「奇妙な制度」をつくったら、意思決定の質もスピードも爆上がった話。
成長フェーズのスタートアップであれば、大小の差こそあれ、以下のような「意思決定にまつわる問題」を抱えているのではないでしょうか。
この問題に早めに手を打っておかなければ、スタートアップ的な成長が実現できなくなってしまう。意思決定の質とスピードを圧倒的に高める、魔法のような解決手段はないのか…?
そんな課題意識から生まれたのが、今回ご紹介する「蠱毒(こどく)」です。
名前だけ聞いても「??」だと思いますが、簡単にいうと「限られた時間内に、ある課題やテーマに対して、参加者2名以上がディベート形式で解決策やプランを戦わせ、結論を出す」という意思決定プロトコルになります。
Gaudiyの「独自の組織づくり」については、PIVOTさんやSELECKさん、エンジニアtypeさんなどのビジネスメディアでも何度か取り上げていただきましたが、この蠱毒は、過去さまざまな制度や施策に取り組んできたなかでも最もよかった画期的な手法であり、一種の "発明" だと思っています。
実際に「蠱毒」を始めてから、全社の意思決定スピードと質が爆上がりしました。まだ導入して2ヶ月弱ですが、ミニ蠱毒も含めると全社で20回以上は開催されており、Gaudiyの新しい文化として定着しつつあります。
ものすごく効果があったので本当は明かしたくない気持ちもありますが笑、世のスタートアップの参考になればと思い、共有させていただきます。
※1万字超えの長文になってしまいました🙇♂️ 目次みて気になるところだけでも読んでみてください😀
組織拡大に伴う「意思決定」の3つの問題
事業や組織が急速に変化するスタートアップは、不確実性の高い意思決定の連続です。社員が10人、50人、100人、200人…と増えていくなかで、組織マネジメントの仕方も大きく変わってきます。
社員数名の頃であれば、個々人が意思決定して進められていたことも、社員50人、100人となるとそうはいきません。組織の拡大に伴い、以下のような「意思決定の問題」が生じている組織も多いのではないでしょうか?
1. 「お伺い意思決定」になる
組織が大きくなれば、意思決定の責任も大きくなります。すると、難しい意思決定ほど、上の役職の人に "お伺いする" 意思決定になりがちです。
「お伺い意思決定」の問題は、上司の顔を伺って「コト」に向き合っていないために、提案の質が落ちることにあります。経営やマネージャーが好みそうな提案をして意思決定を仰ぐと、本質的でない方針になりかねません。
2. 「まるい意思決定」になる
意思決定の影響範囲が広くなると、さまざまステークホルダーの視点を取り込むうちに、尖りのない "まるい" 意思決定になりがちです。
「まるい意思決定」の問題は、スタートアップの競争優位である、イノベーティブな意思決定の積み重ねができなくなることにあります。また、各所への相談やヒアリングが多くなると、意思決定をするのに時間がかかります。
3. 「アンフェアな意思決定」になる
組織にマネジメント階層ができると、メンバーが提案を考えても意思決定をするのは上の役職の人、という "フェアでない" 意思決定になりがちです。
「アンフェアな意思決定」の問題は、意思決定のWHYがうまく伝わらないと "やらされ感" がでて意欲を削いでしまったり、メンバー個々人の有能さに気づきにくくなることにあります。人には認識範囲の限界があり、マネジメント層がすべての意思決定を下すのは不合理です。その領域について一番思考している人が、意思決定に直接関われた方がフェアではないでしょうか。
「蠱毒(こどく)」という発明
こうした意思決定の課題を解決するために、独自に編み出した手法が、今回のnoteでお伝えする「蠱毒(こどく)」になります。
シンプルにいうと「時間制限つきのディベートバトル」です。ある課題やテーマに対して、2〜3名の参加者がディベート形式で解決策やプランを戦わせ、原則1週間以内に結論を出します。
蠱毒は古来中国に伝わる呪術なのですが、「それぞれがプランを持ち寄って討論し合い、勝ち残った最後のひとつが最強のプランになる」という意味を込めて名付けましたw
この「プラン同士をバトらせる」というコアアイデアは、さまざまな文献をインプットするなかで着想を得ました。たとえば、「GAN(ギャン)」というディープラーニングの進化形AIは、敵対するAI同士がともに競い合い、学習を重ねることでその精度を高めていくといいます。
また、オハイオ州立大学による「意思決定の失敗確率」に関する研究論文によれば、一流企業の経営層でも、ある案を「やるか・やらないか」の2択で意思決定すると52%の確率で失敗し、第3の選択肢(代替案)を増やしたときは32%まで失敗確率が下がったそうです。
昨年の12月に実験プロトコルとしてスタートしましたが、今では社内各所で自発的に「蠱毒」や「ミニ蠱毒」が発生し、文化になりつつあります。
どのように運用しているのか?
