思い出の緑のショコラ|プチエッセイ
ポロショコラをご存知でしょうか。そうです、あの緑の包装のやつです。カルディでよく見かけるやつです。美味しいですよね、あれ。この霊魂にとっては、思い出の至福のスイーツなのです。
現在、森悠希の霊魂が宿る肉体は、遥か海の向こうにあります。配置されてから数年経っているので、最後に食べたのが随分前となりますね。急に思い出したのは、当然と言うべきでしょうか、バレンタインデーがきっかけ。ガトーショコラの作り方をぼんやり眺めていたら、ふと。食べたいなーと思ったわけです。
記念日に出会った感動のスイーツ!というような特別な思い出ではありません。肉体が日本に配置されていた間、ある日から家に置いてあったのです。この霊魂には母がいますが、母が見つけてくれたものでした。日常に溢れていた母の愛情の欠片、たくさんあるうちの一つですね。
綺麗に五等分されていて、簡単に取り出せるポロショコラ。ちびちび食べるのが好きだったので、最初の一口は控えめに。しっとり濃厚なチョコの甘さとミルクの香り。幸せが口いっぱいに広がる感覚、きっとこれがそうなんだと思いました。
学校の帰り、夕飯の後。どちらか、あるいは両方。このポロショコラを食べる一時がいつも待ち遠しかったです。
ホイップクリームやら果物やら、さらに何かを加えたらもっと美味しかったかもしれません。が、少なくとも当時のワタシにとっては、そのままが一番でした。飽きずにほぼ毎日、一切れずつ食べた年月。濃厚な味を楽しんだ素朴な日々。
最近、両親が日本に一度帰ることになっていたので、この思い出の至福のスイーツをお土産に送っていただこうと思っております。数年ぶりのポロショコラの味をどう感じるでしょうか。それは、また別の機会にでも。
短いですが、お読みいただきありがとうございました。