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The Good-Bye「HELLO ! THE GOOD-BYE」(1984)

ジャニーズ事務所、2組目のバンド、ヨッちゃんこと野村義男率いるザ・グッバイは侮れません。

たのきんトリオ・・・。エイティーズ音楽世代にとっては懐かしいネーミングですが、ビートルズが大好きだった私は、たのきんトリオでは一番マイナーな存在である野村義男に注目しておりました。恐らく多くの洋楽ファンはたのきんトリオなど無視、といった姿勢を貫いていたと思われますが、一部のコア洋楽ファンは私と同様に野村義男が結成したグループ「ザ・グッバイ」に興味をそそられたのではないでしょうか?

実は私は彼等のファーストアルバムを、発売日に買ったマニアでした(笑)。とにかくこのアルバム、当時よく聴きましたね。あれから37年(!)。サブスクでは未だに聴けないと思いますが、コレ、やっぱりいいんですよね。

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デビュー曲は⑥「気まぐれOne Way Boy」ですが、別にこの曲に惹かれたわけではなかったと記憶してます。
むしろこの奇妙なバンドに興味を持ち始めたのは恐らくセカンドシングルからだったような気がします。セカンドシングルはオールディーズロック的な②「涙のティーンエイジ・ブルース」ですが、この曲はアイドルバンドとしては珍しく自作曲(グッバイ自身の作曲)で、こうしたアーチスト志向の姿勢に惹かれて興味を持ち始めたように思います。

この2枚のシングルを発表後、彼等はついにファーストアルバムを発表するのでした。
とにかく針を落とした瞬間から驚きましたね。なにやらオーケストラの練習的な音がかすかに聴こえ、ドラムのカウントから始まる①「Take Off」。もちろんこの曲は作詞・作曲・編曲すべてが彼等によるもの。イントロから疾走するパワーポップ。メロディはラズベリーズ以上のメロディ重視のロック、ギターソロは野村義男と曽我泰久のツイン、随所に聞かれるドラムロール、どれも一発で気に入ってしまいました。今聴くとコーラスは彼等とスタジオミュージシャンですかね?

このシングルカットされていない楽曲が、なんとYouTubeにアップされてました。スタジオヴァージョンよりアップテンポなので、実際に演奏しているのでしょう。ヨッチャンの歌の下手さには閉口してしまいますが(苦笑)、でも昨今のジャニーズ系バンドとは一線を画す本格的なバンドであることは、この映像を見てもらえれば分かると思います。ハチさんの唸るベースもカッコいい。こんな映像が見れるなんて感動ですね~。

ついでに成長した今のグッバイ。これもイイ!!というかめちゃくちゃカッコいい!

ベースの加賀八郎のペンによる④「昨日まではファニー・ボーイ」はモータウンサウンドのパクリですが、ホーンアレンジが軽快なポップスだし、⑤「めちゃめちゃロックンロール」はなんとチャー(竹中尚人)の作詞作曲。ヨッチャンは業界人からも注目されていたのですね。

⑧「Shock Me!」はヨッチャンがジミヘンに捧げたハードなナンバー。当時私はジミ・ヘンドリックスなど知らず、ライナーノーツにジミヘンの名前が挙げられていても、その意味を理解することなくこの曲を聴いてました。ちょっとサイケで、リズミカルなナンバー。ここまでやるとアイドルバンドではないですね。

私が好きなナンバーが⑨「想い出のロング・ヴァケーション」。これはヤッチンこと曽我泰久が大瀧詠一へ捧げたナイアガラ・もどき・ソング。でもこれが単なるコピーでなく、ホントにいい曲に仕上がっているんですよね。
曽我泰久は実は相当センスのあるミュージシャンであることが窺い知れます。そういえばヤッチンが「笑っていいとも」に出演したとき、偶然大瀧先生がそれを見て、ヤッチンを自宅に呼んだらしい。音楽談義に花が咲いたと後にヤッチンが語ってましたね。

ヤッチンはちょくちょくテレビにも出ていたジャニーズ所属アイドルでしたが、実は元スクエアのドラマーである長谷部徹と一緒にグッバイ結成前に「ANKH」というバンドにいました。このバンド、更に言うならスタジオミミュージシャンの松原秀樹氏も所属していました。

⑩「愛 See Tight」はドラマーの衛藤浩一がヴォーカル(作詞作曲はヨッチャン)のジャージーなパーティーソング。ドラムの衛藤浩一は愛らしいキャラクターが特徴ですが、もともとは九州でドラムのインストラクターをやっていた実力者。一歩間違えばグッバイのドラマーは長谷部徹になっていた可能性も否定できませんが(実際は長谷部徹氏は1982年にスクエアへ加入してしまっているので、間違ってもグッバイへの加入はありえませんが^^)、でもやっぱり衛藤のキャラクターはグッバイに必要だったのでしょうね。
ちなみにこの曲、全く記憶になかったのですが、25年振りに聴いた瞬間、メロディがスラスラ思い出されました。実は当時、大好きな曲だったのかもしれません。
ジャズ系ギターソロが渋い。メロディはノスタルジーなポップソングです。

⑫「エピローグ(Hello Goodbye)」は約30秒の思わず聞き流してしまうエンディングソングですが、もちろんタイトル通り、ビートルズのコピーです。でもアカペラなんですね。サビをアカペラで歌っているものなんですが、私はずっと、コレ、スタジオミュージシャンによるコーラスと思っていたのですが、どうも違うようです。アレンジも全て彼等によるもの。う~ん、やっぱり只者ではありません。

つらつらとグッバイの良さを書き綴っていきましたが、実は私のグッバイ熱はこのファーストで途絶えてしまいました^^。以降彼等は「YOU惑~MAY惑」、「にくめないのがニクイのサ」、「とLOVEるジェネレーション」といったお遊びソングを発表していきます。このタイトルのふざけた感覚についていけなかったのかもしれません。
ただ相変わらずアルバムは、センスあるものを発表していったようですね。
ラズベリーズやビートルズがお好きな方々は、少なくともこのファーストはおススメですので・・・。

せっかくなので⑥「気まぐれOne Way Boy」とセカンドシングルの②「涙のティーンエイジ・ブルース」もアップしておきます。


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