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方向音痴の人ってなんでそうなっちゃうの?

 目的地に辿り着けない。
 約束の時間に30分も余裕を持って家を出たのに遅刻をする。

 あなたはそんな経験をしたことがあるでしょうか。

 私はあります、数えきれないほど。地図を見れば目的地に辿り着けないはずないだろう、今はスマホがあるんだからマップで現在地を設定してナビ通りに行けばいいだろうって?    もちろん、それでうまくいくときもあります。でも、それにもいくつか問題があるんですよ。あとでお話します。

 方向音痴にもいろいろなタイプがあると思いますので、ここで話すのはあくまでも私の場合です。「いやそんなはずないだろう」という否定的なご意見、疑うご意見は受け付けません(笑)。私が私の話をしているので、これが事実なのです。

 そもそも、なぜ方向音痴の思考回路を説明してみようと思ったのか。先日何気なく『ホンマでっか!?TV』を観ていたんですね。その中の“方向音痴人生相談”というコーナーに方向音痴の方が数人出ていて、ご自身の経験談を話したり、実際にロケで目的地に向かう様子を撮影したりしていたんです。それに対して専門家の方が、なぜそうなってしまうかということや解決策を話してくださっていました。

 私たち方向音痴の感覚は、明石家さんまさんをはじめ、方向音痴ではない方には到底理解できない様子でした。しかも専門家の方のお話だと、脳の海馬の状態がうんぬんかんぬんでなおすのは難しいというということ。なおせないのなら理解してもらって大目に見てもらうしかない(笑)と、改めてお話しようと思った次第です。

マップのナビで目的地に辿り着けないのはなぜか

 方向音痴の思考回路がどうであろうと、ナビの通りに行けばいいのだからそれですべて解決だろう、そう思いますよね?    私もこの世にスマホができ、そこでマップが使用できるようになったときは、作った人にまじ感謝なんですけど!    と思いました。喜びもつかの間、それさえ使いこなせない自分に絶望したのです。

 マップを見ても、駅の出口から出たとき、まず右に行けばいいのか左に行けばいいのか前に行けばいいのか後ろに行けばいいのかがわからないのです。

 どういうことなのか、画像を使って説明したいと思います。

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 たとえば、これは神田駅なのですが、私の中で難易度が高い駅のひとつです。簡単がA、難しいがEのA~E(5段階)で表すとDというところでしょうか。ここでは東口を使って、難しいポイントをいくつか挙げてみます。

・東口前の大きな道が高架に対して斜めになっている
・東口から出てすぐ交差点になっていて道がたくさんある
・そのたくさんある道が東口に対してわかりやすい垂直や平行じゃない

 そもそも目的地に行くには何口から出ればいいのか、という問題が発生することもありますが、今回はそこをクリアしたと考えます。それでも、こんなに混乱ポイントがあるのです。

 わかりやすく実際にマップを見ながら、方向音痴がどう考えるか説明しましょう。この東口からこの「お玉湯」というところに行くと仮定します。徒歩7分だそうです。

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 今現在、私は神田駅東口にいないので現在地として表示できなく、駅の出口を出発地として設定もできなかったので、東口のすぐ横にある交番を出発地にしました。

 道順は以下の通りです。

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 実際にその場にいて位置情報で現在地を取得していると、自分のいる場所が●などで表示されているので、よりわかりやすいです。まっすぐ歩いてちょっと曲がれば着く。一見、迷うはずのない道順ですね。私もこの時点ではそう思っていますよ。ただ、まずここで最初のつまずきがやってきます。

 今自分がどの方向を向いているのかが正確にわからないのです。方向音痴じゃない人にとっては、いやいや自分の立っているところと道の様子を見ればわかるだろう、という感じだと思います。私も頭の中ではそう思っています。でも、実際に道に立ってみるとわからないんですよ、これが。

 現在地の表示は自分の立っている場所を示してくれますが、自分の向いている方向は示してくれません。それとなく示してくれるマップもあるのですが、矢印などの明確なものではなくはっきりと教えてくれません。

    そして、駅の出口はだいたいどこも下の画像のように、いろいろな方向を向いているんですよね。道に対して必ずこの角度を向いていると決まっているわけじゃない。だから、初めての土地だと特に、出口を出たとき自分が地図上でどの方向を向いているのかがわからなくなるのです。

