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読書感想:一九八四年

1.概要

1-1.本の情報

  • 題名:一九八四年[新訳版]

  • 著者:ジョージ・オーウェル(訳:高橋和久)

  • 発行:株式会社早川書房 ハヤカワepi文庫

1-2.内容

〈ビッグ・ブラザー〉率いる等が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。彼は以前より、完璧な屈従を強いる体制に不満を抱いていた。ある時、奔放な美女ジュリアと恋に落ちたことを契機に、伝説的な裏切り者が組織したとうわさされる反政府地下運動に惹かれるようになるのだが……。二十世紀世界文学の最高傑作が新訳版で登場! 解説/トマス・ピンチョン(表紙より)

1-3.著者について

ジョージ・オーウェル(George Owell)
1903年、英国領インドのベンガルに生まれる。文学のみならず、二十世紀の思想、政治に多大なる影響を与えた小説家。名門パブリック・スクールであるイートン校で学び、その後、数年間ビルマの警察に勤務。やがて職を辞し帰国すると、数年間の放浪を経て、作家となった。主な著作に長篇小説『動物農場』やスペイン内戦に参加した体験を綴ったルポルタージュ『カタロニア讃歌』などがある。1950年没。(表紙より)

訳者 高橋和久
東京大学名誉教授 著書『エトリックの羊飼い、或いは、羊飼いのレトリック』、訳書『二十一の短篇』グレアム・グリーン(共訳、ハヤカワepi文庫)、『哀れなるものたち』アラスター・グレイ(早川書房)、『めぐりあう時間たち―三人のダロウェイ夫人』マイケル・カニンガム、『ケプラーの憂鬱』ジョン・バンヴィル(共訳)、他多数(本書より)

2.感想 ※微ネタバレ注意

  • 曲「Big Brother」が好きになり、曲の題材となった小説の内容も知りたくなった。

  • 内容は、ディストピアSFだった。監視社会に対して、抵抗したいができない主人公が、年下の女性に恋をして、反政府運動にかかわるようになり、希望をなくした。衝撃的で悲しかった。

  • 記憶も、歴史も、改ざんできるものであり、都合の悪い真実は、嘘で塗り替えることができる。そして、塗り替えた後は嘘が真実になる。大半の情報を受け取る側は、真実として信じ込む。葬り去られた真実は、記憶から消えていく。怖い。私が真実として信じているものは、本当の事なのだろうか。

  • 「権力とは人間の精神をずたずたにし、その後で改めて、こちらの思うがままの形に作り直すことなのだ」愛情省の拷問部分が怖い。政府が順調に恐ろしい世界を作り上げていくのに、抵抗できない。現実世界の未来は、もっとましな世界であると願いたい。

トップ画像:地下ガレージの男のシルエットの写真 – Unsplashの無料トンネル写真

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