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2021.5.9 明治安田生命J1リーグ 第13節 横浜F・マリノスVSヴィッセル神戸マッチレビュー

ここ数試合負けなしで来ていた両チームの対戦。首位川崎追随に向け、負けられない1戦だった。好調マリノスを撃破し、波に乗りたいところだった神戸だが0-2での敗戦となってしまった。内容的にもマリノスのほうが一枚上手で懸念していた古橋以外の攻撃パターンの無さから勝機を見出すことが出来無かった。

[スターティングメンバー]

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神戸はトップに佐々木、SHに井上、中坂が起用された。

[自分の土俵に引きずり込めるか]

マリノスとの戦いはいつも自分たちのペースに持って行くことが出来るかが鍵になる。そこでペースを握られると一気にゴールが生まれる。マリノスならトランジションやオープンな局面に持ち込むこと。神戸ならクローズな展開で自分達がボールを握るような展開になれば自分の得意な状況に相手を引き込むことができと言えると思う。

マリノスの印象はハイプレス、ハイテンポと言ったとにかくインテンシティが高いチームだったけれどこの試合を見ていると守備へのリスクは考えているように思えた。チアゴが運ぶ場面が多く、こんなに運ぶチームだっけ?って思っていると扇原や喜田が落ちてカバーリングしていたり。気を遣いながら試合を運ぶことを意識していたように思う。

キックオフ直後はマリノスがペースを握る。神戸がプレスで人をどんどんつぎ込んでいくのでマリノスがやりたいような展開を神戸が自ら呼び込んでしまう。

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チアゴが運びワンツーで抜けていくシーンなんかは普通にエグい!と思ってしまった。CHも持ち場を離れて普通に出てくるのでマリノスとしてはCH裏を取ることが出来れば簡単にチャンスになっていたし。

ということで神戸はブロックを作っての守備に変更する。前から無理矢理捕まえに行かず、来るのを待ちながら機会を見てボールを奪いに行く。これが功を奏して神戸ペースに持って行くことが出来たように思えた。

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SHが出ないことで相手にスペースを与えないようにする。そうすればスペースがあれば生きていくマリノスの選手も必然的に落ちてきたり裏へのロングボールを使うようになっていった。ロングボールを蹴らせることが出来れば菊池とフェルマーレンで回収出来たし、背後へのケアも前川を含めて対処することが出来たのであえてテンポを落とすことでマリノスのリズムにさせないように出来た。

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神戸もただ引いてブロックを作るのではなく、プレスに出るときは出て規制をかける。マリノスは徐々に間延びする形に。中盤が落ちたり、FWが落ちて出口を作ろうとするがそれに対して神戸は正面から人がついて行けるようになる。途中から神戸がボールを握れるようになったのもマリノスにハイテンポなサッカーをさせないように出来たからだろう。

相手からボールを取り上げることが出来たのなら次はそれをどのように攻撃に昇華していくのかという問題に入る。マリノスもボールを奪われればすぐに囲んで即時奪還を試みるのでその包囲網をくぐり抜け無ければならないのだが、1つの目安となるのは前線4人のプレスをくぐり抜け、相手に下がらざるを得ない状況を生み出すこと。この前線を上手く超えて自分達のボール保持を続けた時間は神戸ペースで試合が進んでいった。

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前半15分に神戸がビッグチャンスを迎える。古橋-サンペールのホットラインから電光石火のラインブレイクが発動。GK高岡に止められるもこの試合で1番のチャンスだった。このシーンも前の段階で陣地奪回出来たことが大きかったように思う。酒井から古橋、山口を繋いで逆サイドの山川まで繋ぐのは神戸の陣地奪回の十八番でもある。マリノスとしてはこのような状況を作られると下がるしかないので上手く試合を進めるための糸口だったと思う。

[自陣のミスから流れはマリノスに]

前半30分までは神戸のペースで進んでいたが菊池のビルドアップのミスからマリノスペースに流れが変わった。マリノスにバールに握られようになってから厄介だったのが天野。スペースを見つけボールを受けるタイミングも抜群で長短のパスを自由自在に操れることができるので神戸としては非常に守りづらい。そして前半41分に先制されてしまう。

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喜田のパラによって山口が付いていき、CHのポジションを空けてしまう。そこに入り込んだ天野が逆サイドへ展開し、クロスにフェルマーレンが触ってオウンゴールとなった。一見神戸のミスに見えるが崩しの段階で勝負はほとんど決まっていたように思う。山口をいかに中央から外すかは神戸の守備を崩す上で重要なポイント。なので山口を動かした喜田の動き出しとそこに入り込んだ天野のプレーは素晴らしかった。

このまま前半は終了し、後半へ。

[スタイルへの適正と人選]

後半開始からサンペールと井上に変わり、郷家とリンコンが投入された。サンペールは足の違和感から負傷交代となり、井上は戦術的交代だろう。サンペールが居なくなったことによってタメが作れる選手が居なくなり、リン紺に前線でキープをしてもらいたかったところだと思うが、やはりサンペール不在状況とリンコンのコンディション問題はこの試合では解決されていなかった。郷家と山口の中盤の編成はビルドアップにおいて大きなデメリットとなる。後半から明らかに山口がサリーダするシーンは増えた。そうなればリンコンがボールキープしたとしても周りのサポートは少なくなる。選手の特徴と試みているサッカーが明らかに合っていないため上手くいかないのは必然的だった。

後半15分にはイニエスタとマシカを投入し状況の打開に図る。しかし、古橋を1列下げたことで前線での驚異は薄れてしまっていた。

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フィニッシャーになれない分シュート機会少なくなり得点する確率は下がってしまった。後半31分にイニエスタからのスルーパスで抜けたシーンを見ても高い位置に古橋がいる重要性というのは証明出来るはずなので古橋とイニエスタを高い位置でプレーさせるためにはどうすれば良いのかが今後の重要な課題になってくるはずだ。

試合全体を通してマリノスがゲームを握った展開となった。後半にも自分達のビルドアップのミスから追加点を許し万事休す。今季2敗目を喫した。

[まとめ]

マリノスには力負けしたと言う印象が強い。去年のストロングな部分を残しつつ守備面のにおいても気を遣うところを見ていると開幕戦以降負けなしの理由も納得がいく。それに対して神戸が毎度毎度同じ課題を抱え続けているところに成長を感じられないなと思う。ストロングだったビルドアップの安定も自ら首を絞めるボール運びが三浦監督になって以降散見され、18年、19年前半の焼き直しをしているようにしか見えない。マリノスとの対戦ではフィンク期にもビルドアップでは苦労したことは間違いないが力負けしていたとも思わなかった。新戦力を迎え、層は昨季よりも厚みを増したのに対して反比例するようにチームの総合力が落ちてしまっていることに疑問を感じることは多い。イニエスタとマシカのコンディションは徐々に上がってきていることはポジティブな要素だし、リンコンに関しても悲観するほど悪くないと個人的には思う。まだリーグ戦も3分の1を終えたところであり、これからが山場になるので夏場の連戦に向けてコンディションを整えていって欲しい。

横浜F・マリノス0-2ヴィッセル神戸


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