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推しは死ぬもの。

私にトラウマと謎の性癖を植え付けたキャラ、T。
未だその子が死んでしまった傷が癒えないため、名前は出さない。

私がTと出会ったのは、私が中学生に入ったばかりの頃だったと思う。
後に隣の席になった子の影響でオタクに転がり落ちる私だが、その時はまだ「少年ジャンプを購読していて有名な漫画やアニメを知っている」程度のただの漫画好きだった。
そんな私があるゲームをきっかけに、Tにのめり込む事となる。
そのゲームの名は「スーパーロボット大戦」。
ロボットアニメ好きなら誰もが知っているであろう有名シリーズだ。
家族が中古で買ってきたそれを、最初はさして興味もなく後ろから眺めていたのだが、そのシステムの面白さにどんどん引き込まれていった。
私はロボットアニメに関しては、エヴァやガンダム等の存在は知っていたものの、アニメ自体を見た事が無いニワカであった。
だから私のスパロボ初体験は登場人物をほぼ全員知らない状態でのプレイとなった。(これは結構珍しいの事かもしれない。)
ゲームを進めるうちに操作出来るキャラが増え、お気に入りの機体やパイロットも増えた。
そして気がついたら、本当に気がついたらTが大好きになっていたのだ。
何のドラマも無いクソみたいなエピソードですまない。
でも本当に、Tの事はなんとなく仲間になったから使っていただけだったのだ。
でも最終的にはMAP兵器を持った強キャラを押しのけ撃墜王になったT。
気がつけばほぼ全ての敵の撃破をさせるT育成ゲームと化したスパロボ。
一人だけ改造度MAXの主人公機に主人公を押しのけて乗るT。
何の理由も無く、(今では外見も大好きだが)特に好みというわけでも無く、何となく使い続け、大好きになったT。

ゲームを終えた私は、Tの姿を求めレンタルビデオ店へと向かった。
Tの出ている作品は当時としても大分古いものであったが、運良くレンタルされていた。
そのアニメは大変面白く、夢中になって一日に何話も見る事もあった。
アニメでもTは主人公と敵同士であった。
スパロボで戦った後に味方になったTを、「いつ仲間になるのかな」と私はわくわくして見ていた。
信じて疑わなかった。
ここまで書けばもうみんな分かっていると思うが、というかタイトルにも書いてあるのだが、Tは最期まで仲間にはならなかった。
私には、Tが死んでしまった後から最終回までの数話分の記憶が抜け落ちたように無い。
Tが死んでも私はそれを理解しようとしなかった。
どう見ても死んだのにまだ希望を持ち続けて信じていた。
最終回、(Tとは関係のない)そのあまりの展開に、その面白さ壮絶さに、私は気がつけばアニメを正座で見ていた。
エンドディングでは感動し号泣した。
そんな心から楽しんだ最終回だったが、心のどこかでは「T生き返らなかったな……」という想いが残っていた。

それからである。
私が変な性癖(?)に目覚めたのは。
中1~中2の女子である。エッチな事に興味があるのは普通だろう。
だが、誤解しないで頂きたいのは、私はTをそういう目で見たことは一切ない。
無い。
話は少し戻るが、アニメの最終回を見てTの死を確信した時、私の壊れた頭は「Tが主人公を食べるしか無い」というぶっ飛んだ謎の答えを導き出したのだ。
ノートの裏に拙い絵で描いたさ。
Tが主人公の生首を持っている絵を。自ら望んで食べられようとする主人公を。
こうして文字にしてみると自分でも自嫌悪感が半端ないのだが、カニバリズムという言葉も知らない子供が、ショックのあまり気が狂ってR18をすっ飛ばしR18Gに移行したのだ。

全然良い話が書けない。
もっとこう、Tが1秒でも長く生きるためなら私は喜んで犠牲になるとか、そういう行き過ぎているかもしれないけれどマトモな感覚もたしかに残っているのに当時の衝撃ばかりを強調してえ書いてしまった……。

今でもTの事は好きだ。
愛している、という言葉とは違うかもしれない。
例えば夢女子だったら彼女になりたいとか思うのだろうが、私は一切そんな事は無いから、これがどういう感情なのか表現に困ってしまう。
愛玩用かと言われてもしっくり来ないし、崇拝に近いのかも知れないけれどそれとも少し違う気がする。
ただ、極力Tに幸せになって欲しい、ただそれだけなのだ。
そしてそのために必要なのは私なんかでは無く、スパロボの主人公なのだ。
ここで言うスパロボの主人公とは、クールでニヒルちょっと変な性格だけど女好き優しい熱血漢のどれでも無い。(ニヒルって何だ?)
ジェスでもヘクトールでもイルムでもあの何だ、インテリっぽいあいつでも無いのだ。
私が求めているのは、アニメの世界の業を背負ってニューゲームした人生2周目以降の主人公なのだ。
正直、スパロボで原作のキャラが崩壊している事は結構ある。
主人公や悪役がいい方向にシフトし、アニメでは叶わなかった共闘や仲直りが見れる事がスパロボ最大の魅力だと私は思う。
悪役好きの私としては欲を言えば最初から最後までティターンズ側でプレイしたいのだが、それは今は関係ないな。
そう、そんな精神的に大人で強さと優しさを兼ね備えた最早誰だか分からなくなった主人公、それが必要なのである。

私の好きになったキャラはよく死ぬのだが、というか死人が出るタイプの作品ならばほぼ100%死ぬのだが、それは私がTの影を追っているせいだと思う。
Tによく似た、もしくはTと境遇の重なるキャラを好きになるから、当然死ぬ。
トラウマが蘇り謎の性癖が加速する。
そんな事を何度も経験してきた。
どの作品にも言える事だが、私は推しを殺した人物については特にどうとも思わない。
推しでは無いので好きでも無いけれど、憎いとか嫌いとか、そういう感情は一切ないのだ。
むしろ推しを殺すキャラにはそれなりの役目や理由があり、その結果がTの死ならばそれは仕方ないと思う位だ。
だが推しが死ぬと、私の主人公に対するヘイトは一気にMAXだ。

「何で助けなかった。何で側にいなかった。何で仲間にしなかった。お前にしかできなかった。お前しかいなかったのに。」

メンヘラである。理不尽極まりない本音である。
私はスパロボが大好きだし、主人公に助けられる推しを見ると本当に救われる。
「求めていた世界」がそこに有る。
だが原作の主人公は常に不器用で、一周目なので精神的にも未熟で、ゲームスタッフの意志も働いていないため、Tを助ける余裕なんか無い。
Tに変化を求めずに主人公にだけこんな風に思うのは理不尽だが、人間だもの仕方がない。
私が主人公になってTを助けてあげられたらな、なんて思った事もある。
その前に世界が滅ぶだろうけれど。

スパロボをいくつかプレイする中で、一度だけTを死なせてしまった事がある。
血の気が引いた。
アニメでTの死を認められなかった時と同様にゲームを少し進めて、ようやく現実に気がついた。
必死に攻略情報を確認し、死んだ目でリセットボタンを押して数十時間をやり直した。
そのためだけにプレイしていた。
Tを救えると分かると同じゲームを何周もクリアした。
ルート分岐があったが、Tのいない部隊に興味は無かった。
喜びと満足感と、そしてまたTを救えない世界線の存在を思い時には虚無った。

私には何も出来ないし、Tに認識されたいわけでも無い。
それでも多分大好きだよ、T死んでるけど、死んでもいいから、楽しく過ごして欲しいと今でも思ってる。
やっぱりTの笑顔が好き。
どんな顔でも好きだけど、そうじゃなくて、そういう世界を望んでる。

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