【**子供の熱性けいれんについて**】

先日新型コロナ感染症で高熱が続いたお子さんの症例を担当しました。
熱性けいれんの既往があるお子さんを持つお母さんはとても不安を感じていました。

ただ、その不安と、
実際に医療機関で常時対応が必要かどうかは
現場医師の判断に左右されてしまうのが現実です。

知ることは安心や未来に繋がります。
しっかり参考書を元に情報をお伝えしますので
少しでも心が楽になりますように。
※医療関係の方からすると物足りないかもしれませんが
 一般家庭に向けての表現とすることをご了承下さい。

.*けいれんとは*.

・自分の意志とは無関係に、勝手に筋肉が強く収縮する状態のこと
 →突然の大きな震え、ガクガクする、呼びかけに答えない
 ・高熱、感染症、電解質異常、薬物、頭蓋内病変、腫瘍、外傷、低酸素脳症などによって引き起こされる

原因によって対応は様々なのですが、
今回は高熱とそれに伴う脱水・電解質異常によるけいれんに焦点を当てていきます。
これ以外で定期的にけいれんの症状があるようであれば、
脳実質の病気などが隠されている可能性があるので
受診をご検討してみてください。その際に
・どんな時におきたか
・どんな動きだったか
・どれくらい続いたか

などを記録しておいてもらえると医療者としては助かります。

.*けいれんが起こると何が危険なのか*.

けいれんには大発作・小発作・部分発作など種類がありますが
その中で大発作、特に重積発作と言って1日に大きな発作を繰り返す場合は命に関わる可能性があるので救急車を呼ぶことも検討してください。

.*救急搬送を検討する状態とは

・呼吸ができていない
顔色や口唇・爪の色が青白くなると酸素がとりこめてないということ
けいれんが収まっても息をしない、色が戻らなければ
すぐに救急車を呼んでください。
脳に酸素が届かない時間の長さによって未来が大きく変わります。

・意識がない
大きな筋肉の動きは多くのエネルギーを消費します。
脳の栄養はブドウ糖なので、意識が戻らない場合は低血糖という状態になっているかもしれません。
これもまた対処が必要なので、救急車を呼ぶことを検討してください。

・大きな怪我をしている、頭や首を損傷した
意識消失と大きな不随意運動により倒れた衝撃で大きな怪我をすることがあります。頭を打ったり首の損傷などが命を奪うことがあります。
発作後はいきなり体を動かさず、冷静に怪我がないか観察することも大切かもしれません。

.*不安な時ほど、冷静に

見たこともな大きな動きな動きを見せることもあるけいれん。
とても不安になることはお察しします。
なので、上記3点に絞りました。

病院にて診察を受けた後は、しっかりその後の対応について教えてもらえると思うので、それに従って行動をお願いします。

焦って急いでも、冷静に確実に行動しても人が動く速さって大差はないのです。
なので少しでも確実に命を守る行動をとってほしいと思いました。
きっとこの3つが頭の片隅にあるだけで違うと思います。
ここまで読んでくれたことに感謝します。

.*最後に

ただ「知っていた」が命を救うことがある。
私は何度もそれを見てきました。

子供が一番一緒に時間を過ごす人はお母さんだと言います。
お母さんの力って、本当にすごい。
それは義務的な話ではなく。
毎日毎日お子様を見て触れて感じているお母さんは
医療者より誰より一番頼れる存在なのです。
今日もあったかい。
今日も動いてる。
今日もしゃべってる笑ってる怒ってる。
そんなお母さんの毎日は本当に1分1秒を争うような時に医療者に力をくれます。

情報は力です。

医療者が持つ情報と
お母さんが持つ情報。

救命の場面では両方がそろって奇跡が起こることが実際にあるんです。
本当に、お子さんを守ってくれてありがとうと思います。

毎日寝不足で疲弊してるお母さんもたくさんいると思います。
私は子供がいないので、本当に頭が上がりません。
その分少しでもお母さんが安心して子育てできるように
情報提供という形でお手伝いできればと、思っています。

.*お母さんの笑顔は子供の元気の源*.

全てを一人で抱える必要はないのです。
自分に全てを課さなくてもいい。
ゆっくり周りを受け入れながら
お母さんはお母さんらしく
お子さんはお子さんらしく
月日を歩んでいってほしいなと思います。