前提として、蠱毒では、通常の議論をしていたら1ヶ月以上かかりそうな、会社にとって重要な意思決定と具体案を主に扱っています。
ここからは、具体的な運用方法についてお伝えしていきたいと思います。
※2023年2月時点の内容であり、今後もブラッシュアップを重ねていきます。
STEP1. キックオフ
意思決定したいことがある発案者が、有効なプレイヤー(2〜3人)を招集する。
例:エンジニア採用戦略…Devチームの採用責任者、エンジニア、人事
例:プロダクト戦略…PO、PdM、UI/UXデザイナー
課題や背景情報を発案者から説明し、蠱毒前の前提情報を揃える。
キックオフで「本当に課題があるか」「蠱毒で意思決定すべき議題か」を議論し、実際に戦うか戦わないかを決める。(やめる意思決定もOK)
戦う場合、先攻・後攻を決める。(3人以上であれば、どちらかのラウンドを複数人で行う。)
STEP2. 1stラウンド(先攻ピッチ)
キックオフから48時間後に、1stラウンドを開催する。
1人5分間のピッチ・20分間のQAタイムで、先攻者がプランを発表する。
発表内容はコンセプトからアクションプランまでを含むものとする。
後攻者(他、オブザーバー)は、20分間、嫌な質問(論理の矛盾をつく、反証するetc.)をし続ける。先攻者は、その質問に答え続ける。
発表者は、矛盾をつかれないように、予め論理武装や自分自身で反証するなど対策しておく。
STEP3. 2ndラウンド(後攻ピッチ)
1stラウンドから48時間後(キックオフから96時間後)に、2ndラウンドを開催する。
1人5分間のピッチ・20分間のQAタイムで、先攻者・後攻者の双方がプランを発表する。
先攻者は、1stラウンドを受けて全く別のプランを持ってきてもいいし、同じプランを補強する形でもOK。
後攻者はかならず、先攻者とは "別のプラン" を用意して発表する。
1stラウンドと同じように、20分間、嫌な質問(論理の矛盾をつく、反証するetc.)をし続け、発表者はその質問に答え続ける。
STEP4. 感想戦・勝敗の決定
プレイヤー全員の発表が終わり次第、感想戦を行う。ここでは、お互いの内容や良い指摘を褒め合ったり、感じたことなどを伝え合う。
プレイヤー同士の話し合い(オブザーバーもいる場合は投票)で、その回の勝者を決める。
勝敗の判定基準:どちらのアイデアを戦略の土台にすべきか、思考回数の多さ、Gaudiyらしさ(ばかなる視点、バリュー)。
勝者のプランを土台にしつつ、敗者のプランからも良い箇所があればマージして、戦略の方針を決める。
役割と実行プランを組み、デリバリーしていく。
基本的な運用の流れは以上です。
蠱毒へのよくある質問として「1つの問題を2〜3人で考えるのは、労働効率が悪くないか?」というものがありますが、これに対しては明確にNOだと考えています。
なぜなら、1つの問題に対して誰かが「たたき」を用意する場合も、意思決定するまでに複数人で何度も議論を重ねているはずです。労働効率としては大差なく、蠱毒の利点は意思決定の質をより高められることにあります。
運用面で注意したいポイント
運用面において、特に注意したいポイントがあるのでご紹介します😀
1. 論点は固定しない
課題や事実情報は共有しますが、論点は固定しないことがポイントです。
なぜなら、論点を固定すると思い込みに縛られてしまい、本質的な問題に気付きづらくなってしまうからです。色々調べて思考を深掘っていくうちに、他の問題に気づく場合もよくあります。
たとえば「個人がモチベーション高く働ける目標をどう設定するか」という課題において、「適切な目標設定のフレームワークはなにか」という論点まで固定してしまうと、「そもそも目標設定の仕方を統一する必要はあるのか」といった前提を疑うような論が出づらくなります。
