見出し画像

№2 -ハワイへ お産のこと -memory of birthing-

妊娠中にどこか旅行へいきたいねと主人と話していて、ハワイへ旅をすることに決めた。
主人も私も行ったことがなくて、ずっと行きたかった場所。
イルカと一緒に泳ぐことと、ハワイ島のオーガニックなコミューンのある土地へ訪れることは
私の一つの夢だった。

主人の妹さんがハワイに昨年ひとり旅していたとのことで、
ハワイのガイドブックをたくさん届けてくれた。
その中の一つに、ちいさな女の子が海辺で遊んでいる表紙の本があった。
主人が「これ、よく見て!」と指をさしたところには、著者「青木たまな」とあった。
私たちがなんとなく女の子だと予感していて考えていた名前、「たまな」がそこにあった。
導きとご縁だねえと赤ちゃんからのメッセージだと感じて、「たまな」と名付けることを決めた。

挙式を終えた後の、21週の6ヶ月にハワイへ旅立つことにしてチケットを押さえた。
ハワイの予定は、直前になっても宿も取らず、予定を決めきれなかった。
というのも、訪れたかったハワイ島はその時キラウエア山が噴火していて、地形が変わるほどのマグマが流出している最中だった。避難民も出ているという報道があり、行きたいけれど、赤ちゃんがお腹にいる状態で訪れるには不安があった。
キラウエア山には火の女神「ペレ」が住んでいるとされ、ハワイ島は火の島と例えらる。

挙式で舞を奉納してくださるダンサーのえりかさんと打ち合わせがてらお茶をしたときに、
挙式後にハワイへ旅をするとえりかさんにお話しすると「カウアイ島だよ!」と教えてくれた。
「カウアイは水のエネルギーが強い島でね、すべてが最高だよ。」と。

その一言がガイドとなり、私たちはハワイ・カウアイ島へ旅立つことにした。
往復のチケットと1泊目のホテルのみをとっていて、あとはノープランだった。
そんな行き当たりばったりのハワイの旅は素晴らしいものとなった。

わたしたち夫婦の夢だったドルフィンスイム。
100頭以上のイルカの群れに出会えた。イルカちゃんたちは超音波で世界を見ているらしく、心臓が2つある私に興味津々だったらしい。好奇心たっぷりにたくさんのイルカが私に寄って来た。
それはもう幸せで幸せで特別な時間だった。
イルカのピュアなエネルギーは、きっと新生児に似ていると思う。

カウアイ島はプリミチブな古代のエネルギーが凝縮されたような場所だった。
アナホラという土地は、すべての生命・スピリットはその山にやって来ると言われる場所だ。
そこは男性の立ち入りが許されていない場所で、ヘイアウ(古代ハワイの聖域・神殿)があり、
骨盤の形をした石・バースストーンと呼ばれるものがあり、古代ハワイアンはそこでお産をしていたんだという。バースストーンに腰掛けながら、その石のエネルギーを全身で感じてみる。
ここで幾人もの人々が生命を生み出したということを想像すると、涙が溢れた。
たまちゃんが無事に生まれるように、そして今から生まれくるすべての命が健やかにありますようにと、お祈りをした。

スピリットは、アナホラ山にやって来て、ポレハレ海岸から去って行くと言われている。
そのポレハレビーチは太陽に導かれるようにして、たまたま辿り着いた場所だった。
どうしてもこのビーチに行きたいという直感で、デコボコの舗装されていない道を車で進んだ。
いつパンクしてもおかしくないような道で、何度も引き返そうとしたが、西に傾く太陽の光が私たちに優しく「おいで」と語りかけて来てくるようで、半ば祈りながら車に揺られていた。
そうやって、太陽が沈む黄金のビーチに辿り着いた。照らされる海岸。
そこは現実と思えないような、美しい美しい場所だった。

古代ハワイの人々は星と共に生きていたという。
日が暮れると星は輝き、夜明けと共に去って行く。太陽・月が昇り、沈んで行く。
私たちはどこからかやって来て、この土地を生きて、またいつしかどこかへ去っていく。
星が自分たちの配置を知るように、私たちもきっと知っている、自分たちの役目を。
生まれゆく命も、いつ生まれて、いつ去るのか、全て知っているんだろう。
たまちゃんも、そう。
そんなことを感じながら、過ごしたハワイ・カウアイ島の滞在だった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?