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星のや富士 | 丘陵のグランピングにて

コロナで勢いが高まったアウトドアブーム。キャンプや釣り、ハイキング、そしてグランピング。

山梨県の河口湖町、アカマツの森に囲まれた場所に星のや富士はある。コンセプトは『丘陵のグランピング』。斜面に沿ってキャビンが立ち並ぶこの場所で、たくさんの自然を味わい、自分や他者と向き合い、この世界と対話をする。大切なことを思い出すように、眠っている五感を目覚めさせる。

今日は、星のや富士でこそ、体験してほしいことを書こうと思います。

キャンプも楽しいけれど、虫や、食事の片付けや温度調節のできないテントはやっぱり不便。その不便さが醍醐味だったりもするけどね。不便さを分かっていながら、人々が外で過ごそうとするのは自然を求める人間の本能なのだろう、と思う。

アカマツの森から顔を出すキャビン

星のや富士のグランピングは、そのキャンプの中にある不便さを全て取り除いて、限りなく自然の近くで、その豊かさを、そのシビアさを、そのありがたさを享受できるように設計されている。自然と極限まで近くありながら、不便さがない。つまりそれが、ラグジュアリーなキャンプ、グラマラスなキャンピング。そしてグランピングなのです。

スコープ状のキャビン

たとえばキャビン
スコープ状に切り取られた大きな大きな窓からは、刻一刻と移りゆく景色を見ることができます。普段は1日中パソコンと向き合っていて、気がついたら日が暮れていたりするけれど、キャビンにいる時間はそうではない。鳥が飛んだ、雲が動いた、風が吹いた、空の色が変わりゆく。今、この地球の時が進んでいることを自分の胸の音のリズムと連動させながら感じることができる。

アカマツに囲まれたダイニング会場

たとえば食事。
星のや富士のダイニングにて、メインに出てくるのはジビエ。山梨県では美味しいジビエが食べられるということもジビエを提供している理由だけれど、急増したシカやイノシシによる農作物の被害への対策のために確保した命を余すことなく美味しくいただき自然の循環を促している、ということも大切な理由のひとつ。

日々の生活の中ではなかなか自分が自然の摂理のピラミッドの中にいる実感が湧かない。星のや富士での食事体験を通して、わたしたちの命がいつだって、他者の命の犠牲の上に立ち、命の循環の中にあることを知ってほしい、そういう思いがあったりします。

冬に星のや富士を訪れたとき、冬のジビエは秋に動物たちが甘い木の実をたくさん食べたから、だから引き締まった赤身のお肉がとっても甘いことをグランピングマスターが教えてくれました。クランベリーのソースとぴったり合うのはそのためだと。わたしたちが日々食しているものたちは、彼らもまた何かを食している。実感として理解できたことは、とても大きな気づきだった、とふと思う。

ちなみにグランピングマスターとは星のや富士のスタッフのこと。森での過ごし方を提案してくれる。アウトドアに慣れていなくても、キャンプをしたことがなくても、ここに来ていい。誰にでも等しく、自然はいつもそこにあるのです。

ジビエをいただく

クラウドテラスに燃え続ける火はまるで生命の根源のよう。人間の進化に欠かせない存在である火。火のゆらめき、温かさ、木々が燃ゆる静かな音。すべてが人が生きていくために必要なものだったと気づかされる。

クラウドテラス

日々のことを思い返しながら、そこはまるで非日常な世界。身体を、心をほぐしながら明日への活力を見つける場所。そういう場所に、星のや富士がなりうるのかもしれない。

クラウドテラスでただ目を閉じ、深く息を吸ってゆっくりと吐いてみる。自然と一体となる体験を。自然の一部だと知る体験を。丘陵のグランピングにて。ぜひ味わってみてほしいと思う。

▼星のや富士 公式サイト

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