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移住を決意した2023年の冬

2023年の冬、私たち夫婦は移住計画を練り始めた。
これまでぼんやりと心の片隅で思っていたことをついに実現することにしたのだ。
本格的に動き始めて1年以上、少しずつ目標に向かって進んでいる。
そんな日々をnoteに書いていくことにした。

気に入っていたマイホーム

私たちには、数年前に建てたばかりの注文住宅があった。
お気に入りのキッチン、無垢材のフローリング、手を痛めながらDIYした塗り壁、どれもこれもこだわりや愛着があるものばかりだ。
家も、そして土地自体も気に入っていた。

キッチンの棚は夫が取り付けてくれた。

桜並木沿いにある土地で、毎年自宅のテラスに座って花見をするのが楽しみだった。
道が広く、それでいて交通量が少ない静かな住宅街。都心まで1時間くらいの郊外にあるベッドタウンである。

気に入っていたのに何故移住するのかと思われるかもしれないが、この家の引き渡しがあったのは良くも悪くもコロナが流行るほんの少し前。
引き渡し後、わずか2、3ヶ月でコロナが流行し、私たち夫婦の生活も変わってしまったのだ。

毎年、桜の季節はワクワクした。

何もかもが変わった2020年

コロナが流行ったことで、夫はフルリモートワークになった(コロナは嫌だが、リモートワークには感謝しかない)。

通う必要がなくなったことによって、「タイミングが少し違っていたら、東京ではないどこかで家を建てていたのかな」と度々考えるようになった。
既に建てた後なので考えても仕方ないことだが、何かの拍子にそれはひょっこり顔を出してくる。

大きな不満があるわけじゃないのに、心のどこかに「移住」というワードがぶら下がったまま生活していた。

東京にいる必要性はなんだ

東京の郊外で家を建てる時、どの都道府県に住むか悩んだ時期がある。
新幹線通勤を検討し、軽井沢や静岡などを考えた。
しかし、毎日通勤することを考えると大変そうで諦めた。当時はまだフルリモートワークではなかったからだ。

長時間の移動のために毎日早起きするのもつらいけど、災害が起こった時に遠距離通勤だと心配でたまらないだろうと考えた。
到底歩いて帰れる距離ではない。もし職場も自宅も遠い場所で被災したら、どんなに大変で心細いことだろう。

そこで当時は東京都の郊外を選択した。

高いローンを払い続ける意味

通勤が無くなった今、高いローンを支払ってまで東京に住む意味は何だろうと考えてしまう。

郊外と言えど東京。駅から遠くたって土地の価格は容赦ない。
東京に住み続けたいなら受け入れられる価格だし、払えないから手放すわけではないけれど、通勤のためだけに選択した「東京」だったのでそれでも住みたいか悩んでしまう。

ちなみに東京は好きだ。
東京に住む人たちも好きだ。
都会の人は冷たいなんて嘘だと思う。数が多いから中には冷たい人もいるが、人の温かさに触れることも多い。
テレビや雑誌で特集されたお店やイベントに出かけやすいメリットもある。

その一方で、私たち夫婦が都心へ出かける機会は多くない。
大抵の時間を家で過ごしているのだ。家、ラブ!なのだ。
思い立った時に遊びに行けたら十分だし、それは数ヶ月に一度くらいだと思う。
たまに行くだけなら、住まいがそこになくても問題ないだろう。

今より安くて広い土地で、都会すぎず田舎すぎずちょうどいい場所で暮らしたいと思った。

売れたら移住しよう、くらいで

移住に向けて、まず家の売却をすることにした。
「売れたら移住しよう、売れなければこのまま住もう」と夫と話し合った。
それならダメージはほぼない。

利益は出なくてもいいが、安値で売ってしまっては元も子もない。
移住先でも注文住宅を建てるつもりでいるし、最低限ローンの残債を返し、引越し代と賃貸物件の初期費用も確保して売却したい。
損をしてまで移住したいわけではない。

しかし、家を売りに出してからはなかなか問い合わせが入らなかった。
損をしたくないと言っても、査定額に基づいて価格を決めたので無茶な価格設定はしていないはずだ。
売れなくてもいいや、くらいに思っているはずなのに、妙なプレッシャーがかかる。
家の間取りや写真が不動産ポータルサイトに掲載され続けることに、どこか抵抗があるのだ。

謎の焦りを感じていた頃、ようやく問い合わせが入った時はとても嬉しかった。
ダメになるフラグを立ててしまうようで昂る気持ちをぐっと抑えたが、そんな心配をよそに初めて問い合わせをくれた人にスルスルと売却が決まってくれた。
期間としては半年ほど。
あんなにもどかしかったのに、終わってみたらあっという間だった。

猫三匹OKな賃貸で仮住まい

一番わんぱくな末っ子。

その後の流れは、慌ただしいの一言だった。
仮住まいの賃貸物件を探し、内見や契約、引越しを済ませた。
同時期に家の引き渡しやローンの残債を返す手続きもあった。

うちには猫が三匹いるもんだから、それをOKと言ってくれる物件は少なく、引き渡しの締切がある状態で探すのは気が気じゃなかった。

運良くペット共生型の賃貸が近所に完成したのでペット審査を受けて無事入居できたが、広さは戸建ての半分程度になった。おかげで断捨離が進んだ。

駐車場はないのに家賃はローン並みに高い。
猫の多頭飼いができることが条件なので仕方ないと思うが、一時的な仮住まいでなければ心が折れそうになる。

とはいえ、住めて良かった。
欲を出して条件がいいところを探し、万が一期限内に引っ越せなかったら大変なことになっていただろう。

まんじゅうのように可愛いうちのこ。

当分はこの賃貸で仮住まいをしながら、移住先と家を建てる会社を決めていくことになる。
※今は決まっているが、この時点では全く決まっていなかった。

そうして私たち夫婦の移住計画は少しずつ前に進み始めたのだった。

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