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〈マドンナベリー文庫〉創刊第一弾『自己啓発少女と俺の夢を叶えるAV撮影』配信開始です。

二見書房……もとい、マドンナ社から〈マドンナベリー文庫〉という官能小説……ライト官能文芸のレーベルが創刊されました。

夜ノ杜零司×ひげた『自己啓発少女と俺の夢を叶えるAV撮影』

■夜ノ杜零司『自己啓発少女と俺の夢を叶えるAV撮影』

第一弾は夜ノ杜零司さん『自己啓発少女と俺の夢を叶えるAV撮影』です。
イラストレーションはひげたさんにお願いいたしました。

企画編集をパノラマ観光公社ゆずはらとしゆき、ブックデザインをヨーヨーラランデーズさんが担当しております。

『自己啓発少女と俺の夢を叶えるAV撮影』広告

あらすじはこういう感じですね。
氷河期世代向け官能小説の最前衛として、宇宙の大いなる意志に導かれた男が女子高生ハメ撮り……究極にして至高のインディーズアダルトビデオを撮影すべく、自己啓発系女子高生、バリキャリ熟女、謎のランドセル少女を巻き込みつつ、怒涛のジェットストリームアタックなエロスの饗宴が繰り広げられます。
あらすじにランドセルと書いたら怒られたのですが、極めて一般向けのエンタテインメントで喜劇的想像力の官能小説になっております。

そして、10月19日からDMMブックスで先行配信(実験販売)24日からBOOK☆WALKERKindleなど各電子書籍ストアで順次配信開始です。
(Amazonも29日から配信開始いたしました)

いや、19日以前からFANZAでは〈マドンナメイトeブックス〉と同時に配信されていたんですが、実は〈マドンナベリー文庫〉だけ「R-18」扱いではなかったらしく、置く場所(URL)が間違っていたらしいので、改めてDMMブックスで正式に配信となりました。
……ていうか、〈マドンナベリー文庫〉は官能小説レーベルなのに、流通ラインは非18禁だったのか。(企画した本人が驚いている)

詳しくは、巻末解説の「編者解説――〈マドンナベリー文庫〉創刊にあたって。」を参照していただければ幸いです!

■「ところで、紙の本はないのかね?」

……はい、〈マドンナベリー文庫〉は電子書籍専門レーベルなのです。

創刊広告

そして、こういう感じの創刊広告なので「なんだこりゃ?」と思うかも知れませんが、見ての通りすごく実験的なレーベルで、現時点では官能小説プロパーの作家さんもいない(!)ので、レーベル公式ブログなどはありません。
ただ、どっかで新刊の詳しい内容を告知しないとまずいので、とりあえずはこのnoteに書いていく予定です。

なので、しばらくは「非公式ブログ」みたいな感じになりそうですが、非公式なので、版元公式の見解ではありませんし、公式が整備されればそっちに任せます。

■〈新しき官能小説と文藝の実験室〉とは?

……でもって、〈新しき官能小説と文藝の実験室〉と銘打っておりますが、これは手元にあったいくつかの企画プロットを眺めていて、「これをジュブナイルポルノや官能ライトノベルで括ったら、むしろ怒られそうだな……」と思ったので、〈ライト官能文芸〉なる惹句をでっち上げました。

もっとも、実際のところは〈官能小説〉であるマドンナメイト文庫からの派生レーベルで、たまたま執筆陣にゼロ年代のライト文芸方面の作家さんが多くなって、同窓会っぽくなったので(ゆずはらもゼロ年代にデビューした作家なので、当然そうなる)、そういう名前にしただけですね。

なので、本当の動機は「現在進行形の成年向けマンガのような小説を書けるレーベルがないから作ろうか」です。
『快楽天』とか『アンスリウム』とか、あのへんのああいう感じの青年誌っぽいエロマンガの雰囲気を小説に導入したいな、というのが、企画の発端でした。
せっかく書くんだったら、属性とプレイ内容だけでなく、ヒロインのキャラクター性も掘り下げたいな、とかなんとか考えつつ。

■ゼロ年代の亡霊がやってきた?

