小針侑起

近代の芸能史を追いかけている作家兼研究者です。著書に「あゝ浅草オペラ」(2016年)、…

小針侑起

近代の芸能史を追いかけている作家兼研究者です。著書に「あゝ浅草オペラ」(2016年)、「大正昭和美人図鑑」(2018年)、「遊廓・花柳界・ダンスホール・カフェーの近代史」(2022年)などがあります。

最近の記事

漫才師・新山ノリローに聞く昭和演芸史

【漫才界のシーラカンス】新山ノリロー師匠は昭和11年生まれ、芸歴66年という恐るべき芸歴の持ち主。 当初はダンサーに憧れて虎ノ門舞踊学校、中川三郎タップダンススタジオに学んだが、昭和31年に漫才師・新山悦朗に師事。初舞台を踏む。 古くは砂川捨丸から、リーガル千太万吉、コロムビアトップライトなど、名だたる漫才師たちと舞台を共にし、自らも「NHK漫才コンクール優勝」、「漫才協会2代目真打」という輝かしい芸歴を持つレジェンド。 今回は、そんな新山ノリロー師匠から、栗友亭〜松竹演芸場

    • 現代舞踊家・山田奈々子先生を悼む

      山田奈々子先生が亡くなられた。享年89歳。 私が存じている方の中で、戦前から芸能の世界で活動される最後の方だった。 これで、私の中の戦前は、本当に伝説のものとなった。 私が奈々子先生と初めてお会いしたのは、某美術館館長のご紹介であった。 それは私が浅草オペラの書籍を上梓したことと、それに付随して、石井漠からの現代舞踊の歴史研究をテリトリーとしていたためで、今となっては某美術館の館長には感謝の言葉しかない。 ここで、山田奈々子先生ご本人から伺った、先生の簡単な経歴を記してお

      • 華やかなりしキャバレー時代

        2022年10月、私は『遊廓・花柳界・ダンスホール・カフェーの近代史』(河出書房新書)を上梓しました。 本書では近代史〜赤線が無くなる1958年までの接待業の歴史を執筆いたしましたが、同時進行で高度経済成長期のキャバレーのことも取材を続けて参りました。 いや、取材というより、以前から身近に当時のホステスさんなどとのお付き合いがありました。 しかし、新刊のテーマとは時代に隔たりがあるのに加え、戦後のキャバレー全盛時代に関しては、また別口で取り掛かりたいと考えていたため、新刊に

        • 新刊『遊廓・花柳界・ダンスホール・カフェーの近代史』のご紹介

          2022年10月、今年3冊目の著書が出版されます! と言っても、別に量産型の著者ではありません(笑)コロナ騒動で滞っていた企画が一気に動き出し、出版のタイミングが重なった訳です。 私は今まで単著共著含めると7.8冊手がけてきましたが、今年は性や"夜のお仕事"にまつわる本を中心に出版する1年となりました。 今回のタイトルは『遊廓・花柳界・ダンスホール・カフェーの近代史』(河出書房新社)となります。 河出書房新社のらんぷの本なので、ビジュアル中心、初心者の方でも気軽にお手に取

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          戦前の日本に台湾高砂族を追ったオペラ俳優がいた!(藤村梧朗と高砂族研究)

           藤村梧朗、今やその名を知る人は少ないだろう。大正時代に一世を風靡した浅草オペラの大スターである。  その彼が浅草オペラを経て、1930年代に台湾の先住民・高砂族の研究に没頭していたことをご存知だろうか?彼は先住民と生活を共にし、民謡や舞踊を修得して日本に持ち帰り、浅草や戦地慰問などで高砂族の生活がどんなものか伝えようと情熱を傾けた。  ここでは今まで知られていなかった、藤村梧朗の台湾での活動、日本ではどのように高砂族の民族舞踊の普及につとめたのか。  戦前の台湾と日本の架け

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          戦前の日本に台湾高砂族を追ったオペラ俳優がいた!(藤村…

          江利チエミの母・谷崎歳子の生涯

          序章 テネシーワルツの思い出〽思い出懐かし あのテネシーワルツ 今宵も流れ来る  別れたあの娘よ 今はいずこ 呼べど帰らない  発売から65年、戦争の傷跡から立ち直りつつあった日本を華やかに飾った名曲として今も歌い継がれている『テネシーワルツ』(音羽たかし・詞)。1952年(昭和27)、アメリカで大流行していたこのポピュラーソングのカバーを唄ってレコード界にデビューした一人の少女がいた。  それが、後に日本を代表するタレントとして映画・舞台・レコードと幅広い活躍を遂げる江利

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          江利チエミの母・谷崎歳子の生涯