2. 制限時間を守る
よい意思決定やよい戦略は、時間をかけたから出るものではありません。大事なのは、思考回数と練度です。キックオフから最終ジャッジまで合計96時間を基本にしながら、テーマによっては期間を変更することもありますが「限られた時間」で必ず結論を出すことを重視しています。
なぜなら、受験なども同じだと思いますが、"Xデー"があると人はいつまで頑張ればよいのかがわかり、努力できるからです。
また現在は、蠱毒準備のための通常業務の調整は原則しないことにしています。普段からいかにインプットしているか・思考しているかが勝敗に影響することも多いです。(通常業務に影響がでない範囲で調整するのはOK。)
3. 勝敗をはっきり決め、公表する
勝敗はうやむやにせず、はっきり決めます。また、それぞれのプランと質疑応答の内容、勝敗の結果についてはSlackで全社共有しています。
なぜなら、勝負にすることで「負けたくない」という心理が生まれ、各自が真剣に考えてくるからです。実際、通常のミーティングで「議論のたたき」を作成するときよりも、はるかに質の高いアウトプットが出てきます。
4. 感想戦ではしっかり褒め合う
20分間、嫌な質問を受け続けるのは、実際かなりしんどいです。人によっては引きずってしまうこともあると思います。だからこそ、感想戦ではお互いにしっかり褒め合う。真剣に戦った者同士、リスペクトし合い、よい空気で終わることは大切にしたいポイントです。
5. 評価に反映せず、エンタメ感をだす
最後に、エンタメ感を出すことが大事です。蠱毒はあくまでエンタメ。勝敗はつけるけど、人事評価とは無関係。ゲーム性を強調することで、みんな真剣にバトルはするけれど、勝ち負けによってギスギスしません。
蠱毒の議論でボコボコにされることを表す「蠱毒死(こどくし)」という新しい言葉が生まれたりw、一種のエンタメになってます。
蠱毒の実例とマッチアップのコツ
次に、実際の「蠱毒」の例をいくつかご紹介します。簡略化してるのでわかりづらいかもしれませんが、雰囲気が伝われば幸いです🙇♂️
1. 「目標設定」の蠱毒例
プロトコルチーム(制度設計などを担うチーム)内で、トライアル的に実施した蠱毒です。このときは「"自分の成長=会社の成長"という自利利他をつくることで、会社のアウトカムを出しながら、個人のモチベーションも高まる状態を作れないか」というお題に対してプランを出し合いました。
先攻では「他者との対話や問いを通じて本人のwillやcanを引き出し、目標を設定する」という案が、後攻では「全員に当てはまる目標設定の法則はなく、全員が同じ形式に則る必要はない」という案がそれぞれ出てきて、議論を戦わせました。
結論としては後攻のプランに軍配があがり、「目標設定の重要性をしっかり伝えた上で、理論の選択肢と盛り込むべき視点だけを共有し、各自の好きな形式で作成してもらう」というやり方に決まりました。
2. 蠱毒例からみるマッチアップのコツ
課題テーマとマッチアップの参考に、いくつか他の例も挙げてみます。
たとえば「プロダクトの新戦略」の蠱毒では、PO、PdM、UI/UXデザイナーの職能にあたるメンバーを選出し、あえてエンタメ感を出すために「若手叩き上げチーム」と「つよつよシニアチーム」によるチーム戦を行いました。お互いにプライドがあるので負けられない戦いになり、全社的に注目される熱い一戦でした。
「エンジニア採用戦略」の蠱毒では、異なる専門性をもつ人事、Devチームの採用責任者、現場のエンジニア、という3者で行いました。このときの勝者はストーリーの戦略性から人事に軍配が上がりましたが、人事のつくった戦略案をベースにしつつも、エンジニアならではの視点をマージさせる形で、最終的な方針をつくることができました。