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 上の画像のナビ(青い矢印)では、あの出口を出てすぐ右に行くように示してくれているので、これだけ見れば「いやだから、出てすぐ右に行けばいいじゃん」と思うでしょう。ただ、実際はマップ上に出口の赤い矢印表示はないため、自分が出口を出た瞬間に道の上でどっちを向いているかがわからないんですよ。

    目印を探せば自分が交差点のどの位置にある出口から出たか、どの方向を向いているかがわかるのでしょうが、同じようなビルが並び同じような道が交差している交差点なので、このナビの矢印の方向が今自分が立っている位置から見て右の横断歩道なのか下の横断歩道なのかは私にはわからないのです。

    今書いていて気づきましたが、マップに駅の出口の場所だけじゃなくてその出口が道に対してどっちを向いているか示してくれたらすべて解決するかもしれません。

 神田駅東口の交差点は、さきほどの小さな出口がたくさんある画像とはまた違うシチュエーションですが、先に説明した通り

・東口前の大きな道が高架に対して斜めになっている
・東口を出たところが交差点になっていて道がたくさんある
・そのたくさんある道が東口に対して垂直や平行じゃない

など、簡単に道や方向を特定しにくいという理由から、自分の向いている方向や目指す方向がわからなくなります。

 しかーし!マップには言葉と写真でわかりやすく道順を教えてくれる機能があります。

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 はい、またつまずきました。つまずきポイントわかるでしょうか?

・南ってどっちですか?
・近くに看板がないのですが中央通り/中山道/国道17号はどれがどの道だとどう調べればいいですか?
・写真も見てみたのですが向かうべき正確な角度の画像ではないっぽいためこれではヒントにならないのですが…

 結局、マップを見るだけではよくわからなくて途方にくれます。解決策はひとつだけです。

    まず100mくらい適当に歩いて自分の現在地がマップ上で移動するところをしばらく見ることで、目的地から遠ざかったか近づいたかを確認する。

 ほんのちょっと移動するくらいじゃ風景の変化がよくわからないので、とりあえず100mくらい歩いてみた方が確実です。それでわからなければ、別の方向にも歩いてみます。

 時々、地図が読めない人方向音痴の人を一緒にしてしまう人がいますが、これはまったく違います。もちろん両方の人もいると思いますが、私は地図は読めます。むしろ地図が好きでよく眺めます。自分が向いている方向さえわかれば、地図を見ながらその通り進めます。ただ、これがとても重要なのですが、自分の歩いている方向が前(上)になるように地図を回しながら歩きます。

一度行った場所に行けないのはなぜか

 初めての土地で迷うのは仕方ないとしても、一度行ったことのあるところならちゃんと行けて然るべきですよね。私もそう思います。でも、迷っちゃうんですよね。自分でもそんな自分が嫌になり、迷いながら「ほんと、なんなの!    なんで迷うの!」と思わず独り言を言ってしまったりするくらいです。一度と言わず、二度三度くらいまでは迷うこともまれではありません。

 理由はこんな感じでしょうか。

・昼と夜など行く時間帯で風景が変わると違う道に見える
・行きと帰りに同じ道を通っても見る方向が違うので違う道に感じる。2つの道を覚えなければいけない感覚で一度では覚えきれない
・ポイントとなる建物を覚えても、上記の通り同じ道でも行きと帰りは見える景色が違うため、行きにそこを右に曲がったとしても帰りはその建物を違う角度から見ることになりどの方向に曲がるべきかわからなくなったり、次に行ったときは行きと帰りの道順が混同して何もわからなくなったりする

 だから、完全に道を覚えるまでナビは必須です。でも、ここが本当に不思議なところなのですが、こんなに長いこと方向音痴で生きてきているのに、次こそは自分の力で行けるかもしれないという根拠のない自信でナビなしで行ってみたりするんですよね。これ、方向音痴あるあるだと思うんですけど、なぜなんでしょうね(笑)。

 他のシチュエーションでは、慣れている街で何度も行ったことのある場所に向かったはずなのに結局辿り着けないというのがあります。

 北海道札幌市から東京に引っ越して13年になります。よく行く主要な街は渋谷や新宿です。渋谷ならTSUTAYAや109などの場所はもちろんわかるのですが、少し渋谷駅から距離のあるところになると、辿り着けるかどうかは五分五分になります。

