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2021.6.23 明治安田生命J1リーグ 第19節 ヴィッセル神戸VS横浜FC マッチレビュー

今節の横浜FCをもってようやく折り返しとなったリーグ戦。福岡に勝利したことでリーグ3戦負け無しを継続した神戸は2連勝で折り返しを迎えたいところだった。相手の横浜FCは未だに並に乗れておらず最下位に沈んでいるだけに勝ちきりたいところ。結果は5-0の大勝だったが内容的にはスコア以上のものは感じなかったのが正直なところだ。特に神戸が先制するまでのチャンスは横浜FCの方が多かったように思う。ただ、そのような試合も終わってみれば大差が付いていたというのが神戸の今の調子の良さを表しているところだとも感じる。

[スターティングメンバー]

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神戸は福岡戦と同様のメンバーで試合に臨んだ。中3日とリカバリーは十分と言えないが、このメンバーでハマっていることとこの試合を終えれば次の試合は10日後になるため継続してこのメンバーで挑んだを言える。

[セットプレーから点が取れる強さ]

序盤、ペースを握ったのは横浜FC。前川のビッグセーブもあり、横浜FCに先制を許さなかったが立ち上がりからピンチを招く。

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前半8分のシーンでは逆サイドまで展開されて、高木がシュートを放つ。最終ラインからアバウトなボールであったもののジャーメインに上手く拾われて逆サイドまで繋がれる。見ての通り瀬古の位置が高めに配置されていたことも加味するとこの試合の1つの狙いだったのかも知れない。前半2分のクレーベの決定的なシュートもこのような形から生まれている。

しかし、前半15分以降は神戸がボールを握りながらチャンスを演出する流れが続く。

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サンペールが最終ラインに落ちることで数的優位を作りながらの前進。横浜FCは中央から大外に展開されるシーンが多く、ボールの取りどころを定められていなかった様子だった。前半26分、押し込みながら獲得したCKからドウグラスのヘディングシュートで先制する。難しい態勢から上手く合わせたボールはネットの右隅の決まる。飲水タイムの直前で先制したことでチームのも落ち着きが生まれた。

[イニエスター古橋のホットライン]

そしてのその5分後、前半31分に追加点を奪う。イニエスター古橋のホットラインで横浜FCの2ラインを見事にブレイクし、落ち着いて古橋がゴールに決める。

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阿吽の呼吸で一瞬にしてゴールを奪った。イニエスタの怪我もあり、なかなかこのホットラインからゴールを演出できていなかったが、お互いがお互いの特徴を認識しているからこそのゴールだったと思う。そしてその前の小林のインターセプトも見事だった。

前半34分にもアッタキングサードで見事な崩しからゴールを決める。イニエスタ、山口、サンペールの3人が高い位置を取れば取るほどゴール期待値が高まることを証明したように思う。

[亨梧、初のハットトリック]

後半、横浜FCはジャーメイン良に変えて小川を投入。神戸のアカデミーで育ち、初の古巣凱旋となった小川には多くのサポーターが再会を待ち望んでいたことだろう。その横浜FCは3-4-3へとシステム変更。前からボールを奪いに行くために前線の人数を揃えてきた形だ。しかし、神戸も前川を使いながらSBへのディストリビュートでプレス回避を試みる。そして後半17分に4点目を古橋があげる。

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前川から小林を繋いで相手を引き出しながらスペースにボールを流していく。そしてサンペールから絶妙なスルーパスが古橋に渡り、プロ初のハットトリックを達成。古橋らしいゴールで今期13点目をあげて得点ランキング単独トップにも躍り出た。横浜FCとしては神戸のボランチのスペースを空けすぎていたように思う。松浦が戻って対応しなければならないはずだがそのようカバーも徹底されていなかったので失点は時間の問題とも言えただろう。

[現システムへの懸念点]

4-3-1-2の中盤ダイヤモンド型を採用してから攻撃に関して上手く回るようになってきたと思う。イニエスタを攻撃に専念させるためにある程度守備への負担を山口と郷家の守備範囲の広さで補うということは現実的で最も効果的な策ではあると感じた。しかし、その守備に対して懸念すべき点もある。それは山口と郷家の担当する守備範囲が広すぎることからどこかでスペースが出来てしまうかもしれないと言うことだ。

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例えばこのように山口が大外の選手にアプローチしに言った際、サンペールと郷家を含めた中盤3枚の距離は広くなる。となるとスライドが間に合わない状況で縦に入れられるとCBが対応することになる。これがもし川崎のダミアン、広島のJ・サントスなど強力なアタッカーを対峙したときに最終ラインが暴露されている状況は非常に危険。また、マリノスの前田、川崎の小林のような裏抜けやスペースに飛び込むことができる選手との駆け引きにもリスキーになってくる。いかにこのような状況を作らないかがこのシステムにおいて重要なポイントなってくるのではないかなと感じた。今は上手くいっていてもいずれは対策されてくることは間違いないわけで、そうなったときに今まで試してきたシステムとの併用を相手チームの特徴によって変えられることが出来るかは見物である。

[まとめ]

菊池の今季4点目となるゴールも決まり、5-0の快勝でリーグ前半戦を終えることが出来た。しっかりと勝ちきれる力があることは素晴らしいと思う。さらに19試合を終えて、負けたのは3試合。それ以外はきっちり勝ち点を積み上げていることを見て、シーズン前までの神戸から考えると出来過ぎなぐらいだと思う。ボトムハーフのチームに対しては負け無しでほとんど勝ち点3を取れていることからもこの順位に相応する戦いを見せていたことが分かる。3位名古屋の背中も捉え、次勝てば3位に躍り出ることが出来るためなんとしても勝ち点3を取りたいと言う気持ちでいっぱいだろう。しかし、皮算用しすぎず、足下を見て1試合ずつ目の前の勝利にこだわって欲しいと思う。

ヴィッセル神戸5-0横浜FC


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