冬の日

橋を渡る
頭を押さえながら
海から吹く風に
帽子を飛ばされないように
手袋した手で

橋から見える
空き地にすすきが揺れる
冷たい風に翻弄され
淡い金色が踊る
明るい陽射しに照らされ

橋を渡ると小高い丘がある
昔ここに遊郭があったそうだ
今はただの荒れた雑木林
石階段の所に去年は
紫色の桔梗が咲いていた 

打ち捨てられた家がある
薄いピンク色の壁の
障子は破れ、家中の暗さが覗く
ひび割れた窓ガラスに
今日は青空が映っている

白い雲が流れていく
小雪も舞い散っている
川面は騒ぎ波立っている
橋の欄干にとまった鴉がまた
冬の空に羽根を広げる

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