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突然の腹痛

親戚の披露宴から帰宅した母は


「ゆきちゃんとっても綺麗だった^^」


「とっても幸せそうだった^^」


と嬉しそうに僕らに
今日の出来事を教えてくれた。
そんな母を見て僕も
とても嬉しかった覚えがある。


しかしその翌日から
僕らの環境は、生活は一変する。


今にして思えば、
この日が我が家にとって
家族4人で過ごした
最後の穏やかな夜だったのかもしれない・・。


僕はこの数日後、
高校の時の友達と
人生初めてのオールナイト、
つまり夜から朝方まで遊ぶ予定を入れていた。


余談になるけれど、
我が家は男兄弟にも関わらず、
子供の時から門限が
中学生の時は部活や塾が無ければ、17時半。
高校生の時は、18時半。
大学生だった当時は19時だった。


我が家は超が付くほどの過保護で
僕は馬鹿みたいにきちんと守っていた。


なので今回は事前に母に交渉し、
やっとの想いでオールナイトの許可をもらい、
ずっとその日を楽しみしていた。


しかし・・。


翌日になると母は突然、
極度の腹痛を訴えた。


だが僕ら家族は
母が元々体が弱いということもあり、
「いつものことだ。心配ない」
と軽い程度にしか思わなかった。


しかしいつもなら翌日になれば、治るのに
今回はいつになっても体調が戻らない。


だがそれでも、まだ僕ら家族は
「時期に治る。心配ない」
と危機感など全く持たなかった。


そんな僕ら鈍感な家族であったが、
ようやく初めて
「今回のはちょっと様子が変だぞ?」
と危機感を覚える出来事が起きる。


その日の夜は、父が僕らの為に
夕飯にキッチンで
とんかつを揚げてくれていた。


すると突然、リビングで休んでいた母が
鼻を抑え、もうスピードで2階に駆け上がって行った。


父と僕は何事だと心配になり、
急いで母を追いかけた。


僕「どうしたの・・?突然」


母「ごめん・・臭いがきつくて・・・」


僕「臭い?何の・・?俺全然しなかったよ?」


母「わからないけれど、我慢ができなくて・・」


父「様子が変だな、明日〇〇医院に行こう」


僕は母がこんな状況の時に
オールナイトなどしている場合ではないと
オールナイトは延期すると伝えた。


「ごめんね・・楽しみしていたのに」


「良いよ!また体調良くなったら皆に頼むからさ^^」


こんな時でも自分の事より、
僕の事を考えてくれて
なんだか申し訳なかった。


この時の母の顔も覚えている。


そして次の日、
母が通院している地元の町医者に
父が車で連れて行った。


僕は母が大きな病気だったら怖いと
自分が傷つくのが怖くて
家で留守番をしていた。


母が通院している町医者には
母だけではなく兄と僕も風邪など引いた時は必ず通院していた。

僕も兄も生まれてから20年以上診てもらっていた。
母はもっと長く通院している。

それだけとても信頼できる先生だ。


その中でも母は糖尿病に、
高血圧を患っていた為、
週一回必ず通院していた。


診察が終わり、家に帰って来たとき、
駐車場に車を入れる音がしたので、


張り裂けそうなぐらい心配で
外に出て車の中の母に目をやると、
ものすごく激痛に襲われ、
苦しんでいる母が見えた。


そこで僕はようやく事の重大さに気づく。
「これは只事ではないと・・」


僕は運転席から降りてきた父に
「何だった?何の病気?」と
問い詰めるように
たくさん質問をした。


「まだわからない。明後日、今日の検査の結果が出るから
また明後日来てくれと。とりあえず母ちゃんを早く家の中に」

とりあえず父の言う通り、
母を家の中に入れ寝かせた。


しかし僕の不安は募るばかりだった・・。




そしてこの翌日、僕ら家族は
絶望の底に突き落とされることとなる。

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