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№7 -お産を終えて  お産のこと -memory of birthing-

助産師さんが
 ”お母さんは産む力を持っている。
 赤ちゃんは生まれてくる力を持っている。”
といっていた通り、お産は自然に任せるまま行われた。

赤ちゃんとわたしの身体は全て知っていて、それに委ねるだけ。といった感じ。
陣痛中は、ほぼ、目を瞑っていたと思う。
とにかく身体の感覚だけに集中して、“いまここ”の一瞬一瞬を味わっていた。
人生の中であれだけ集中していたことってあっただろうか。
その一瞬一瞬の密さは時間を忘れて、まるで別世界に連れていかれるような神秘的な感覚だった。

なんとなくだけれど、出産前日の検診の時に一度、「自宅で産む」というこだわりを手放したことが、気持ちいいお産につながったような気がした。
そのこだわり以外にも、私の中の頑固さのようなものにしがみついているのに、「中庸で在ること」「受け入れること」を教えてくれていたように思うのだ。

「お産」というのは、どんな形であっても、自宅でも病院でも、自然な形で起こり、全ての体験がメッセージなのだと思う。

産後の1週間、天使のひかりがお家全体にさし込むような、
なんともいえない平和な空気感に包まれていて、幸せな日々だった。
祝福されるように秋晴れの心地よい天気が続いた。

気持ちが高揚して、なんだか夢の中にいるよう。

家の前には母の大好きなコスモスがたくさん咲いていて、母が嬉しそうにコスモスを摘んではお部屋に飾ってくれる。
母は、若くして実母を亡くしていた為に、出産のときに里帰りできなかったことがとても寂しかったのだという。
なので、子供4人の出産に立ち合って見守ることを心に決めていると昔から話してくれていた。

産後に、母と2人で布団でゴロンと横になりながら、たまちゃんを見つめる。
その母の眼差しは、深く暖かく、聖母のようだった。
「こうやって赤ちゃんを見ると、世界が平和で、世界中の子どもたちが幸せであってほしいと願うよ」と母は呟いた。

母には沢山反抗したし迷惑をかけたし、批判したり、傷つけたり、色々とあったけれど、お産を通して、全てをリフレッシュさせてくれたように思う。お産のときの温かい光景を私の原風景として、脳裏に刻み付けることができた。

お産は母との関係を変えてくれた。 それは思ってもないギフトだった。
子を思うとき、母を思う。お産の時、人は自然に母を想うのだろう。

産後は、トイレ以外は寝たきりで過ごした。
トイレに行くのも四つ這いになってハイハイで行く。
その間の1週間は、夫と母がすべて家事をしてくれて、
その後の1ヶ月の産褥期は、夫の実家にお世話になって、ゆっくりと体を休ませてもらった。
自宅出産は、出産と産後の暮らしが繋がっている。
出産を終えると、やすむことなく、日常の暮らしがはじまるのだ。
それは家族のサポートなしには果たせないことだった。
主人と両家の両親のサポートのもとに、自宅出産をかなえることができたことを心から感謝している。
一つの命を紡ぎ出すことは、一人だけでは出来ない、家族との共同作業だった。

赤ちゃんのいる暮らしがスタートして、何気ない日常の一瞬一瞬がより暖かく彩られていった。ふと起きると、隣に、ちいさいひとが寝ている。
わたしから生まれ出たひとが、目に見えて存在しているのは、まだ不思議な感じ。

妊娠期から出産まで見守ってくださった助産師さんに、心から感謝している。
検診と産後のケアは贅沢な至福な時間だったし、毎回会うのがとっても楽しみだった。検診がなくなってしまった今は少しさみしいくらい。
今の日本の現状で、自宅での出産を取り上げるというのは、きっと並大抵の精神ではできないことだと思う。
助産師として、命とまっすぐに向き合うその姿勢には、いつも背筋をピンと伸ばされた。その手はいつも温かくって、愛情一杯だった。いてくれるだけで安心できる存在。まるで母のようなその愛の手を、お腹の中にいるときから、たまちゃんは大好きだったと思う。

最後に。
私がお産を体験して、声を大にして言えること。伝えたいこと。

お産は楽しいよ。怖くないよ。

それだけ。出産に対しての怖いイメージは、そっと横に置いておこう。
妊娠期間も、出産も、きっと楽しめる。
そして、助産院を選ぶという選択も、自宅出産も、水中出産も、お産に選択があるということも知って欲しい。もっと自由に、主体的にお産が行われるようにと願っている。

PS. たまちゃんへ。
私たちのもとにきてくれて、選んでくれて、本当にありがとう。
あなたはたくさんの気づきと成長をもたらしてくれて、
たくさんの幸せをくれる。
あなたに出逢えたことがとっても幸せです。
たくさんの人に祝福されながら生まれてきたよ。
これから地球で、たくさん体験して、あそぼうね。

あなたの目に映る世界が
いつも美しく、平和で、彩りある世界でありますよう願いを込めて。

Blessings ! Tamana.

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