情熱は引火する。模様替えと鬼滅の刃の話。
仕事場を模様替えです。あまりに誰も来ない空間と化したので、もう自分の好きにしていいのだろう、と思い動き始めました。どこかで声がする「そんなことよりネームしろ」
深夜12時。なぜその時間に始める、自分。階下の人に迷惑にならぬよう細心の注意を払って家具を動かすのでとても時間がかかる。重い。ネームしろ。
ソファの上に、買ったはいいもの一切使わなかったでかい液晶タブレットを置きながら移動。重い。液晶タブレットはもうあらゆるOSが対象外。単に重い。ネームしろ。
大まかな移動がやっとすんだ。椅子の代わりにもなるし可愛い、と思って買ったアニマルたちを配置してみると、壁の緑も相まってジャングル感が増し、楽しくなる。Twitterで「いうならサバンナですよ」と言われ深くうなずく。ネームしろ。
メインの仕事机から見える景色がガラッと変わって、大事なことに気がつく。これまで正面に見えていたでかい時計が、背中側にきてしまい見えない。これでは私がネームをしない。ネームしろ。
PCに表示できる大きめの時計があるんじゃなかろうか、と調べると、システム環境設定から設定できるという結果。よし、それだ。ネームしろ。
そうじゃない。
いろいろ調べて「デスクトップ時計」というアプリをダウンロード。この子に決めた!ネームしろ。
照明も新しく購入。万事整った。ネームしよう!
そう思った矢先にちはやふるの全プロットを消去するという惨事に見舞われますが、その話はまた今度。
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以前コミチさんのところでこんなコラムを書きました。(「まんがノート」も随時更新予定!ほんとだよ!)
「空腹」と書いていますが、「情熱」の話でもありました。
ものを作る人間に情熱が備わっているとすれば、それは確実に「誰かからもらった」結果のもの。つまりは「情熱」は「引火」していくものだと感じてます。
小説でも音楽でもアートでも建築でも、まずそれを作ってくれた誰かの情熱を感じるところから始まり、受け取った情熱が自分の中で広がって、手を動かし始める人が出てくる。
創作物の最大の、そして本当の価値は、作り手の「情熱」が受け取り手の人生を変えてしまうことなんじゃないでしょうか。
日曜日に「鬼滅の刃」を見に行って、満席の劇場でそんなことを思いました。
この作品は間違いなく、多くの人に引火する「情熱」を備えていて、そしてこれを出会いに、人生が変わる人がたくさん出るだろう、と。
創作物としての最高の栄誉はきっとそれです。見事な漫画、そして見事な映画化でした。作者先生と、映画製作者の情熱が、何倍にも増幅される、ものすごく強いオーロラのような映画でした。
「心が震えた」から「自分も誰かの心を震わせたい」となる。循環が始まる。すぐ手が動き始める人は、望む方へ行ける人です。
さあ私もネームしよう。
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末次由紀のひみつノート
漫画家のプライベートの大したことないひみつの話。何かあったらすぐ漫画を書いてしまうので、プライベートで描いた漫画なども載せていきます。
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