さらに「コミュニティ企画のナレッジ化」の蠱毒では、コミュニティチームから、異なる資質(実務遂行に強い vs 企画アイデアに強い)をもつメンバーを選出して行いました。この回では、それぞれの強みが活きるプランが出てきたため、戦略のコアコンセプトにオペレーション面のアイデアを取り込む形で練度の高いプランができました。
このように、マッチアップの仕方は結構重要で、「お互いのプライドをうまく利用する」「異なる専門性をもつ人」「異なる資質をもつ人」「担当ではないがその領域について深く思考していそうな人」などをうまく組み合わせられると、よい蠱毒になると感じます。
派生して生まれた「ミニ蠱毒」「Lean UX蠱毒」etc..
先述したチーム戦は一種の「派生系」ですが、他にもいくつか新しい蠱毒の形が生まれています。
1. 「ミニ蠱毒」が各所で発生
まず、各所で自然発生的に生まれたのが「ミニ蠱毒」です。蠱毒は基本的に大きな意思決定を行う場合のみ実施していますが、もう少し小さな意思決定をする場合などに、「ミニ蠱毒」と称して議論を戦わせています。
基本的なやり方は同じですが、ミニ蠱毒は、キックオフ→48時間後にディベート(先攻と後攻が同日に発表)の2段階で、1ステップ省いた簡易的なプロセスになっています。
たとえば、PRのメンバーが「個別案件のPR企画」を議題にBizDev担当者とともにミニ蠱毒をしたり、エンジニアのメンバーが「改善提案からの実行デリバリーを高めたい」という課題提起からDevチーム内でミニ蠱毒をしたりと、これらはメンバー主導で実施されています。
もっと簡易的な例でいえば、ミーティング内の冒頭でまず課題背景を共有し、お互いに思考する時間を設けた後に、各々のアイデアを提示して質問をぶつけ合い結論を出す、といったやり方も生まれています。
2. プロダクトの「Build-Measure-Learn」に蠱毒を応用
プロダクト戦略のチーム戦では、Lean UXの「Build-Measure-Learn」を応用し、先攻・後攻のそれぞれのチームが、BuildチームとMeasureチームに役割を分けて、蠱毒を実施しました。
通常のLean UXのプロセスでは、ひとつのチームでこのサイクルを回すのですが、自分たちが時間をかけて出したアイデアを自ら否定するのは、心理的に難しいところがあります。
蠱毒形式の「Build-Measure-Learn」であれば、お互いに建設的な批判をし合うことで、何をつくるか、何を検証すべきか、何を学んだか、の思考を深めやすくなり、より短期間でよい意思決定ができるようになります。
蠱毒をしてみての気づきと組織の変化
まず僕自身の気づきとして、一番大きかったのは「普段気付けていなかったその人の能力を発見できる」ということです。
たとえば、普段の仕事ぶりから「実務遂行力」に強みがあると認識していたメンバーが、実は「戦略思考」もものすごく強かったり、普段はあまり自分の意見を表に出さないメンバーが、実はものすごく思考した考えを持っていたりと、本当にすごい人たちばかりだなと改めて感心しました。
僕は率先して蠱毒でみんなと戦ってきましたが、公式戦でいうと「通算9戦6勝3敗」です。本気で挑んでますが、忖度なしにフェアに勝敗が決まるので、まぁまぁ負けてますw
どんな人が蠱毒に強いのか? を振り返ってみると、「いかにインプットしているか」「前提や通説を疑う力があるか」が要素としてあると思います。蠱毒に強い人が偉いとかでは全くないですし、ディベートなので性格的な向き不向きもある思いますが、蠱毒をやっているとインプットや前提を疑う力がつき、戦略思考の鍛錬にもなっているように思います。
また、組織にもよい変化が生まれてきています。蠱毒による具体的なメリットとして、主な点を以下に挙げてみます。
