見出し画像

フランスの謎コミューン、ブリアンソンへようこそ【ヨーロッパ電車一人旅③】

前回の記事ではパリでのお話をさせていただきましたが、今回はその続き、夜行列車でたどり着いた謎のコミューン・ブリアンソンでのお話しです。

心の底から観光客を楽しんだパリでの3日間を終え、次は地中海側のニースへ向かうため出発した午後22時。翌日の午前9時ごろにはマルセイユを通過してニースに辿り着き、素敵な朝ごはんを食べながら朝からビーチでゴロゴロするのを楽しみに、寝台列車に乗り爆睡したのです。

電車に揺られながら、うっすらを目を開けると窓の外には広大な山々と湖に囲まれ、朝日が明るく差し込み始めていました。心の中で「なんて素敵な目覚め方〜」と幸せに浸ってから二度寝の贅沢を。そのまま再度ぐっすりと寝て、少し経ったらなんだか部屋が暑くて目が覚めました。外の日差しが窓からたくさん降り注いでいる中、列車がやけに静かで動いていないことに気づいた時はすでに遅し… 終点地点ブリアンソンにたどり着いてしまったのです。

①ブリアンソン、海抜1350mヨーロッパで一番の高地にある市?!

さて、Wikipediaで後日「ブリアンソン」と検索して見たところ、もはや間違えてブリアンソンに辿り着く方が難しいのではないかと思う説明が。

ブリアンソンフランス語: Briançon)は、フランスオート=アルプ県の人口1万人ほどのコミューンで「郡庁所在地」(sous-préfecture)である。海抜1350mのところにある町で、ヨーロッパで一番の高地にある市であるとされる。[…] 交通の便は不便である2010年代後半、フランス国鉄パリを発着する寝台列車を次々と廃止した際にも、代替交通機関が乏しいとしてパリとブリアンソンを結ぶ列車は廃止を免れた[1]

ウィキペディア「ブリアンソン」より
ブリアンソン、村の入り口の花壇

山々に囲まれた人寂しい涼しい空気を吸った瞬間「ここはニースでは無い」と確信しました。しかし、なぜか全くパニック状態に陥らずに自分のアホさに笑ってしまいつつ、さてどうしようかとブリアンソンでの冒険に挑んだのです。駅員さんに事情を説明し、ニースまでの代わりのチケットを入手。次の電車が4時間後ということで、とりあえずパン屋さんを探そうと思い歩き出しました。

少し歩いたら建物の角の奥まったところに、3本のバゲットを手提げに直入れしているおばさんが見えました。その後ろにはとても小さなパン屋さんが。すでに人が何人か並んでる後に並び、身振り手振りでパン・オ・ショコラとバゲットを購入。店員さんは中学生くらいの女の子が一人。もう少し歩いて街を見ながらエスプレッソをゲット。Google mapsで良さげな自然公園を見つけたので、パンとエスプレッソを抱えて向かいました。

②エスプレッソとバゲットin "Le Parc de la Schappe"

静かな公園にはポツポツと子ども連れの家族がいるだけで、とても平和な空間でした。中心部の浅い池にはなんとニジマスが!山に囲まれ、朝日を浴びながら外のピクニックテーブルに座りました。鳥の囀りと後ろに流れる川の音を聞いていると、心が少し明るくなった気が。失恋のショックとパリ賑やかさで張り詰めていた神経が少しづつ解けていくような感じがしました。

公園でいただいたバゲットとエスプレッソ(この前にパン・オ・ショコラも食べました)
後ろには元気に流れる美しい川が

③20分のハイキングをした先に広がった…おとぎ話のような町

とてもシンプルで幸せな朝ごはんを終えたのち、ウェットティッシュで顔と体を拭いて顔に日焼け止めを塗ってから、新しい冒険へ。ヨーロッパの紫外線侮るべからずです。Google maps上ではお城があるようだったので、指示に従いながら進んで行ったのは山の上。緑の葉っぱが多いしげった細い山道を抜けるとやっと先にお城の壁の跡が見えました。すると急に人混みの気配が…気になって角を曲がってみたら、なんとまさかまさかの表参道があったのです!

ブリアンんソン、お城付近のカラフルな建物とレストラン

急な坂の両脇には可愛いショップがずらりと並び、レストランやカフェもポツポツとありました。なんといっても建物の隙間に見える山がとっても美しかったです。急にワクワクが爆上がりし、不安や心配も全部吹っ飛びました。ニヤニヤしながら坂を登っていくつかショップを覗いてみると、どうやらブリアンソンは冬場はスキーリゾートらしいと知りました。びっくりするくらいアジア人がいないこの町。店員さんに「どこから来たの?」と聞かれ「日本です!」と答えたら、始めて日本人を見たと答えをいただきました。

④これは運命としか思えない、素敵な街に出会えて感謝

まさかまさかの展開でしたが、ブリアンソンに行くことができてとても嬉しかったです。今思い返せば、人が多いニースよりも断然リラックスできたし、自然の力に心も体も癒されました。人生本当に予想外の出来事ばかりですが「想像を超えて素晴らしいことが本当に起きるんだ!」と私の心のそこに小さな灯りが灯された気がします。失恋してボロボロだった心に、温かくてキラキラした何かが現れて少し新しい輪郭が縁取られてきた感じ。

⑤ダブルでラッキー、子犬ちゃんと一緒にラストスパート4時間

ブリアンソンで楽しい4時間を過ごしたあと、合計5時間電車に乗り、マルセイユへと無事に辿り着くことができました。電車を乗り換え、なんとマルセイユからの電車では目の前に子犬づれのカップルが!ゴールデンレトリーバーの生後3ヶ月の子犬ちゃんを数時間眺めることができて幸せ。子犬ちゃんファミリーはカンヌで下車しましたが、その時から「いつか私もパートナーと一緒に子犬を飼って電車旅行したい」と新しい夢ができました。

夜22時ごろニースに到着し、朝のうちにBooking.comで急遽予約したホステルへ。今まで色々なホステルに泊まってきましたが、ニースで一番安かったこのホステル、値段相応でした。6人部屋はフルハウス、扉を開けたらとーっても賑やかなガールズ達が迎えてくれました。全く違う背景からここにやってきたストーリーを聞くのはとっても楽しかったです。仕事を辞めて2ヶ月間アメリカからヨーロッパへバックパッキング開始初日の人、オーストラリアから来てもう4ヶ月旅している人、ドイツから来た(なんと日本に片親がルーツを持つ)双子、そしてオランダから来たインド人の女性。

シャワーヘッドが壊れているし、私のベッドもフレームが薄い鉄のネットだけで乗ったら体が下に沈む状態。ホステルとしては微妙でしたが、出会った人はみんなとても優しくて嬉しかったです。

伝わるかな、このベッドの沈み具合…

盛りだくさんだった一日、ぶよんぶよんのベッドを気にする暇もなくぐっすり眠ることができました!これからもまだまだ旅は続きます。次回はニースの様子をお届けします、お楽しみに〜

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?