見出し画像

怪我フェチへの誘い 序章

「Invitatin~怪我フェチへの誘い」の序章となっておりますが、こちらが後から書いたものです。確か女性目線からも読んでみたいとリクエストがあり、書き始めたら、一番怪我フェチっぽい内容になっちゃいました。私は包帯遊びが小さな頃から大好きでしたが、たぶんその理由はこの小説の中にあります笑。共感してくれる方がいると信じてます!  Yuutsuki拝

2009年10月 2日 (金)

Happy Birthday! 1

久しぶりの休日。

ずっと仕事が忙しく休日返上だった
優里亜は、お昼近くにやっと起き出し
シャワーを浴びた。

ガウンを着て
「おなか空いたなあ」とつぶやく。

しばらく買い物もしてないから
冷蔵庫は空っぽ。
一人でランチもつまらないし..と
親友の奈美に電話してみる。

「ランチ、いいよ。私もヒマしてたし」

去年玉の輿に乗って、
セレブな専業主婦(子どもなし、メイド付き)
を謳歌している奈美は速攻OK。

 二人で話に花を咲かせ、
2時間ほどかけてランチを楽しんだあと
奈美が切り出した。

「ねえ、優里亜、明日は仕事なの?」

「ううん、実は3日間オフなんだ。
久しぶりだけど、急だったから
何の予定も立ててなくて」

「じゃ、これからウチに泊まりに来ない?
今夜はパーティーもあるし。
いい男くるかもよ」

洗濯とか掃除とか
やらなきゃいけないことは
いろいろあったけど、
優里亜はこの話にのることにした。
たまには優雅に過ごしてみたい。

「じゃ、善は急げ、よ。今から行こう!」

「ちょっと待って、準備しなきゃ」

「ウチになんでもあるから。
服も靴も私と同じくらいの
サイズで大丈夫でしょ?」

あれよあれよと言う間に、
どこかで待機していたお抱え運転手の
自動車で、奈美の家に連れて行かれる。

パーティーは遅い時間からというので
ゆっくりお風呂に入って
一眠りまでした優里亜は、
奈美が用意してくれた
ドレスを着て戸惑ってしまった。

体のラインがはっきりわかる素材のうえ
胸元が大きく開き
裾は膝上15センチほどの位置で
イレギュラーなフリル状になっている。

ハイヒールの高さは
15センチ以上ありそうだ。
「ねえ,奈美。これ、
恥ずかしいんだけど..」

「あら,似合うわよ。
優里亜はスタイルいいのに
いつも地味な格好してるから、
一度こういうの着せてみたかったのよね。
さ、メイクしましょ」

なんと、
ヘアメイクアーティストまで呼んでるという。
お金持ちってすごい。
 
ヘアメイクをしてもらい、
怖くて値段が聞けないような
ジュエリーを付けてもらった優里亜は、
すっかり大胆な気分になってきた。

慣れないヒールにも
なんだか妙に快感を覚える。

大きな鏡の前で、
モデルのような歩き方を練習してみる。

「けっこういけるかも」
なんて思って、くるっと一回転した途端
軸にしていた左足のヒールがねじれ、
優里亜は床に倒れ込んだ。

「きゃああっっ!!!!
いっっっ、痛っっっ!!!!!!」


悲鳴を聞きつけたメイドがやってきた。

「優里亜さま、どうされました?」

「あ、足が...」

「まあ!無理して動かない方がいいですわ。
今、他のものを呼んで参りますから...」

すぐに部屋に見知らぬ男が走り込んできて
痛みにうずくまっている状態の優里亜を
慎重に助け起こし、ソファに横たえる。

「痛むところは足だけですか?」

「..ええ。左..足が..」

男は「失礼します」といいながら
優里亜の左足を繊細な指先で調べる。

痛みのある箇所で
優里亜が小さく悲鳴をあげる。

と、その時、奈美がやってきた。

「優里亜、怪我したって、
大丈夫?どうなの?」

優里亜が口を開くより早く男が

「左の足首と膝を捻ったようです。
いわゆる捻挫ですね」

「歩けるの?」

「歩けないほどの重症ではないと思いますが
検査してみないと詳しくは...とにかく、
これから腫れが出てくると思われるので
冷やして安静にしませんと...」

「ちゃんと手当てしてパーティーに
出られるようにしてあげて。
頼むわよ、ドクター」

優里亜は当惑顔の男の顔を思わず窺った。

この優男がドクター?
ついに奈美は専属のドクターまで雇ったのか...。

Happy Birthday! 2
とにかく手当をしてもらう。
まず左足の足首と膝周辺に湿布が貼られ
左足ほぼ全体に弾性包帯という
締め付け感の強い包帯が
しっかりと巻きつけられる。