以前と比べると、方針の意思決定が格段に早くなりました。Done is better than perfect. の考えが徐々に浸透してきたように思います。
「結論まで出し切らないといけない」「ディベートで負けたくない」というよいプレッシャーがかかることで、提案の練度が上がりました。
ディベートで勝つには根拠が必要なので、インプットをする習慣がつき、守破離の「守」を大事にする文化が強化されました。
フェアに勝敗がつくので、若手が奮起しますし、それに負けたくないシニアも奮起します。結果として、組織全体の議論のレベルが上がります。
他にも、「蠱毒のいいところ・やってよかったこと」を社員にヒアリングしてみたところ、以下のような答えが返ってきました。
ちなみにやる前の印象は「バトルとか嫌だな」「胃が痛いな…」というネガティブなものが多かったため、「やってみたら意外とよかった」という声はかなり多かったです。
社員間のハレーションは起きないのか?
とはいえ、社員間のハレーションは本当に起きないのか? という疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
おそらく、普通の会社であれば、まずマネジメント層が嫌がると思います。蠱毒では立場に関係なく、お互いが真剣に考えたプランを持ち寄って対等に議論を交わすので、マネジメント層が負けると上司のメンツを保てなくなる、能力不足が露呈される、みたいな恐れもあるかもしれません。
なぜGaudiyでは社員間のハレーションを起こさず、蠱毒をインストールできたのか。この問いに対しては、いくつかの理由があると考えています。
1. ビジョン共感がベースで肩書きにこだわらない
そもそも、Gaudiyにはマネージャーという固定の役職はありません。CEOもチームリーダーも「選挙」で決めるという組織運営にしているので、「マネージャーがやりたい」「CXOになりたい」というモチベーションで入るとミスマッチになります。ビジョンの実現をチームでめざす、その肩書きはなんでもいいよねという集団だという前提があります。
2. 全員が「お試し入社」を通っており、Fandomな人が多い
Gaudiyには「お試し入社」という制度があります。これは、入社後1〜3ヶ月後にアンケートを取り、候補者の方とGaudiyメンバー全員が、お互いに「今後も一緒に働きたい」という合意のもとで正式入社するプロセスです。その判断基準として「Gaudiyのカルチャーを止めないか」を置いていることから、相手に不快を与えたり、攻撃するような人間性の人(Fandomではない人)がいません。そのため、蠱毒でシビアな指摘をしたり、結果として負けたとしても、弱みを受け止めたり自己開示できる人が多いです。
3. 給与が"言い値"で、蠱毒の結果が評価に影響しない
Gaudiyは現在、評価制度がありません。給与は「言い値」で決まります。仕事の成果だけでなく、ライフステージなどを加味して自ら納得できる金額を自己申告するという制度です。評価や報酬に影響しないからこそ、ピュアに戦えるという側面はあると思います。蠱毒に強い人は、戦略性や論理的思考などの強みを持っているというだけで、偉いわけではありません。実務推進力が高い人や、組織の潤滑油としてサポートしてくれる人もいますし、それぞれの強みで価値貢献している人が認められる組織をめざしています。
4. 戦い甲斐のある優秀なメンバーが多い
さいごに、昨年から組織が急拡大している中で、戦い甲斐のあるメンバーが増えたという背景があります。創業初期にCEO vs 若手だけで蠱毒を取り入れても、組織として疲弊するだけだったと思います。今は各領域で専門性の高いメンバーが増え、質の高い議論ができる環境にある。また、そういうシニアなメンバーたちが本気で考えないと勝てないくらいの優秀な若手層がいるからこそ、蠱毒が成立していると思います。
