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橋を渡る 頭を押さえながら 海から吹く風に 帽子を飛ばされないように 手袋した手で 橋から見…
ガラスの蜘蛛が 死んでいた 入り口のドアに引っ付いて 指で触ると、 そいつは床に落ちた ガラ…
カラスは音符のように 隣りの家の屋根瓦の上の 電線にとまって、 冬の風に吹かれている カラ…
真っ白い世界を 真っ白い雪の世界を 鴉らが鳴きながら 飛んでゆく 冷たい風の中に 声を響かせ…
路地裏の 床屋の老主人は ソファに腰掛けて うな垂れていた まるでソファに 沈み込みそうなほ…
キース・ジャレットの ソロ・ピアノの音色が 部屋に鳴り響く 外は雪が積もっている 踏切の警報…
灰色に光る空に 穴が開いていた 白い穴が開いていた それは冬の太陽だった 心細く弱々しく 太陽は灰色の空に 浮かんでいた 雲に覆われすぐ消えた 灰色に光る空に 穴が開いていた 白い穴がポッカリと 世界は吸い込まれそうだった
冬の夜 駅前通りに 光のラベンダー 闇に浮かぶ 薄紫の微笑と沈黙と ほのかな期待 私はここで…
ある朝、起きると 目の淵に赤い湖が出来ていた 白目の部分に広がる 赤い赤い小さな湖だ その中…
僕らは本が好きだった 二人でよく本屋に行ったものだ 棚から面白そうな本を引き出して 互いに…