だまって手当の様子を見ていた奈美が
くるっと背を向け部屋を出て行きかけ
ふと思いついたように告げた。

「ちゃんとその靴履けるように
するのよ。わかってるわね」

「ちょっと、奈美!なに言ってんのよ!!」

奈美は手をひらひら振りながら
出て行ってしまった。

「....あ、あなた、医者なんでしょ?
まさか、奈美の言いなりになるわけ?」

「はい。奈美さまには逆らえませんから...」

「無理よ。この足であんな
ヒールはもう履けないわ」

「なんとかするのが私の仕事ですから」

....ああ、なんてこと。

「靴を履いてみていただけますか?」

「マジで?」

「はい、お願いいたします」

どうやら冗談は通じそうにない。

ため息をついた優里亜は、
膝を曲げようとして顔をしかめた。

「膝が..うまく曲げられないわ。
靴を履かせてくださる?」

真面目な顔のドクターが靴を手に取り、
優里亜の足にヒールを履かせる。

「ああっ....」

ハイヒールに無理矢理入れられた足と
ヒールによって
伸ばされた状態になった足首の痛みに
優里亜はうめき声を漏らした。

また「失礼します」と言いながら、
ドクターはヒールを履いた状態の
優里亜の足首を、
今度は伸びのない包帯で
何重にも巻きガチガチに固定する。

その後、膝の上下を
ガチガチになるまで包帯で巻き付ける。

「ちょっと歩いてみていただけますか?」

優里亜は潤んだ目でドクターを見上げた。

「手を....貸していただける?」

抱きかかえられるようにして
立ち上がった優里亜は
「はあっっ!!」と吐息を漏らし、
ドクターにもたれかかった。

「すみません。痛みますか?」

「ええ....いいえ、大丈夫よ....」

優里亜はドクターの服にしがみついて
動けない。
足が痛む、というよりも
全体をガチガチに締め付けられた左足に
優里亜はなんともいえない感覚を
覚えはじめていた。

「やはり歩くことはできませんか?」

「大...丈夫よ」

ドクターに支えられたまま
「はあっっ...!ああっっ..!」
という、吐息とも喘ぎ声とも
つかない声を漏らしながら
優里亜は歩きだした。

一歩踏み出すたびに左足に走る痛みと
包帯による締め付けが、
優里亜を恍惚へと誘う。

「あ、ああっっ....!!!」

ドクターに再びしがみついて
動けなくなった優里亜は、
頬を上気させ荒い息づかいで
今にも崩れ落ちそうだった。

と、その時
カツ、カツ、という音が響き、
優里亜を我に返らせた。

はっと振り向くと、
右足首と右手首に包帯を厚く巻き
松葉杖をついた奈美が立っていた。

「な、奈美!!!どうしたの?
あなたも怪我を?!」

「うふふっ。これはフェイク。
あなたの包帯姿、とても素敵なんだもの。
ずるいじゃない?」

「ずるいって...そう言う問題じゃ....」

「あたしと優里亜は一緒に
階段から落ちたの。
そういう設定。いいわね?」


啞然として何も言えない
優里亜におかまいなく、
奈美が松葉杖を手にポーズをとる。

「素敵な杖でしょ?
特注の黒檀で作ってもらったの。
フレンチスタイルの松葉杖なんですって」

「なんでこんなものまであるの?」

「言ったでしょ?
ウチにはなんでもあるって。
ギプスなんかのグッズも揃ってるから安心して」

....かえって安心できない。

「さ、パーティーに行きましょ。
みんな私たちを待ちかねてるわ」

「ま、待ってよ」

優里亜は左足を引きずり
何とか歩き出すが、
痛みと包帯の締め付けによる
痺れのような感覚が足に走り、
体がうまく動かない。

「...奈美!待ってったら!
あなた、怪我してるんでしょ?
そんなサクサク歩いたら
変じゃない!?」


「あ、そうか」

「そうよ、ちゃんと演技しなきゃ」

「ついワクワクしちゃって。
アドバイスありがと」

「....どういたしまして.」


パーティーが開かれているという
大ホールに近づくころ、
奈美はすっかり怪我人らしくなっていた。

顔色まで心なしか青ざめて見える。
さすが、元女優。

一方、優里亜の足の痛みと痺れは
強まってきていて、
特にハイヒールで痛めつけられている上
体重がかかる足首は、
耐えられないほどの痛みを訴えていた。