とはいえ、蠱毒にも課題は色々ある
もちろん課題もたくさんあるので、主なものを並べてみます。
まず、濃密な96時間を過ごすことになるので、純粋にハードです。みんな業務の合間を縫って本気で考えてくるので、対戦後はドッと疲れが出ます。業務調整を基本的にしないと言っても、家庭環境によって時間の取りやすさには違いがあり、そのフェアさをどう担保するかも課題です。
「蠱毒」というフレームが便利すぎて、意思決定をする際に頼りがちという声もあります。一度体験すると「劇薬」になりやすく、逆に蠱毒をせずに意思決定した方が早い場面もあるため、使いどころが課題です。
勝敗判定のアルゴリズムが明確になく、判定の正しさが参加者やオブザーバーの力量に依存してます。勝敗判定のプロトコルをつくる、ジャッジする役割の人を立てる、オブザーバーの質を上げるなどの対策が必要だと感じています。
重要なのはデリバリーだが、強いアイデアほどデリバリーしづらいことがあります。方針の意思決定が早くなった反面、いかに実行していくかのデリバリーの部分で時間がかかることも多いです。今まで弱かった「意思決定のスピードと質を上げる」ことには効果が出せたので、次はこのデリバリー速度を高めることに取り組んでいきたいと思っています。
また、Slackの「#ゲリラ問いちゃんねる」という場所で、蠱毒の課題について質問を投げたところ、長文のフィードバックをたくさんもらいました。
まだまだ課題だらけですが、こうした投げかけに対して真剣にフィードバックをくれるメンバーばかりで改善あるのみだなと感じます。
余談:あえて毒々しいネーミングにした理由
さいごに余談ですが、あえて毒々しい「蠱毒」という名前にしたのには、実は理由があります。
ひとつは、一種の "罰ゲーム" っぽさを出したかったからです。Gaudiyのメンバーは性格的にやさしく、相手を気遣ってシビアな指摘をするのが苦手な人も多いので、「蠱毒に選ばれちゃったから仕方ない」と "仕組み" のせいにしやすい名前にしました。
もうひとつは、パッと聞いただけで「え、何それ?」と思わせるようなインパクトのある言葉を使いたかったからです。というのも、強い「文化」をつくるためには、強烈な印象を残す「名前」が大事だと考えています。
これがもし「ガウディ杯」みたいな名前だったら、たぶんもっと人間関係がギスギスしてたと思いますし、「蠱毒」ほど強い文化として浸透していかなかったのではと感じます。
2023年。Gaudiy史上最大の挑戦へ。
なかなかにハードですが、蠱毒をやることの意味は、GaudiyがDAO(自律分散型組織)を実現していく上でも重要だと考えています。メンバー1人ひとりが自律的に動くには、個々人が意思決定する力が不可欠です。
Gaudiyは今年、創業以来、最大の「勝負の年」を迎えます。これまでの比にならないような「ワクワクする希望」と「夜も眠れない恐怖」が共存するようなカオスな状態です。
胃がキリキリしますがw、高速に意思決定をしながら、筋のよい選択をしていくことで、全員で乗り越えていきたいと思います。
さいごに、一緒にGaudiyで挑戦してくれる仲間も絶賛募集中です。手前味噌ですが、切磋琢磨できるメンバーが揃った組織環境で、今のフェーズのGaudiyに入ることは、めちゃくちゃおもしろいと思います。
少しでも気になる方は、以下の採用ページや、僕(@yuya_gaudiy)に直接メッセージくれても大丈夫です。Web3から世界に挑戦しましょう!
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