バレエ漫画原作4(1はこちら↓)

ヒロキ:主人公、21歳、大学4年生、金髪、182cm
ジン:ヒロキの親友、21歳、大学4年生、173cm
ナナ:女子高生、17歳、168cm

「セリフ」【モノローグ】≪あぶく≫

00
@練習場
レオタード姿でバーに摑まるヒロキ
【新国に書類を送って1週間。】
≪気が気じゃねええええええ≫
ナナ
「…オイ」

01
ナナ
「何腑抜けた顔してんのよ!3か月、いや、2か月と2週間しかないのよ!?」
ヒロキ
「なんで受かる前提なんだよ…」
ナナ
「アメリカンバレエシアターの養成所に3年間留学してたのよ?落ちるわけないじゃない」
ヒロキ
「…」
≪でもそれウソじゃん!!!≫
練習をするヒロキ
腕組みをしながら見守るナナ
≪…というより、あの写真、驚いた。≫

02
ヒロキのアラベスクの写真の絵
ナナ
【天地に向かって遠く遠く伸ばされた長い手足。】
【前後に柔らかく動く胸骨。】
【180度外を向く軸足。】
≪これは…≫
≪大好きで大好きで幼いころから毎日踊って染みついた型…≫
「…筋肉足りないけど。」
ヒロキ
「え??ごめん!!!」
ナナ
「筋トレ追加しろ!!」
ブブブッ
ナナのスマホが鳴る
ナナ
「…!!!」

03
ナナのスマホ画面
【書類審査結果のお知らせ】
ナナ・ヒロキ
「結果!!!」

@車内
高槻のマネージャー兼運転手・佐伯
「…高槻さん、結局どうしたんですか?あの経歴詐称の男の子。」
高槻
「んーーーーー。」
「筋肉がね。」
佐伯
「?」
高槻
「現役バリバリの割には、筋肉が足りないんだよね。」
「きっと、かなりブランクあるよ。あの子。」
「普通は、通さない。」
佐伯
「ということはーー」

04
佐伯
「通したんですね。高槻さんらしい。」
高槻
「度胸あるじゃん。経歴詐称。」
佐伯
「若いころの高槻さんみたいですね。」
高槻
「でもまあ、踊ってるところ少し見られればそれでいいよ。」
「そんなに甘くないからね。新国。」

============
ヒロキ
「う・受かったあああああ!!!!」
ナナ
「うわあああああ!!!」
ヒロキ
【踊る切符を貰えた。】
≪嬉しい…!≫
「嬉しいーーーーーーー!!!!」
ちょっと恥ずかしそうなナナ
「…ゴホン」
「まあ、当然の結果ね。
じゃあ、明日から練習するバリエーションを選ぶわよ。」
ヒロキ
「そ、そうだよね。バリエーション…」

05
ナレーション
【バリエーションとは、1分から2分の短いソロの踊り。】
【審査される場合には、ダンサーの長所を最も表現できる演目を選ぶ必要がある。】
ナナ
「踊ったことがあるのは?」
ヒロキ
「…ええと、海賊と、ドンキのバジルと…、」
(※どれも舞台上をバンバン飛び回る演目)
呆れ顔のナナ
「そんな飛んだり跳ねたりが必要なバリエーション、駄目に決まってるでしょ!!」
ヒロキ
「だよね…、今は筋肉落ちてるから…」
ナナ
「私はこれがいいと思う。」
スマホの画像を見せる。

06
ヒロキ
「フランツ…!」

ナナ
「基礎をしっかり押さえていれば、ギリ見られるかな。」
「あとは、飛ぶより回る方がマシでしょ?」
マサキ
「ああ…」
≪それだけじゃなくて…≫
ナナ
「そう。今のあなたの雰囲気にぴったり。」
マサキ
「ヒロインと仲直りして…、結婚式の踊りだよね。」
ナナ
「今、何踊っても嬉しいんでしょ?」
マサキ
「そう。笑」
【一度は仲違いしたヒロインとフランツが…】
1話より回想:
ナナ
「踊れよ!!!」
マサキ
「やめろ!!」
【俺も…踊って良いのか?】
07
【互いを取り戻す。喜びの踊り。】
2話より回想:
【俺は今、踊ってる!】

