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電源を切れと孤独が言う

新しいSNSのアプリが話題です。

舶来のそのアプリは招待制で間口が狭くて、参加したいのになかなか招待されないもどかしさが、焦燥感を生む仕掛けになっています。

友人に招待してもらって、数日前から体験してみました。ものすごくクリアな音声で、ニューヨークにいる人とも距離を感じさせない会話が成り立ちます。スマートで簡単な操作。人とつながることが驚くほど率直に出来て、会ったことのない有名な人と会話をする機会にも恵まれました。

新しい文化が誕生して、育っていく音が聞こえます。

でももう、本当にすぐ、私の脳の奥が言います。

「これは、早く電源を切らないといけないものだ」

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そろそろ人間は認めるべきです。

三大欲求と言われた「食欲」「性欲」「睡眠欲」に加わる4つ目の欲求があることを。

「コミュニケーション欲」とも言えるものが、そこに加わっているとまざまざと感じます。

ログが残らないまま、コミュニケーション上手によって繰り広げられる新アプリのサービスは「いま聞きにいかなきゃ」と人の心を焦らせます。

みんながやってることにキャッチアップしなきゃ。新しい流れを読み切って、利用していかなきゃ。

そう強く感じるほどに、私は孤独が愛おしくなります。

「ひとりきり」の意味がとても深くなるのを感じます。

時を止めてくれる読書と、集中させてくれるお絵かきの魅力が高まっていきます。物語を作るために、自分の中の他者と語らう時間の静かさに驚かされます。

FacebookもTwitterもInstagramもVoicyもTikTokもYouTubeも、新しいSNSはどれも楽しいけど、早すぎる情報の嵐です。

大丈夫だから、電源を切れ。

いつも私のそばにいる孤独がそう言います。

物を作りたいなら、走って逃げろ。


作家のダヴ・シードマンが述べた言葉があります。

「一時停止ボタンを押すと、機械は止まる。しかし人間の場合は、一時停止ボタンを押すと、動き始める」

人と繋がれる幸せも、おしゃべりの楽しさも知ってるけど、「嵐に押されるんじゃなくて、自分で歩け」っていう声が聞こえるから、

時々上手に電源を切ろうと思います。

大丈夫。望んで語らう孤独は、私にもあなたにも優しいものです。


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