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『100文字SF』

 ツイッターでやってる【ほぼ百字小説】から200篇選んで文庫にしてます。SFということになってますが、あくまでも私が考えるSFです。というのは、私が子供の頃は、変なもの、なんだかよくわからないのも、だいたいなんでもSFでよかったのです。いや、よかったのかどうかは知りません。怪獣とか宇宙人とか出てくるようなテレビ番組や映画が好きで、どうやらこういうものをSFと呼ぶらしい、と知って、それでどうやら自分はSFが好きらしい、と思い込んだだけです。

 怪獣も宇宙人もUFOもネッシーも四次元も超能力も、さらに言えば幽霊も妖怪も好きでした。いやいや、幽霊とか妖怪はSFじゃないだろう、と言われて当然だとは思いますが、でもその頃の感覚では、同じように好きでした。なんというか、同じ箱の中に分類していたんですね。現実ではないもの、くらいの感じです。だから、寝たときに見る夢、もそうかもしれません。実際、「夢十夜」が同じように大好きだったし。あ、「赤死病の仮面」なんかも、同じ箱に入れてました。だからまあ私の場合、怪奇と幻想とSFは同じ箱に入ってる感じですね。実際、同じようなところを刺激されて、それが気持ちいいんだから同じ分類でいいんじゃないか、と今でも思ってます。これはSFじゃなくてホラーだろ、と言われそうなものも入ってます。だから、ここで言うSFは、現実にはいないとされているもの、あるいはありえないとされている現象が出てきたら、それでもうSF、というくらいの広いSF、ということでよろしくお願いします。いや、とくにお願いする気もないんですけどね、勝手にやるから。

 ところで、【ほぼ百字小説】は、これまでにも「じわじわ気になるほぼ100字の小説」(じわ100)として三冊出ました。イラストがたくさん入ってて、いちおう「児童書」というくくりになってます。電子書籍はありますが、紙の本はもうありません。シリーズとしてもっと続けたかったんですが、三冊で打ち止めになってしまいました。まあ簡単に言うと、版元の経営方針の方向転換、らしいです。らしい、というのは、私にもよくわかってないのです。この本を企画して作ってくれた編集者さんからある日いきなりメールが来ました。私はもうその会社の社員ではありません、というメールでした。いや、びっくりしたなあ、もう。ゆっくりしたペースでいいからこういう形で出し続けていけたらかなりおもしろいものになるだろうし、そうしていきたいなと思っていたのに。

 まあ実際に何がどうなったのかいまだにわからないのですが、担当編集者の引継ぎもない(つまり私を担当する編集者は存在しない)し、私の本はもう出ない、ということらしい。それで、ツイッターに「児童書とは違う形で【ほぼ百字小説】を出したいので、興味のある方は連絡ください」というツイートを最初のところにしばらく貼り付けてました。そうしたら連絡が来て、こういう形で仕切りなおすことができたわけです。ありがたいことです。そして、ツイッターは便利です。

 もう担当者もいないのでどこに連絡したらいいのかわからず、出版社のツイッターのアカウントにダイレクトメールして、他から出してもいいか、ということを尋ねました。ものすごくあっさり、かまわない、という返事をもらいました。ついでに、これまで「じわ100」で使った分も使いたいのだが、問題ないか、ということも尋ねて、問題ない、という返事をもらいました。そもそも向こうがいらないと言ったのだから、当然と言えば当然ですが、まあこれで好きにやれるのでほっとしました。

 というわけで、今回は「じわ100」とはアプローチを変えて、イラストは入れません。もとの【ほぼ百字小説】と同じで文章だけ、改行もなし、いちばんシンプルな形になるように、ぎりぎりまで引き算して作る、という感じです。表紙も、イラストなしで文章だけ、ということなって、その形が生きるようにそういう仕掛けをしました、というか、編集のS澤さんからの提案でそうすることになりました。無茶ぶりやなあ、とかぼやきながら、でもおもしろいからやりました。

そして、このカバーに関する私のツイートも。

 いちどは落ちた首がこうしてたまたまつながったんだから、この先もなんとか出し続けたいと思ってます。まあそれはこれが売れないとなんとも言えませんが。

 こういうことを書くと作家がそんなこと言うな、みたいなことを言われるのですが、買ってください。おもしろいですから。

https://www.amazon.co.jp/dp/4150314314/

そして、これが朗読動画

その1 https://twitter.com/yuusakukitano/status/1354934509339197445 

その2 https://twitter.com/yuusakukitano/status/1354935404294664192


ついでにこれも。ツイキャスで『100文字SF』の朗読とか解説とか雑談をしてます。


そしてこっちは、吉田隆一さんとリモートでやった朗読と演奏のコラボ。

 前半の最後に読んだ「曲」は、電子書籍のみで出した『水から水まで』に入ってます。後半に読んだ「秘密やで」は、どこにも入ってない。

 あ、「じわ100」のときもずっと書いてたんですが、この『100文字SF』も、一冊買えば朗読自由、です。朗読イベント等でご自由にお使いください。まあ、使いますよ、とひと声かけてもらえると嬉しいです。

https://www.amazon.co.jp/dp/B0776GRH3L/




【ほぼ百字小説】と「じわ100」については、こちら。

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インタビューに答えてます。小説を書くようになったきっかけとか【ほぼ百字小説】のこととか。  


 



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