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高校サッカー選手権を観てスポーツビジネスについて考えた話

正月といえば高校サッカー

寒くなってきたころからソワソワ県予選の動向を気にしだして、開会式を観とどけてから年を越して、成人の日に決勝戦を観るまでがわたしの年末年始と決まっている。

うちは昔から正月休みのスポーツといえば箱根駅伝よりも高校サッカーだ。
特に熱中した高校時代は埼玉予選二回戦から会場に駆けつけ、応援していたチームに彼氏がいるのでは?とその保護者たちに噂されたほど。(ぜんぜんいない)

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こんなご時世だけれど、ありがたいことに今年も高校サッカーのある年末年始を過ごせた。監督や選手たち、保護者や運営もろもろ不安や葛藤があっただろうなあと思う。


わたしでも毎年少〜しずつ成長し、少〜しずつ高校サッカーの見え方や考えも変わってきた。

高校時代は散々追い続けたチームが劇的な試合をしていたりすると涙が出ていたものだけど(それも十分やばい)
24になった今年は、たいして知らなかった山梨学院の選手たちが足を吊りながらケガをしながら、最後まで相当量を走りぬいているだけで泣けた。自分でも意味がわからない。

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絶対王者・青森山田の敗戦

今年の優勝校・山梨学院と戦った青森山田はよく「絶対王者」と呼ばれる。

わたしは王者になったことがないのに、何故か王者の重圧を勝手に感じて一昨年から青森山田を応援せざるを得なくなっている。
(昨年は静岡学園に逆転負けをし、わたしはショックから青森山田が負けた記憶をなくしていたくらいだ)  

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▲一昨年の優勝時の写真

そんな青森山田は準決勝で5-0と快勝。安斎選手がハットトリックを決め、非常に魅せてくれた。中でも特に、青森山田を決勝に押し上げた選手といえるだろう。

その勢いのまま進んだ決勝戦だったけれど、両者譲らぬ好ゲーム。
決勝はPK戦で決着をつけなければならなかった。つくづく彼らのメンタルに脱帽しつつ、それはそれはヒヤヒヤしながら観ていたのだけど、安斎選手が蹴ったボールは惜しくも枠の外だった。

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PK戦はいつも直視できないくらいなのに、安斎選手が泣き崩れている姿が映し出されて、辛くてさらに画面を見れなくなった。

わたしがこんな状態だったからか、蹴った直後も試合後も、テレビは執拗に安斎選手の泣いている顔を映そうとしているような気がしてしまって、「そんな映さなくていいよ!」と突っ込んでいた。


わからないが、隣にいた松木選手(2年生で10番)がそれを庇うようにしていた、ような気がした。

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高校サッカーはエンターテインメントではない

そんなシーンを見てハッとしてしまったのだけど、高校サッカーは彼らが3年間で積み上げたものを出し切る、彼らのための大会だ。


わたしたちファンはそこにお邪魔している。というかお邪魔しないように横から観させてもらって、わたしなんかは勝手に感動して、人生の活力にしている。これは前から心得ていたつもりだ。

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彼らは彼らのためにサッカーをしていて、エンターテインメントではない。
(議論はあるが、プロはファンやスポンサーがいたうえでスポーツを生業としているから、「魅せる」ことが仕事なのだと思う)


一方、テレビというメディアは視聴率をとれるシーンを切り取らなければならない。それがテレビの仕事だと思っている。


もし選手たちの意思とは違う切り取られ方がされていたら、それはメディアが高校生を食い物にすることにならないか…なんて考えていた。

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今までは、こんな熱く素晴らしい高校サッカーが甲子園や箱根駅伝並みに人気が出ればいいのにな〜面白いからみんなに知ってほしいな〜と単純に思っていたのだけど、

テレビで人気になる・盛り上がるということでなにか選手たちに良い影響があるのか?
そう考えれば考えるほどモヤっとしてしまった。

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学生スポーツのマネタイズ

前に読んだ本『スポーツ立国論』を引っ張り出して再度読んでみた。


アメリカの学生スポーツは、(学校を応援するファンやOBがいて、自前のスタジアムを持って集客をしたり)ごりごりにマネタイズされているらしい。
大学の中には年間の総収入が200億を超えるところもあるそうだ。※Jリーグで一番稼いでいる我が浦和レッズでも約75億

▲関係ないけど浦和レッズの写真

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さすが資本主義の国。でも日本の学生スポーツに金の匂いがぷんぷんするのは冷めるなあ、神聖な学生スポーツだからいいのだ!という気持ちもすごくわかる。


アメリカの学生スポーツをマネタイズする目的は「金儲け」ではないそう。
あくまで目的は「教育の質向上」であって、スポーツで入った収入は学校にいき、教育環境を整えるために使われる。

日本で言う部活動は「課外活動」だが、アメリカでは教育の一環としてプログラムに組み込まれているそう。


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日本の学生スポーツの場合だと、大会を開催した際の収入は連盟や部活動に入る。(連盟から学校に分配がされるそうだが、その割合は不透明だとか。実際各学校にはどのくらい入っているんだろう?笑)

日本の場合、部活動はあくまで課外活動であるため、学校に入るわけではない。これが大きな違いとのこと。


これはもう要因を遡るとかなり長くなることが分かったので、この良書を読んでほしい!

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弟も大学までサッカーをしていたけれど、合宿や遠征費などお金が結構かかっていた印象だ。
部活動が学校の正式プログラムとしてマネタイズされて、教育現場としての整備が進めばそういう負担もなくなるのだろうか?
結果、日本のスポーツや教育自体が発展するのかもしれない。 


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ただ本当にいろんな問題が沢山ありそうで、結局高校サッカーの何をどうすればいいのか答えは出ない。難しい。 

高校サッカーのそういう構造や、どうすればさらに良くなるのか?わかる人に聞いてみたいと思った。教えて詳しい人!



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気持ち悪さの正体

とにかくこの本を読んで、わたしが感じた気持ち悪さの正体は選手(高校生)や学校が直接的に得をする構造ではなさそうなこと だと思った。

そして結果的に、選手たちがメディアや大衆の食い物にされてはいけないなあと再確認した。


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実際、鳥肌が立つほどドラマチックなことが起こるのが高校サッカーだ。わたしもそれが大好きで、毎年感動をもらっている。 

ありのままを映すのもメディアの仕事だし、一方で切り取り方で違って映るのもメディアだ。メディアの仕事って難しいな。


一番大事なことは選手たちへの敬意だろうか。当然プライバシー保護なども含め、観戦するファンとしても今一度肝に銘じなければならない。



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一応言っておくが、このnoteは高校サッカーに関するメディアを批判する気はさらさらない。
むしろ近年の高校サッカーは配信などでたくさん試合が見られるようになり、生中継の速報も発展した。


TVerで地区予選の決勝も観られるようになったことは衝撃だった。高校生のころ千葉予選が観たすぎて悔しかった思い出がある。


自分も社会人になったから感じることだが、調整大変だっただろうなあ〜年末年始に全力で動いてくれた大人たちもたくさんいるんだろうな、と思うと頭が上がらない。
大きな声で言いたい「めちゃめちゃありがとう!!!!!!!!」



また高校サッカー関連の記事を読むと、記者のリスペクトや愛を感じて昔から好きだ。何度泣いたことか。
高校生の頃はゲキサカの記者になりたいと思ったけれど、講談社と知って諦めた。笑


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長くなりすぎて結局何が言いたいかわからなくなってしまったけれど、
やはり今年も最高の高校サッカー選手権だった。高校サッカーのさらなる発展が楽しみだ。


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