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最近の【ほぼ百字小説】2024年6月30日~

*有料設定ですが、全文無料で読めます。

【ほぼ百字小説】をひとつツイート(ポスト)したら、こっちでそれに関してあれこれ書いて、それが20篇くらい溜まったら、まとめて朗読して終わり、という形式でやってます。気が向いたらおつきあいください。


6月30日(日)

【ほぼ百字小説】(5302) 小指の先ほどのラッパが落ちている。誰のためのラッパなのかはともかく、吹くためのラッパだろう。ラッパが登場したからには、どこかで鳴らされねばならない。そう考えたところで、前方には見上げるほどのラッパが。

 まあ夢みたいな話ですね。実際、ぼけーっとしてたらこういうのが浮かんで来た、というだけのやつ。ラッパ水仙とかそういうラッパみたいな形の花を見た、というのもあるのかな。あと、ラッパと銃は似ている。ラッパが登場したからには、というのは、いわゆる「チェーホフの銃」というやつですね。いや、あんまり考えてないけど。

【ほぼ百字小説】(5303) 夜、サンダルでゆっくり走っている。走りながら音楽を聴かなくなったのはいつからだったか。音楽を聴きながらでないと走れなかったあの頃は、走るだけでは退屈だと思っていたのだろう。もっとゆっくり走ってみよう。

 そのまんま。サンダルで走るようになったのは、『Born to run』という本を読んだから、というのは前にも書きました。とにかく、ランニングシューズが故障の原因になっている、というなかなか衝撃的な内容で、しかも説得力のある本でした。他にもいろいろおもしろい。そして、音楽を聴かなくなっても、全然退屈しなくなったのもそのせいがけっこうあるような気はします。もうこの年齢ではどうせ速くなんかならないし、壊れたらやっかいなので、走る目的自体が変わっていくんですね。それがおもしろい。

7月1日(月)

【ほぼ百字小説】(5304) 水溜まりから何かが出てくる。前は首から上だけだったのが、今は胸のあたりまで出ていて、両手も使える。だからジャンケンをしよう、としきりに誘ってくる。してもいいけど離れたままでね。そう言うと舌打ちされた。

 よく降りますね。空き地も水溜まりだらけで、それでまあこういう妄想。水溜まりはじつは深くて、そこから何かが出てくる、というのは子供の頃からの妄想。頭だけぽこんと水面から出てる。で、それがだんだん出てくる。手が使えるとジャンケンができるわけですが、きっと目的はジャンケンをすることじゃないんだろうな、とか。

【ほぼ百字小説】(5305) 近所の動物園で人間が動物を演じる芝居が行われているので観に来たが、あいにくの雨。動物園は閑散としていて人間より動物のほうが多そう。人間を演じる動物が動物を演じる人間を演じている芝居みたいに見えてくる。

 天王寺動物園までは自転車で15分ほどです。ここで、知り合いの超人予備校という劇団が「おはなしえん」という企画をやってて、それを観に行ったのでした。私も出たことがある「おはなしえん」ですが、雨の日はお客さんが少ない。そりゃそうですね。雨の日に動物園に行こうという人はあんまりいない。まあ昨日は幸い、午前中に振っただけでけっこうお客さんは入ってたんですが、台風接近前でほとんど大人の知り合いしかいない、なんてことがありました。動物のほうが多い動物園、というのはかなりヘンテコです。

7月2日(火)

【ほぼ百字小説】(5306) どうせ変わらない、くだらない、興味がない、関わるのは馬鹿馬鹿しい、と棄権を呼びかける。自らの意志で積極的に棄権したことを示すために、白票を投じることを薦めたり。どうせ変わらない、と信じ込ませるために。

 まあ、あるあるですね。そして、まさに思う壺です。選挙あるある、そして今ココ、という日記みたいなものとして。

【ほぼ百字小説】(5307) 大地だとばかり思っていたが、揺れ過ぎていたから船だったことがわかり、船だと思っていたが、地面みたいだから泥船だったことがわかり、噴水だと思っていたそれが吹き上がり過ぎていることには納得したが、もう遅い。

 これもあるあるなんじゃないでしょうか。次々に世界の底が抜けて行く話。これまでそんなこと考えもしなかったのに、ひとつ底が抜けると次から次へ、そこが底じゃなかったことがわかる。まあ沈んでいくときはそんな感じでしょうね。

7月3日(水)

【ほぼ百字小説】(5308) 万年生きる存在が、その万年目を百年も生きない存在といっしょに迎えることもあるだろう。百年も生きられなくても、万年目を迎えるところに立ち会うこともあるだろう。その万年の孤独を想像することもできるだろう。

 まあいちおう時事(?)ネタかな。「百年の孤独」がついに文庫化されて話題になってますね。まあSFだからここは百年なんて言わずに景気よく万年。本当に万年生きると子供の頃は思ってたなあ。まあ本当かもしれませんけどね。ということで、今度出る【百字劇場】は、「万年の孤独」っぽい本になると思います、たぶん。

【ほぼ百字小説】(5309) ついに超巨大ドミノ倒しの準備が完了。すべてがこのためだったのを知っている者も知らない者もいるが、目的は達成された。この惑星の生命の発生も進化も文明もすべてはこのため。そして今、最初のドミノが倒される。

 自分たちが何かのために作られたものだった、というのは、まあSFのひとつの定番。まあドミノ倒しはおもしろいけど準備するのが大変で、だからそれを他のものにやらせる、というのはありそうな気がする。人類滅亡、というか、たぶん惑星ごとぶっこわれるくらいのドミノ倒しですね。人類滅亡もののちょっとなかった手ではないかと自画自賛。

 

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