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【今でしょ!note#25】 供給制約は地方だけの問題ではない

おはようございます。林でございます。

先日、木下さんの放送で、「供給制約」の時代がもう来ている。そしてそれは地方で先行して発生しているという趣旨の放送がありました。

これは長らく供給過剰の時代が続いた日本にとって、次の時代に突入していく新たな局面で、地方出身の自分としても本当に実感できる話です。

そしてかなり近い将来に、都会の大企業にもその波がリアルに押し寄せ、各社が自社事業の取捨選択をかなりドライに進めなければ成り立たない時代が来るのを感じています。

今日は、私が感じている大企業の供給制約問題についてご紹介します。


供給制約とは

地方で先に直面している供給制約問題は、供給サイドの生産年齢人口の減少スピードと、需要サイドの総人口の減少スピードのギャップにより発生しています。

少子高齢化における人口減少では、新規に生産年齢人口カウントに入っていく若い人に比べ、リタイヤを期に生産年齢人口カウントから抜けていく人のほうが圧倒的に多いですから、全体の生産年齢人口は減少していきます。

一方で総人口については、平均寿命の延伸に見られるように生産年齢人口に比べてその減少スピードは遅いため、需要サイドの縮小は遅れてやってきます。

そのため、そもそも高齢化と人口減のスピードが早い地方では、タクシーが来ない、人手不足で営業を縮小する店が多く出てくる、といった供給能力の制約が顕在化してきました。

大企業における供給制約

都会が地方ほど供給制約問題が表面化されていないのは今のところ事実ですが、生産労働人口の急激な減少が、今後ますます企業の人材獲得競争を過熱させるのは間違いないです。

供給能力不足は、企業の事業継続において致命的な問題ですから、各社は賃上げや労働条件改善により、人材獲得競争を勝ち抜き、何とか供給能力をキープしようとします。

しかし、それを実現するためには、高い収益率にこだわることが前提になります。売上がどれだけ高くても、原価も同じように高く収益率が低い事業では、従業員に還元できる一人当たり賃金を上げることはできません。

また、低収益率の事業は、付加価値が少なく常に余裕がない事業ということでもあるので、高い従業員満足度を維持するのも難しいでしょう。

つまり、大企業の供給制約が事業の方向性に与える影響として、売上ではなく収益率がより重視される企業経営に舵が切られるということです。

売上<収益率 重視の壁

世界の名だたる企業が20%近くの高い営業収益を出している中で、日本企業が10%未満で苦戦しているのは、過去記事でも触れた通りです。

私が色々見てきた中で、勇気を持って超えていく必要があると感じた課題を見ていきます。

1 日本全体がまだまだデフレ脳

「1円でも安いほうがよい」という考えが国民の価値観にまだまだ蔓延っているのは、かなり大きなハードルです。

特に大企業の場合、サプライチェーンは複数階層になっていることも普通ですから、サプライチェーンの大元となる企業が、「安かろう悪かろう」ということの実感がなく、発注額を絞ってしまうと、サプライチェーンの各層で収益率を上げることは難しくなってしまいます。

それだけでも問題ですが、いよいよそんな状況下で事業を継続する合理性を失ってしまえば、サプライチェーンに参加するサプライヤーの供給自体が止まってしまい、事業継続自体ができなくなります。

2 事業ポートフォリオ転換の壁

イノベーションのジレンマに近い話ですが、大抵の場合、大企業を大企業足らしめている現在の主軸事業があります。
そのような事業は、顧客との関係性も長いことが多く、供給過剰時代からお付き合いしていることもままあります。

そのため、収益率に最も直接的に効いてくる単価や単金を上げることに対して、新規顧客よりも既存顧客のほうが合意よりも難しい場合が多いです。

結果として、企業の中に高収益事業、中収益事業、低収益事業が仮にあったとすると、現在の主軸事業が中収益率、低収益率と相対的に下がっていきます。

しかし主軸事業であるが故に、人も多く投入されており、利用者も多く、簡単にはやめることができないという特性があります。

本来であれば、収益率が相対的に下がっている事業であれば、そこに注ぎ込む人的リソース等を他の収益率が高い事業にシフトさせていかないと、会社経営全体から見たときに足を引っ張ることになります。

結果、付加価値や生産性の高い、高収益率の事業への最適なリソース転換ができず、その組織全体の賃上げや労働条件改善といった動きができなくなってしまうのです。

3 従業員の意識

上述したとおり、収益率重視の事業運営では、単価や単金引き上げが効果的です。

市場の相場と比較して、また自分たちが提供している価値を再定義して、適正価格に引き上げていく必要があります。
しかし、そこで働く人たちが何となく自分たちに自信が持てず、「その価格に見合う仕事ができているのだろうか」と考えてしまい、積極的な単価・単金引き上げ交渉に踏み切れないケースもあるのではないでしょうか。

これは、普段から自分たちの仕事の価値は何なのか?ということを考える機会が少ないことにも起因しています。
原価積み上げ型の価格設定ではなく、社会にもたらす付加価値や、顧客から見たときの代替サービスとの比較において、自分たちの適正価格を考える癖を付けていくことに尽きるように感じます。

新規ビジネス創発時の重点基準も変わる

これまでの供給過剰社会においては、新規ビジネスを考えるときの大きな評価基準として、「市場規模が大きいか」がありました。

しかし、供給制約社会においては、いくら市場規模が大きくて需要が存在していても、供給できないという課題に直面します。

そのため、供給を継続できる仕組みを構築できるか、人を大きく投入しなくても、ビジネス規模は大きくなくても、ROIが高いビジネスかどうか、という点が、最重視される基準になると考えます。

当面需要のほうが大きいことはチャンスでもあります。
バブル崩壊以降長く続いた日本のデフレ脳を、付加価値重視・高収益率重視の無理のない仕組みに転換させていきましょう!

それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
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