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感情を押し殺すしかなかった

 虐待サバイバーのゆうかです。

 父の虐待のせいで、私の毎日は臨戦態勢でした。父の暴力がいつ始まるか、暴言がいつ始まるか、ビクビクしながら、生活していました。

 子供なら当然に思う、自分がどうしたいか、どう思ってるか、何が好きか、何が嫌で、やりたくないことは何か、そういうことは考えていませんでした。
 考えないようにしていたわけではなく、考えることを思いつきもしませんでした。

 父がどうしたいと思っているか、どう感じているか、父は何が好きで何が嫌いか、そのことに全神経を集中していました。

 父の気に入らないことがあれば、何をされるかわからないのです。暴力はもちろん、包丁を向けられることもあったので、父の機嫌は私の死活問題なのです。

 極限状態で20歳を過ぎるまで生きてしまった私は、自分ではなく、相手の心ばかりを気にする人間に育ちました。

 自分の感情を押し殺すことは当然、相手の期待に応えなければ命に関わる、それほどの精神状態になってしまったのです。

 感情を多少押し殺すことは、普通にできますが、あまり押し殺しすぎると、自分で自分の感情がわからなくなるんです。

 例えば、私は野球のジャイアンツのファンではないけれど、父が好きだから、好きにならないと怒られる、必死に自分に言い聞かせ続けることで、自分はジャイアンツが好きだと、心から勘違いするようになってしまうんです。
 
 本当は好きじゃないけど、好きなふりをするとか、嫌いだということを隠す、とか、そういうレベルではなくなるということです。
  
 ただ、自分がここまで、感情を押し殺しすぎていたことに気づいたのは、40歳を過ぎてからで、自分でもその苦しみに気づかずに、生きてしまいました。

 これからは、自分を優先したり、自分の感情に素直になる、自分の心を欺かない…
 そんな自分を少しずつ取り戻したいと思っています。

 心に、ものすごいブレーキがかかっているので、取り戻すことはとても難しいかもしれませんが。


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