幸せな仕事をしたので見てくれ3(国語辞典編)
時々ものすごい幸運が重なって、私の上に舞い降りる「幸せな仕事」。
今回も類稀なる幸運に恵まれたので、 noteに残しておきたいのです。
これです。
旺文社さんから3月に発売の国語辞典と漢和辞典。
そのケースデザインに使うイラストを描かせていただきました。
旺文社さんに言われるまで気が付かなかったのですが、私が自分の本以外の表紙イラストを担当するのはこれが初めてということ。
お受けしてから知る責任の重さにハッとしました。
しかも辞典です。
単価が高く、重版が難しく、エンターテイメントではなく学習のためのもの。何重にも特殊な発行物です。
こちらは旺文社標準国語辞典第八版。
私はいつもなんとなく「美しい」を一番に調べる癖があるのですが、サラッと紹介されている「美しい」の手前の「うつくし」が「愛し・美し」とも表現すると旺文社の国語辞典に記されていて、
この言葉の奥深くにある心みたいなものに触れた気がしました。
「美」という漢字は「羊」と「大」から成り立っていて、「肥えた大きな羊」の意味を持っています。
「おいしい・うつくしい・良い」など、人が感じる「ここちよいもの」全部盛りのような言葉であり文字なのだとわかります。
「運命」も辞書を引く時「この辞書ではどう表現されているのかな」とよく引く言葉です。旺文社の国語辞典では「運命」のところに「宿命」も添えられていて、ここはとてもグッときました。
「どう違うの?」と思っても、自分では説明できなかった言葉です。
読んでみてなるほど〜〜〜と膝を打ちます。確かに「運命」はいい意味でも使うけど、「宿命」はより重く、どちらかというと逃げたいような状況の時に使われます。
旺文社の国語辞典にはこちらの小冊子もついていて、著名な文筆家の方が自分なりの言葉で新しい意味を綴ってくださっています。
このような素晴らしい辞典のイラストを描くにあたり、頂いた方向性は「暖色系と寒色系で、鮮やかで透明感のある女の子のイラストを描いてください」というものでした。
まずは寒色系の「青空女子」を考え始めました。
辞典を必要とする人が一番増える季節は春。
その春の日に、辞典を探しにくる学生さんたち。
そのみなさんが明るい気持ちで手に取れるようなものにしたい。
主役は中身の辞典そのものなので、人物の印象はそれほど大きくなくてもいいかもしれない・・・
そう思って描いた第一稿のラフがこちらでした。
国語辞典のカバーガールの名前は私が勝手に決めた「国枝 光桜」。国ちゃん。
このnoteを書くにあたり、うちにある辞典を色々並べて同じ文字を調べてみたりしました。ページのレイアウトや紙の質感、色の濃さ、文字のサイズなど、どの辞典にも違った特徴がありました。
ちょっと書ききれないので、漢和辞典のイラストの紹介は次のnoteでしたいと思います。(noteで載せられる写真の容量制限が!)
そう、そして馴染みの深い国語辞典と違って、漢和辞典のことがよくわかっていなかったことが今回わかったのです。
後編の漢和辞典編に続く。
こちらは過去の「幸せな仕事」のお話です。良かったら私の浮かれっぷりを見ていってください。
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末次由紀のひみつノート
漫画家のプライベートの大したことないひみつの話。何かあったらすぐ漫画を書いてしまうので、プライベートで描いた漫画なども載せていきます。
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