一緒にいただきました!

【懇親会の様子】

以下からは当日の懇親会の様子です。

時間の許す限り、みなさん秋田に関わる話、お互いの事業の話など、興味深いアツい話に花を咲かせていました!

編集後記
 
秋田にいること、秋田から作ることが今回のテーマでしたが、今回の矢野さんは「秋田にいなかったから」気づけた視点、秋田に住んでいる人にとってはとても斬新な視点を有効活用されていました。人口流出が目まぐるしい秋田だからこそ、「変態」が集う。これからの秋田にぴったりな表現だと思います。(アシスタント玉井)

   

 

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