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読書感想:動物農場

1.概要

1-1.本の情報

  • 題名:動物農場

  • 著者:ジョージ・オーウェル(訳:高畠文夫)

  • 発行:株式会社角川書店 角川文庫

1-2.内容

人間たちにいいようにされている農場の動物たちが反乱を起こした。老豚をリーダーにした動物たちは、人間を追放し、「すべての動物が平等な」理想社会を建設する。しかし、指導者となった豚たちは権力をほしいままにし、動物たちは前よりもひどい生活に苦しむことになる……。ロシア革命を風刺し、社会主義的ファシズムを痛撃する20世紀のイソップ物語。(表紙より)

1-3.著者について

ジョージ・オーウェル(George Owell)
1903年、インド生まれ。イートン校を卒業後、ビルマで警察官になったのち、イギリスに戻って作家となる。スペイン市民戦争を描いた「カタロニア讃歌」、ロシア革命を風刺した20世紀のイソップ物語「動物農場」、現代の管理社会を予見した空想小説「1984」などの作品で「行動の作家」として英文学史に名を残している。(表紙より)

訳者 高畠文夫
昭和3年(1982年)金沢に生まれる。昭和27年、大阪大学文学部英米文学科卒業。〔専門〕英文学。現在、星薬科大学教授。(本書より)

2.感想 ※微ネタバレ注意

  • 私が好きな作品「1984年」と同じ著者であり、たまたまみたYouTubeの要約動画で興味を持った。

  • 内容は、社会主義を風刺した寓話だった。農場から人間を追い出して、理想の農場を建設する……はずだったが、いつの間にか一部が富を独占する、理想とは程遠い状態になる。権力者を止める仕組みがないと、権力者の暴走によって、支配的な社会ができる。その様子が、動物をつかって比較的やわらかく表現されている。ただ、強すぎる権力をもつと、権力者を止める仕組みすら、変えてしまう。社会主義は、一部の人間(動物)しか得しない主義なのだろう。

  • それぞれ理想とする社会や、考え方、知能が異なることから、意見がまとまらない様子や、役割が決まっていく様子がリアルだと感じた。誰も気づかないうちに、権力者に都合がよい仕組みを作っていく様子が怖い。そして、途中で不平等な仕組みであると気づいても、どうにもならない。

  • 馬が砂糖を食べていることに、少し驚いた。馬も甘いものが好きなのか。

  • 別の短篇「象を射つ」「絞首刑」「貧しいものの最期」も面白かった。特に「象を射つ」で、支配側が被支配側に行動が支配される様子が、新しい視点で面白かった。確かに、支配者は、支配者らしい行動をとらなければ、被支配者は従わなくなる。

トップ画像:木々に囲まれた納屋の写真 – Unsplashの無料農場写真

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