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#193 キャリアを面積でなく体積で捉える

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

今日は、先日友人との議論から着想した話をします。
彼は大学時代からの友人で、出会ってから15年以上経っていますが、今でも定期的に1on1の時間を設けています。

彼は外資系メーカーに勤務したあと、スペインでMBA取得し、今はGoogle勤務、ということで、あまりずっと近くにいるわけでもないのですが、時にはオンラインも含めて定期的に議論しています。お互いの家族の近況、今後のキャリアに関する方向性などについてとにかくノートとペンを持って色々と書きながら壁打ちをする、みたいなことを10年以上続けている稀有な存在です。

先日は、彼が勤務する渋谷ストリームのGoogle日本法人の本社に招いてもらい、ホテルラウンジのような食堂で食事を楽しみながら話したキャリアに関する話について、ご紹介します。


20代キャリアと30代以降キャリアの違い

私は、20代は仕事にかなり打ち込んできました。

2010年から新卒で勤務している私は、今のような「働き方改革」が叫ばれる時代より前の働き方を見てきて、また強いられてきて、時間の面でも割とガッツリ仕事をする、ということもしてきました。

20代当時の率直な感覚としては、結婚などもまだしておらず、とにかく仕事の実力を早くつけて周囲から認められたい!という気持ちでやってきました。仕事そのものが楽しかったので「残業を強いられている」というよりも「自分が楽しくて夢中になってやっていたらいつの間にか時間が過ぎていた」みたいな感覚の方が強かったです。

30代になった今の自分には、20代の時に尖って仕事をガッツリやってきたことの蓄積があるのは事実だと思います。
そして30代では、結婚して今では3歳と0歳の子どもがいます。おそらくこの後親の介護問題に直面するタイミングが来るでしょうし、2人の子どもも大きくなるに連れて、また別の悩みが増えてくるでしょう。自身の健康状態にも問題が生じるかもしれませんし、何があるか分かりません。

つまり、20代におけるキャリアは割と単純で、自身の時間の使い道がざっくり「仕事」か「遊び」かしかなかったのですが、30代以降になってくると「育児」「介護」・・・と考える要素が増えてくることになります。
これは、私たちと同じような世代の方には、割と当てはまる状況ではないでしょうか。

キャリアの捉え方は、面積から体積へ

これを図式化してみると、20代のキャリアは、「縦軸に成長、横軸に時間」を取ると、xとyの平面二軸で捉えることができます。厳密には、縦軸の成長は「今の職場における成長」と限定した方がいいかもしれません。
時間が経てば経つほど、基本的にはそこに投下した時間分の成長が得られるはずですから、右にいけば行くほど縦軸の「成長」も上に上がっていきます。

より大きな成長をしたいと思えば、右に伸びていく線の角度をいかに高くできるかが大事になりますし、途中で平面を作ることなく、ひたすら上に伸ばし続けることが必要です。

平面上で捉えたキャリアイメージ

ただ、この考え方はご察しの通り、持続的ではありません。30代、40代、50代になれば一般的には体力は落ちていきますし、ライフステージの変化とともに、仕事以外にも色々と考えないといけないことが出てくるからです。

そうなると、どうしてもどこかのタイミングで右肩上がりの線形を描き続けて、面積を大きくしていくことができなくなりますし、このような感覚で他と自分を比べてしまっては、勝手に自分を苦しめるだけです。

そこで、30代になってからのキャリアは、平面ではなく立体で捉えることが重要になってきます。
単純に「今の仕事における成長」だけでなく、自分の親の介護、育児・・・と色々と他の軸が出てくるので、x軸とy軸だけで物事を考えられなくなってしまうのです。

平面ではなく立体で捉えるキャリアイメージ

このように平面でなく立体でキャリアを考え、そこにプカプカ浮いている球の体積をより大きくしていく、という視点で考えたほうが、より本質的な人間の成長を表現できると考えています。なぜなら「仕事だけができる人が人間性も必ず素晴らしいか」と問われると、決してそうではないからです。

それよりも、いろんな経験をして、社会の様々な物事に好奇心を持って動いている人の方が、魅力的だと感じる方ばかりです。

堀江さんは「多動力」と表現されていますが、業界間の壁が溶けつつある現代において、「複数のことを同時にやる」力の方が求められるようになります。

「業界間の壁が溶ける」とは、テレビの競合がスマホになったり、自動運転のような自動で移動する手段が当たり前になると、自動で移動する手段が車だけでなく椅子になることも考えられ、自動車の競合がインテリア業界になる、というような具合です。

色んなことに親近感を抱く

平面でキャリアを考えていると、例えば子どもの出産や育児で職場を離れている時間について、その時間の成長が止まってしまう・・と焦ってしまうこともないでしょうか。
良くない上司に当たってしまったり、望んだ仕事ができない時間についても、自身の成長が鈍化するのではないか・・と不安になるかもしれません。

以前、以下の記事で「自分のキャリアを俯瞰する」という趣旨でも話しましたが、今の職場における仕事の軸で思うように成長が望めないと感じる時期には、球体の他の場所に移動して(他の軸に目を向けて)、そちらを伸ばしていく時間にできると考えることができます。

平面ではなく、立体を大きくしていくためには、ある一方向だけに自分の時間を投下していくよりも、色んなことに興味を持ち、「色んなことに親近感を持つ」ことが大事になってきます。

色んなことに親近感を持つための近道は、あらゆることの当事者になることです。

だから、職場を離れている時間を平面で捉えると、仕事の成長が止まってしまうとネガティブに考えてしまいますが、立体で捉えることで、今の職場以外の領域に対して親近感を持ち、視野や知見を広げていくためのチャンスであると捉えられるようになります。

キャリアを体積で捉えることで、本当に人それぞれ、ユニークで唯一無二な形が出来上がりますが、それが本来キャリアの面白いところですよね。
そして、全体で大きな形を目指した方が、あらゆる物事をリンクして思考したり、多角的な目線で物事を見ることができるようになり、結果として個人としての価値も高まっていくと考えています。

「ジェネラリスト」と「スペシャリスト」の両方を追求するT型人間を目指しましょう!という言葉に多少違和感を感じていたのですが、これはあくまで平面の領域を出ていないからそう感じるのでしょうね。

当然、リアル社会は二次元ではなく、人間が勝手に2つの軸を持ってきて分かりやすいから無理矢理平面に切り取っているだけです。だから平面上で面積で語るキャリアは、あまり気にする必要がないと考えています。

それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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