ぼくが昔、書いていた講談社BOXという幻のレーベルも、セックスやバイオレンスの倫理基準は『ヤングマガジン』……青年マンガ誌と同じに設定されていましたので、そういうゼロ年代の小説群と地続きだと思っていただいても良いです。
気がついたら、ああいう楽しい空騒ぎみたいな小説がめっきり少なくなったから作ってみた、というのもありますので。
「ヤンマガ基準だと壮絶に治安悪くないか?」と言うツッコミもありそうですが、90年代の安達哲先生とすぎむらしんいち先生と望月峯太郎先生の連載と鈴木紗理奈の水着グラビアがあった頃のヤンマガですので……。

そして、倫理基準を青年マンガ誌にしてライトノベルっぽいものを作ると、必ず美少女ゲームとかが紛れ込んで、ファウストや講談社BOXや創刊当時のガガガ文庫みたいなゼロ年代風味のアレが出来上がってしまうのです。
というか、ぼく(ゆずはら)はすべて執筆陣で関与していたので、犯人のひとりでもあるんですが……。

なんでそんなことになっていたのかというと、ゼロ年代以前の美少女ゲームはアンダーグラウンドだったので、当時のライトノベルの「良い子」っぽさへのカウンター的に売れていた側面もあるんですが、普通のライトノベルの倫理基準はかれこれ35年くらい、ずっと『週刊少年サンデー』なのですよ。
何故か『週刊少年ジャンプ』にはならないので、正しくエログロバイオレンスで突き抜けられないのが哀しいところですが、ゼロ年代にはその物足りなさを補填しようとする勢力もいたのです。
いまはそのへんどうなっているのか、よく分からないんですが。

何はともあれ、創刊広告のラインナップでゼロ年代云々というツッコミは来るだろうから、そのへんは先に言及しておきます。
ゼロ年代に灰色の青春を送ったひとたちも、そろそろいい歳のおじさんですからね。
ただ、釘を刺しておかないといかんこともありまして……。

■〈二見ブルーベリー〉なんてのもありました。

思い起こすと20年前、二見書房……マドンナ社は〈二見ブルーベリー〉というレーベルを一年ほどやっていて、ぼくも途中まで執筆陣の一人ではあったんですが(編集者ではありません)、今回の〈マドンナベリー文庫〉は、あのレーベルの方向性とはまったく正反対なのですよ。
あっちは「萌え」「非モテ」のジュブナイルポルノ系でしたが、20年経てばどんなブームも衰退するものですから……。

昔のムーブメントのままでレーベルを復活させるはずもないので、かつての方向性を期待されても困ってしまう、というか、できれば〈二見ブルーベリー〉とは完全に別物だと思ってください。

まあ、レーベル名だけ見ると、如何にも〈二見ブルーベリー〉と関係があるっぽいんですけど……系譜として強調すると、〈二見ブルーベリー〉を作っていたひとから文句を言われそうですので……。

夜ノ杜零司さんの古い友人の滝本竜彦さんもこう書いてくれたんですが、やっぱり一線を画しておかないと、これから新しいレーベルを作っていくにあたってまずいのかな、と思いまして。
20年経ったら、ゼロ年代の暗黒面だった「非モテ」ブームも、より先鋭的な「インセル」になってしまったので、再び憎しみ燃やし火を放つのはまずかろうと……。

でも、「日本が世界に誇る官能小説というジャンルを復興する」というフレーズはちょっと面白いですね。海外の官能小説市場って、日本の官能小説文庫レーベルの最盛期と比べてどんな感じだったんだろう?
日本の官能小説文庫レーベルは20年くらい前まで、JRのKIOSKでも買うことができたので。だからと言ってジュブナイルポルノもKIOSKで売るのは、とても気まずかったですが……(さすがにすぐ止めました)。

昭和の頃……それこそ文庫以前は、フランス書院さんが四六判のハードカバーで海外官能小説の翻訳本を出していたこともあるんですよね。翻訳陣も山下諭一さんとか小鷹信光さんとか、『マンハント』あたりからの流れで……。

そういえば、企画時での仮レーベル名は〈マドンナ〉〈ベリー〉もなかったんですよ。官能小説っぽくないので〈マドンナベリー文庫〉に落ち着きましたが。

■どうして〈マドンナベリー文庫〉?

