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【短歌】双幸吟

しあわせは 静かに眠る その顔が ふと目覚めれば 目に入るとき

しあわせは 先に起き出で 朝食の 支度終わりて 君起こすとき

しあわせは 君が隣で 洋琴を 時に止まりつ 奏でつるとき

しあわせは 夕餉に食おうと 思うもの 意図せず君と 一致するとき

しあわせは 君が手挽きの 珈琲の 豆を優しく 淹れているとき

しあわせは ふたり並んで 道歩き 名もなき花に 目をとめるとき

しあわせは 面白き書を 読み終えて 君に巧みに 話し得たとき

しあわせは 料理するそば 君がきて つまみ食いして 美味いというとき

しあわせは 一糸まとわぬ 姿にて かたく抱き合い とろけ合うとき

しあわせは 灯を消して 目を閉じて 君の寝息が 聞こえくるとき

(10首)


《あとがき》


拙い短歌、ご覧下さりありがとうございました。

歌を詠むことは好きなのですが、ほぼ独学です。
文法や手法等については、勉強中でして、お見苦しいところにつきましては、ご容赦下さい。

好きな歌集は『万葉集』。
好きな歌人は、正岡子規、橘曙覧、若山牧水、寺山修司等(敬称略)。

このたびの10首は、50回連続投稿の節目に、橘曙覧の「独楽吟」へのオマージュとして詠んでみたものです。

「独楽吟」については、浅薄にて、今年の1月に読んだこちらの本のあとがきから知りました。

幕末に詠まれたとは思えない、今でもわかる、あるあると思わず頷き、時に笑ってしまうような歌に、すっかり魅せられました。

読書や家族への愛に満ちた歌の数々。
ただただ清貧と見えて、ところどころ素直に「金欲しい」みたいなことを言っているところになんとも共感。

足元にも及びませんが、こんな歌を詠めたらいいなと憧れ、連れ合いとの生活の中から詠んでみたので「双幸吟」と題し、「〇〇は〜とき」の形式だけ踏襲しました。
出来れば、続けていこうと思っています。
(目標は「独楽吟」の52首でしょうか。)

最後まで、ご覧下さり、ありがとうございました。

樹田 和  拝


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