空気を吸い込むマサキ
「俺と、バレエの踊りだ。」
鼻で笑うナナ
「しょーもな。聞いてて恥ずかしいわ。」
「明日までに振り付け頭に入れといてよね。」
ナナからマサキの手元のスマホにラインが届く
ブブッ
届いたのはYouTubeのリンク
マサキ
「ありがとう…。」
練習室を退出しようとするナナに向かって、マサキ
「でも、なんでここまで!?」
顔が引きつるナナ
「…」
08
ナナ
「うるさい!踊れればいいでしょ?」
マサキ
「ごめん…」
==============
@スターバックス
バイト中のマサキ
「あ、抹茶フラペチーノとスコーン、買って帰っていいですか?」
店長
「おーーんいいよ~」
ジン
「何、珍しいね。普段はコーヒーじゃん。」
マサキ
「ナナがまた食わねえんだよな。」
ジン
「ナナ姫…。あれは自傷行為だよね。」
マサキ
「自傷…って、手首切ってる訳じゃないよ。」
ジン
「うん…、」
09
ジン
「髪を抜いたり、ピアスを沢山開けたり、って訳じゃない。」
「でも、自分が嫌いで、消えてしまいたくて…って、俺は自信がないタイプだから、分かるよ。」
ジンの長めの髪の間から、沢山ピアスの穴が開いた耳が垣間見える。
マサキ
「うん…。」
にこっと笑うジン
「そういうときはね」
============
ナナの家に向かって自転車を漕いで、
途中から走るマサキ
10
ナナの部屋の扉を叩くマサキ
「おい!!」
ナナ
「何?うるさいな…」
スタバの飲み物・お菓子と、コンビニのおにぎりとサラダチキンを抱えたマサキ
「一緒に食おうぜ」
ナナ
「いつも練習場で一人で食べてるじゃん…」
マサキ
「いや、俺、ちょっと寂しくてさ笑」
「広いじゃんあそこ」
ナナ
「…私、食べないけど。」
マサキ
「じゃあ、俺が勝手に食べるから、横に居て。」
ナナ
「…」
手を伸ばすナナ
11
スタバのスコーンを手に取るナナ
「…」
マサキ
≪ふーん。スコーン好きかよ。≫
==========
練習後、汗をかいたマサキ
「じゃあ、俺、帰るからー」
いつもの制服と違い、パジャマ姿のナナが現れる。
ナナ
「…ちょっと待って。」
「…」
「今日は、ウチで寝て。」
マサキ
「ハア!?!?」
ナナ
「こっち来て」
12
いつもとは違う部屋に案内するナナ
「ここ、布団新しくしてるから。」

壁一面に本が並んでいるが、生活感はない。

イメージ

マサキ
「…誰の部屋?」
ナナ
「父」
==============
マサキ
【それからナナは、ぽつぽつと、自分と父の話をし始めた。】
ナナ
「父はー」
13
ソファにうずくまるナナ
「誰にでも厳しい人なの。他人にも、自分にも。」
「…、あ、そういえば、父はバレエダンサーなんだけど。」
マサキ
≪やっぱりなーーーー!!俺、お父さんのシューズ勝手に使っていいのかよ!≫
ナナ
「私がバレエをしていることには、あんまり関心が無くて。」
回想:幼いナナ
「でも、勝手に楽しくて踊ってた。」
くるくる回って飛ぶナナ
「できないことは無くって。ただただ踊れて嬉しくって。」
マサキ
≪できないことないって…。うぜえな、天才かよ。≫
ナナ
「でも、事故が起きた。」
14
ナナ
「私の右手の小指は、もうたぶん一生動かない。」
マサキ
「…」
ナナ
「わかるでしょ?致命傷ってことくらい。」
マサキ
【指一本…。それだけで、プロの道が閉ざされる。厳しい世界だということは、俺にも分かる。】
ナナ
「踊れないことがツラい。私にはそれ以外に何にもないから。」
泣き出すナナ
「でも、厳しい父は、辛くて動けない私を認めてくれない。」
「勉強も、ほかのスポーツをすることも、食べることさえ、今はできない。」
「助けて…マサキ…」
15
ナナの頭を撫でるマサキ
「何にもしなくて良い。」
「生きてるだけでいい。」
ソファで並んで眠るマサキとナナ
マサキ
【そのとき咄嗟に口から出た言葉だった。】
【でも俺も、隣に居ることしかできない。】
つづく。⑤はこちら↓

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