そして、マドンナメイト文庫も創刊から38年が経過しているので、〈官能小説〉全体が高齢化していて、コア読者層の平均年齢が還暦を越えているようなので(!)、もう少し対象年齢を下げたレーベルを試したい、属性とプレイ内容だけではない〈キャラクター小説〉の可能性も試したい、というマドンナメイト側の要望もありました。

もともと、ぼくは15年くらい前から、年齢相応の等身大というか『黄昏流星群』っぽい熟年エロ話を書きたいと思っていたのですが、周りの編集さんに話すたびに正気を疑われていました
業界のひとびとはだいたい弘兼憲史作品が蛇蝎の如く嫌いなので、まず喩えが悪いんですが。
だったら、官能小説で書くかと思って企画プロットをマドンナメイト文庫に持ち込んだら「これはマドンナメイト文庫では出せないから、新レーベルを作ってくれないか」と言われたのですね。
……何故そうなる?

もっとも、さすがに野村沙知代みたいなハードコア熟女を書きたいわけではないし、弘兼憲史先生のように写真集『Stay Young Forever』を買う意欲もありませんから、竿役……主人公の年齢は氷河期世代の40代にして、ヒロインの年齢もかなり若くして『剣客商売』風おっさんドリームファンタジーにするか、と思っていたんですが、それでも既存の〈官能小説〉に比べると対象年齢層がかなり若くなるため、ジャンル的にはかなりの冒険になるようです。

■改めて〈新しき官能小説と文藝の実験室〉とは?

ようは、〈新しき官能小説と文藝の実験室〉とはそういうことでして、ゼロ年代の文芸ムーブメントも終わって、そのまま歳を取った氷河期世代のおじさんが読む青年マンガっぽい小説も少ないから作ってみようか、という基本コンセプトです。

あくまで〈官能小説〉であるマドンナメイト文庫の派生レーベルなので、現代劇専門ということになっていますが。
隔月刊のセレクション的なレーベルに「剣と魔法のファンタジー」とかを入れるとジャンルがとっ散らかってしまって、わけが分からなくなりそうだったので。

とはいえ、マドンナメイト文庫は子供の頃、友成純一さんの『獣儀式』をリアルタイムで読んでいて、最近も綿引海さんの『はいから姉妹 地下の拷問部屋』とか、正気の沙汰とは思えない凄い作品がありますので、別に現代劇縛りでなくてもいいのかな、とは思ったんですが、マドンナ社の担当さんが「そこには触れてくれるな」と言わんばかりの微妙な顔をしておりましたので、〈マドンナベリー文庫〉とは、あくまでそういう実験的なセレクションレーベルだと思っていただければ幸いです。

■創刊第二弾『葉名と伯父さん』も配信予定です。

なお、夜ノ杜零司さん×ひげたさんの『自己啓発少女と俺の夢を叶えるAV撮影』に続く第二弾は、ゆずはらとしゆき×稲戸せれれさん『葉名と伯父さん』です。

ゆずはらとしゆき×稲戸せれれ『葉名と伯父さん』

これがさっきの持ち込んだ諸悪の根源……もとい、企画プロットですね。
こちらは12月配信予定です。

創刊のきっかけからして成り行きですし、如何せん歳も歳なので、大言壮語で気負うこともできなくなっているんですが……。
こういう感じでちょいとばかり、よろしくお願いいたします。


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