音色

キース・ジャレットの
ソロ・ピアノの音色が
部屋に鳴り響く
外は雪が積もっている
踏切の警報音は近く
救急車のサイレンは遠く
鳴り響く
音が混ざり合う
薄やかに
冷たい空気の部屋に
何かが満ちて行く
水中のように
何かが泳いで行く
外から
鴉の声が聴こえる
川の音が聴こえる

私は誰かを待ちながら
目を閉じて
メロディを聴いている
音色は水溜まりに
雨粒が描く輪のように
生まれ、
広がり、
消えてゆく

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