 それは、渋谷の街はまっすぐではない道が多いからです。くねくねした道が多いとどんなことが起こるのか。例として、下の画像を見てください。

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 「実際」という方が本当の地図で、駅から青で示したルートの通り目的地に向かうとします。まっすぐ歩いていくと、道がカーブしていて2本右にある道にぶつかります。そのとき目的地は左方向にあるので左に曲がらなければ到着しません。

 方向音痴である私がなんとなく頭に思い浮かべている慣れている街の「脳内」マップでも、目的地は位置だけ見れば「実際」のマップと同じ画像の右上のところにちゃんとあります。ただここから、方向音痴らしい思考がさく裂します。「道をまっすぐ歩く」ということは「直線で同じ方向に進んでいる」ということだと思ってしまうのです。歩いているうちに道がカーブして2本隣にあった道にぶつかるなんて、想定外なんですよ。

 「脳内」では道に沿って歩いている=直線を進んでいると思っているので、目的地はずっと右手側にあるはずなんです。だから、この道を右に曲がると目的地に近づくと思うんです。でも実際はこうなってしまいます。下の画像をご覧ください。

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 この辺を右折だと思って曲がってみると、全然違う方向に行っちゃうことになるんですよね。これがくねくね道のマジック。そう、私にとってはマジックみたいな感覚ですよ。まっすぐ進んでいたのになんで!    って。渋谷でいえば、センター街はいつの間にか変な方向に進んでいる魔の空間ですね。

解決策はあるのか?

 脳の問題だから方向音痴はなおらないとのことでしたが、他の専門家の方が緑茶を飲むと良いと言っていました。結構頻繁に飲んでいるんだけどな(笑)。

 それから、方向音痴という名前からして当たり前ですが、ずっと私が言っている「今、自分がどの方向を向いているのか、どの方向に進んでいるのかがわからない」ということが、一番問題なんですよね。

 それを解決してくれるアプリがあるそうなんです。『99%迷わない!    方向音痴のための距離と方向だけのナビうぇーい』という、“目的地までの距離”と“方位磁石で向かうべき方向”だけを示してくれるアプリが紹介されていましたが、まさに知りたいのはこれなんですよね!    どの道を通ろうが、今自分のいる位置からどっちの方向に目的地があるかわかってさえいれば着くんですよ。

※『Waaaaay!』というアプリとのことでしたが、私が調べたところ上記の『99%迷わない!    方向音痴のための距離と方向だけのナビうぇーい』というアプリしか出て来なかったので名前が変わったでしょうか。ちなみに私はAndroidのスマホでGoogle Playストアで検索しました。

 もうひとつ、私が方向音痴の人におススメするのは、札幌市に住むことです(笑)。大通、すすきのなどの中心街は特にそうなのですが、碁盤の目になっているので目的地の方向を誤認識しにくいです。それから、ビルばかりで他に目立った目印がないところでも、ビル名が大きく書いてあるので今いる場所がわかります。

 東京に来て意外と不便なのが、ビル名の表示が小さかったりどこに書いてあるのかわかりづらいビルが多くて、現在地を確認しづらいことなんです。マップにはビル名は載っていてもテナントの名前はあまり載っていません。たとえば目の前にめちゃくちゃわかりやすいカラオケ館があっても、マップにはそのカラオケ館が入っているビルの名前しか書いていない。マップ上にあるビル名とカラオケ館の入っているビルが同じかどうか確認しようとビルの前をうろうろしてもビル名がなかなか見つからなかったりするんですよね。

 東京もいい街ですが、札幌もいい街なので移住を検討してみてください(笑)。

 ちなみに、方向音痴だからって他の能力(学力、判断力、思考力など)が低いということではないので、安易に結びつけるのはやめてください(笑)。とはいえ、どこか抜けている感があるのは否めませんね。

 方向音痴のせいで、知らない場所に行くときに異常なくらい早く出なければならなかったり、それだけ早く出ても遅刻してしまうことがあったり、居酒屋でトイレに行って自分の席がわからなくなったり、カラオケボックスでトイレに行くときは部屋番号を何度も確認してから行かないと部屋がわからなくなるから不安だったり、引っ越したから近所を探検しようと思ったら知らない間に家から遠いところに来ていてタクシーで帰ったり…

 苦労は絶えませんが、方向音痴だからこそ起こった面白いエピソードもたくさんあるので、気楽に生きていこうと思います(笑)。

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