「奈美....やっぱり私もうだめ
...これ以上歩けないわ」
壁に寄りかかって体を支えながら
優里亜が必死に呼びかける。 

「しょうがないわね。
じゃ、この杖使っていいわよ」
 
杖に全体重を預けるようにして、
足を引きずりホールに入った
優里亜の目に入ったものは....

着飾っているのはもちろん、
容姿も格段に美しい男女たちが
星座のようにさざめき煌めいている
別世界のような光景だった。

奈美と優里亜の姿を認め、
わあっと歓声が上がり、
しかしそれはすぐにどよめきに変わった。

美しい人々の中でも、
ひときわ美しい男が代表のように進み出て
包帯を巻いていない
奈美の手をとり口づけをした後、
抱えるようにソファへと誘う。

包帯姿の二人を見て、
一瞬固まった空気が動きだした。

優里亜も別な男に支えられながら
移動し隣のソファに座った。

少しずつ集まってきた人々が
二人を遠巻きにする。

心配そうな皆が口を開くより早く、
奈美がにっこりと笑いながら口を開いた。

「驚かせたようでごめんなさい。
ちょっとしたアクシデントがあって..。
あ、こちらが私の親友、優里亜よ。
彼女も足を怪我しているから
助けてあげてね」


Happy Birthday! 3
「..はあっっ...」

優里亜はため息をついた。

目の前のきらびやかな光景が
あまりにも現実離れしているため、
映画のスクリーン中に間違って
入り込んでしまったように
身の置き所がない。

奈美は、時々顔を顰めたり
「いたっ!」と声をあげる演技を
ちゃんとしつつ、
人々の中心で泳ぎ回っている。

(確かに..包帯が奈美の魅力を
更に増してると言えるなあ..)

ひとりごちた優里亜の左足に、
かすかな電流のようなものが走った。

「あ..あっっっ.....」

思わず足をおさえ喘ぎ声をあげてしまう。

「すいません!
痛む足にさわっちゃいましたね」

顔を上げると、
涼しげな切れ長の目をした
青年が心配そうに跪いていた。

「違うの..。大..丈夫。
ちょっとぼおっとしてたから..」

思わず顔を赤らめ、しどろもどろになる。

「お酒をお持ちしたのですが、
あまり怪我にはよくなかったでしょうか?」

「いえ、いただくわ」

グラスを受け取ろうとして

左足に力がかかり
「くっ..つっっ..」と声を上げ、
動けなくなる。

優里亜の包帯で包まれた左足は
まるで性感帯のようになっていて、
ちょっとした刺激で体全体に痺れが走る。

私....
いったいどうしちゃったんだろう..?

「つらそうですね。
氷でもお持ちしますか?」
言いながら、
青年が優里亜の足を優しくさすった。

「ああっっ..!!
だっ..だめっっ..!!
お願い..さわらないで....」

優里亜の悲鳴を聞いて皆が振り返った。

ちゃんと足を引きずる演技を
忘れていない奈美が走り寄ってきた。

「優里亜、どうしたの?大丈夫?
この子が何かした?」

青年は困った顔をしてうなだれている。

「違うの。この方のせいじゃないから..」

やっとのことで言葉を絞り出す。

両手でかかえながら
左足をソファから下し、
思い切って力を入れる。

「痛っっっっっ!!!」

本物の痛みが足に走り、
優里亜の頭を少しクリアにしてくれた。

「....奈美。私、部屋で休むわ。
いいでしょ?」

「う、うん...いいけど..」

奈美は、おもちゃを取り上げられた
子供のようにちょっと不満顔を見せたが、
すぐに気を取り直し、
てきぱきと指示をはじめた。

ドクターが車いすを持ってきて
優里亜を乗せ、
まず、左足のハイヒールを脱がせる。

激痛に思わず大きな悲鳴を
上げてしまった優里亜を
皆が見つめる中、
車いすはゆるゆると進みだす。

左足を震源とする痛みと痺れに
皆の視線が突き刺さるような気がし、
優里亜は車いすの手すりを握りしめ
恥ずかしさと、押し寄せる不可思議な
感覚に必死で耐えた。

ホールを出て部屋に運ばれていくうち
ようやく優里亜は冷静さを取り戻してきた。

(ああよかった。
気が変になるかと思った。
あの場の雰囲気に呑まれただけだよね、
きっと。
それにしても、足痛いんですけど。
マジで....。)

