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#217 良いアウトプットを作るために鍛える筋肉

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

先日からリリースされた「ジブン株式会社RADIO」の対談の1つに「道なき道のすゝめ『1億総発信時代におけるキャリアドリフトとアンカーの打ち込み方』という放送があります。

そこで環境省自然保護員からキャリアをスタートさせたみちくさの達人サクちゃんさんは、環境教育系の活動にも携わるようになり、小中高の探究学習にも関わるようになったそうです。
学習内容は、「例えば山を歩いて、これは何という花です、何という鳥です」みたいに解説するものではなく「山を歩いて、何かに気付くプロセスを解説する」「この花の色は何故そういう色なのか、というところに気付く能力」に着目しているという話が紹介されています。
この「気付く能力」を高めることで、同じものを見ても普通の人より100倍気付きを持てるようになれば、どこに行っても100倍のものを見つけることができ、ただ「綺麗だな」「面白いな」で終わる人生のシーンを100倍楽しめる可能性があるという話です。

私も「学校教育と社会人生活をスムースに接続するために、できるだけ実際の職場で求められる課題を生み出す力」を若い人に身につける機会を作ろう!という課題感を個人的に持ち、探究授業を地域の高校向けにスポットで何度か提供した経験がありまして、そこでも伝えていた話を的確な表現で言語化してくれた!と感じました。

(なお、東京でシステムエンジニアとして働く私の職場で、地域探究授業を自ら企画提案して、実際に地域の高校向けに講師として授業をした人は、社内で他には聞いたことがありません笑)

「アウトプットするためには、まずはインプットすることが大事」という趣旨の話はよく聞くと思いますが、インプットとアウトプットの仕組みをより解像度を上げて理解しておくことで、仕事や生活における発信活動においても「良いアウトプットを生み出すために鍛えるべき筋肉が理解できる」と感じました。

昨日のスタエフでもこの構造を少し話しているのですが、文章の方でも改めて整理してみたいと思います。

良い成果を出せるとはどういうことか?

まず、仕事をしていると、良い成果を出せる人とそうでない人がいます。
良い成果とは何か、というと、「同じインプットを与えて、より示唆のあるアウトプットを出せること」だと思います。「同じ質のアウトプットであれば、できるだけ早くアウトプットを出せる」というスピードも「良い成果」の1つの側面です。

つまり、2人の人がいたときに、全く同じAというインプットを与えて、一人はAを10という質のアウトプットにした、もう一人はAを1000という質のアウトプットにした、ということであれば、後者の方が「良い成果を出せる人」ということになります。

私の職種であるシステムエンジニアもそうですが、何らかの知的生産活動に携わっている人の仕事の価値というのは、「一定時間内に出力するアウトプットの質とスピード」ということになります。

そして、このアウトプットを生み出すまでのステップは、大抵の場合、次のような3ステップになります。入力(インプット)があって、CPUで処理(編集)をして、出力(アウトプット)をする、ということで、人もコンピュータも同じですね。

筆者作成

で、この3ステップを理解した上で、最終的なアウトプットの質を高めるためには、特にどこにアプローチすれば良いのか、を考えることは、良いアウトプットを出すためのボトルネックがどこにあるのか?が理解しようとすることです。

「良いアウトプットをするためには良いインプットをしましょう!」と言われて闇雲に本を読んだりしても、本当に良いアウトプットにつながっているか分からないですよね。
問題解決の基本は「分解」ですから、解像度上げてそれぞれの仕組みを細かく見ていくことが有効なアプローチだと考えています。

1つずつ見ていきましょう。

それぞれのステップで必要な筋肉

私なりに理解しているインプットをアウトプットに繋げるために必要な筋肉は、次のようなイメージです。

ステップ1 インプット

インプットフェーズでは、いきなり多くの情報を探しに行こうとするのではなく、「何を見るか」のアタリを付ける作業と、対象がある程度特定されてきたら、「どういう視点で見るか」が大切です。

ここが、サクちゃんの探究学習における話の「気付く能力」に該当する部分だと思っています。1枚の同じ絵を見ていても、Aさんは「綺麗だな」で終わってしまうところを、Bさんは「これはいつの時代に描かれたものだろう?」「この絵に出てくる人は何故こういう服を着ているのだろう?」「作者はどういう意図でこの絵を描いたのだろう?」と様々な観点から着想するだけで、インプットの出発点がまるで違うのが分かりますよね。

仕事における成果物作成プロセスも同じ話です。
先日こちらの記事で「インサイドアウト」と「アウトサイドイン」の考え方の違いを整理しましたが、仕事に取り組むスタンスが「アウトサイドイン」の人は、このインプットの段階で、自分の外に答えがあると信じて、をたくさんの情報の中から探しに行ってしまう

その時点で、「インサイドアウト」の人が生み出すアウトプットに負けてしまう。なぜなら、「答えらしきもの」はネットに溢れていてオリジナリティがなくつまらないからです。

手当たり次第でネット検索を始めるのでなく、目の前の事象を観察し「そもそも何で〜となっているのか?」という問いを自分で立てる筋肉を鍛える必要があります。

ステップ2 編集

集めてきた情報を最終的なアウトプットに変換するにあたり、多くの情報を取捨選択したり、再構成したり、というプロセスがこの「編集」作業です。

ここでは、情報処理のための地頭の良さだったり、編集するための数あるフレームワークを使いこなすことが大切なように思いがちですが、私はそれが本質的な能力ではないと思っています。

この編集処理のために最も大切なのは、自分の頭の中にどれだけ「抽象の引き出し」があり、それがインデックス化されてすぐに取り出せるようになっているか、だと考えています。

「抽象の引き出し」とは、過去の具体的な自分の経験からの学び、という言い方もできるかもしれません。

例えば、過去に経験したプロジェクトの中で「人数が少なかった初期段階ではお互いに価値観を共有しながら上手く進んでいたプロジェクトが、後半になって人が増えてくると全メンバーのコアとなる価値観が共有できなくなり、作ったサービスの方向性が捻じ曲がってしまった」という具体的な体験があったとしましょう。

この具体的な経験が具体のままでは、次のタイミングでは直接当てはまらないので役に立たないのですが、この具体が頭の中で「人が増えると、より価値観の共有機会が重要」という抽象概念としてストックされ、それがすぐに取り出せるように頭の中で構造化できていれば、インプット段階で「何故こうなのだろう?」の答えを検証する段階で、「抽象の引き出し」から仮説を持ち出してきて、1つずつ検証していくことができます。

ステップ3 アウトプット

最後のアウトプットの段階では、編集した情報を誰でも分かりやすい形で伝えるための論理構成力が最も重要と考えます。
どういう順番で、何を、どういう言葉を使って表現すると、相手にとってより端的に物事が伝わるのか。

伝わるデザインはもちろん大事ですが、それ以前に論理構成が破綻していては、伝わるものも伝わりません。ここは以前に結構真面目にまとめてみたので、こちらもぜひご覧ください!

そして、このステップでは、情報の受信側にどれだけ想いを馳せられるか、という想像力が重要になってきます。
自分よがりなアウトプットでは物事はなかなか伝わりませんが、意外と自分よがりなアウトプットは世の中に溢れています。

今日は、良いアウトプットを生み出すための仕組みを私なりに分析して解説してみました。次回は、「じゃあこれらのステップで必要な筋肉をどのように鍛えていけば良いのか」という点について、深掘り解説していきたいと思います!

それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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