部屋のベッドに優里亜をのせ
ドクターが慎重に
足の包帯を解きはじめた。

少しずつ包帯の圧迫が解かれ

血が通う感覚が走る。

「...あっ..!うくっっ...」

「すいません。
包帯キツすぎましたね。
痛かったでしょう?
いや...もしかして
腫れが出てきてるかな」

独り言のようにつぶやきながら
ドクターが包帯を解く。

「ああ、やっぱり。
無理したから腫れが
ひどくなってしまいましたね」

(そんなこと言われても....
医者だったら無理しないように
止めて欲しかった..)

今やドクドクと脈打つ左足の痛みに
歯を食いしばりながら優里亜は思った。

その夜、左足全体をシーネで固定され
痛みと熱に浮かされながら
優里亜は夢を見た。

松葉杖をついた自分が、
真っ白な包帯に厚く包まれた足で歩く。

喘ぎ声をあげながら、
それでも歩く一歩ごとに
激しい痛みが足から全身に走り
優里亜は痛みと快感で身を震わせる。

ああ、もっと痛みが欲しい!
もっと!もっと包帯で締めつけて!
ああああっっっっっっ!!!!

それは、今まで味わったことのない

甘く激しく切ない絶頂だった..。


Happy Birthday! 4
次の日の昼頃
奈美が部屋にやってきた。

「調子はどう?」

「う、うん....大丈夫」

うとうとしていた優里亜は

左足に力を入れないように
ゆっくり体を起こしながら言った。

「昨日はごめん。途中で抜けちゃって」

「ま、過ぎたことはいいわ。
それよりおなか空かない?」

言われてみると、
昨日の昼から何も食べてない。

「そうね。なにかいただこうかな」

「じゃ、準備して」

「え?」


奈美が指を鳴らすと、
メイドが数人入ってきて
優里亜を抱えるようにして
バスルームに連れて行く。

「ちょっ、ちょっと待って..
あっつ!痛い、痛いってば」
メイドたちは優里亜の足を
慎重かつ強引に持ち上げながら
シャワーを浴びさせ、
また派手な服を身につけさせる。

タイミングを計っていたように、
ヘアメイクアーティストと
ドクターがやってきて、
それぞれの仕事を黙々とこなす。  

30分後には
ヘアとメイクが完璧に仕上げられ、
左足はハイヒールを履いた状態で
包帯が分厚く巻かれていた。

「さ、どうぞ」

奈美が2本の松葉杖を差し出す。

「あの..」

「なによ、車いすの方がいい?」

「そう言う問題じゃなくて...
もしかして..どこか行くの?」

「当たり前でしょ?
せっかくの包帯姿なんだから」

今気付いたけど、
奈美も昨夜と同様右手と右足に
包帯を巻いて黒檀の杖を持っている。

「昨日は包帯をキツくしすぎたので、
今日は緩めに厚く巻きましたから
大丈夫だと思います」

ドクターが言う。

(思います..って....
あんた医者だろ..
まあ、奈美に逆らえないのは右に同じ
..しょうがないか)

あきらめて松葉杖を手に立ち上がる。

着せられたドレスはやっぱりミニで
包帯を巻いた足が剥き出しだ。

文句を言う暇もなく

「早く!おなか空いた!」

さっさと歩き出す奈美を
必死で追いかける。

松葉杖を使うのは初めてで、
しかも左足はハイヒールを履いた状態で
膝上まで固定されているので、
どうやって歩いていいかわからない。

左足のヒールの踵が
時々床にぶつかったり、
引っかかって躓き、
転びそうになったりする。

「つっっ!!...痛っっっ!!
.....痛い!.
..奈美!待ってよ.
.あっっああああっっ!!!」

焦って転びそうになった
優里亜をドクターが後ろから支えた。

「ああっっ...!!
あ、足が...痛あ...つっ.!」

やっとのことでリムジンに
抱え込まれて乗り込み、
足をさすって喘ぐ。

さすがに奈美も心配になってきたらしい。

「ごめん。もう無理しなくていいわ。
うちに戻りましょう。
今車いす持ってきてもらうから」

「..ううん。大丈夫。
せっかくだから行きましょ。
そのかわり、足が動かないように
もっと包帯を巻いて欲しいの」

優里亜は、昨夜の夢の中のように
痛みと痺れを感じながら歩くことに
快感を覚える自分を制御できずにいた。

頬を紅潮させ、熱っぽく喘ぐ
優里亜の横顔を
複雑な表情で奈美が見つめていた...。


Happy Birthday! 5
二人は夜半まで街を歩き回った。

少し歩いては痛みに足を止め、
励まし合い、いたわり合う二人に、
あちこちから熱い視線が注がれた。

さすがに痛みと疲れで
ぐったりしてきた優里亜を見て奈美が
迎えを呼んだ。

待機していたらしいリムジンが
すぐに滑り込んでくる。

と、急に走り出した奈美が
リムジンに衝突し、激しく転倒した。

「奈美!!!」

走りよろうとした優里亜は
左足の激痛に倒れ込む。

しばらく身動きどころか
声も出せずにいた優里亜を
ドクターが支え起こす。

「...奈美は?」

「大丈夫ですよ。車で待ってますから」

抱きかかえられてリムジンに乗り込むと
奈美が左足をさすりながら

「ごめんごめん」
あっけらかんと謝った。

「奈美!な、何が...!」

事態が理解できず、言葉が出てこない。

「あーあ、失敗。
間違って左足の方ひねっちゃった。
..ほんとの怪我が
うらやましくなっちゃって、つい」

「つい..って」

奈美のクレイジーさは
知ってたつもりだったけど.
.これほどとは..。

「..でもさ、楽しんでたでしょ?
優里亜も」

「えっ?」

痛む足をさすっていた
優里亜はドキッとした。

(確かに...私..楽しんでいた
...痛みと拘束感..
熱い粘るような視線.....)

カアッと頬が熱くなる。

「Happy Birthday 優里亜」

「えっ?いやだ。違うわよ奈美。
先月よ。祝ってくれたばかりじゃない」

「そうじゃないわ。
今日あなたは生まれ変わったの。
..ようこそ、Fetishの世界へ...」



「..痛っ!」

シーネを外して足をついてみた
優里亜は思わず悲鳴を上げた。

あれから10日。

さすがに無理をした足は腫れまくり
激痛が続いた。

ギプスはまだ抵抗があり辞退したものの
足全体をシーネで厳重に固定され、
松葉杖で足を浮かせて移動しながら
なんとかデスクワークをこなした。

でも、明日あさっては
取材旅行が入っている。

他の人に頼むこともできたが、
優里亜は、あの痛みと包帯の拘束感を
恋しく思い出しはじめていた。

それに、一緒に行くカメラマンの
可愛い後輩がどんな反応を示すか、
好奇心を抑えきれない。

優里亜は呼び鈴でドクターを呼んだ。
奈美の家には、怪我をしてから
ずっと滞在させてもらっていた。

すぐに来てくれたドクターに
包帯を巻いてもらう。
伸縮包帯をしっかり巻いた状態で
歩いてみる。

「痛たたっっ..」

痛みはけっこうあるが、
歩けない訳ではない。

「優里亜さま。
まだ杖なしで歩かれるのは
無理かと存じますが..」

「あら、それなら最初から
無理させなきゃよかったでしょ。
とにかく明日はこれで行くわ。
大丈夫。
固定用の包帯もたくさん持っていくから。
..足が悪化したら...
また治療お願いね」

婉然と微笑む優里亜にドクターが跪く。

明日の朝歩けないと困るので、
また湿布を貼った足を
シーネで固定してもらい
優里亜はベッドに横たわった。

(最初はパンツスーツで
包帯がチラリと見える程度にしよう。
..途中で足が痛みだすだろうから、
固定包帯で足を巻いてもらって
...それから...)

妄想を膨らませながら
優里亜は眠りについた...。 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?