Edgar Winter Group 「Shock Treatment」 (1974)
エドガー・ウィンターってご存知でしょうか。兄貴のジョニー・ウィンターはブルースのギタリストとして有名。ですからエドガーの紡ぎだす音だって、そっち系かなと思ってました。
今回ご紹介するのは、そのエドガーのリーダーバンドの1974年に発表したアルバム。邦題「恐怖のショック療法」。なんとも仰々しいタイトルです。そしてこのアルバムからギターにはリック・デリンジャーが加入しております。リックといえば、ゴリ押しのハードロッカーのイメージが何となくあったので、当然ながらこのアルバムもそんなイメージを持っておりました。
1曲目の①「Some Kinda Animal」は何となくそのイメージにぴったりなロックンロール。しかもギターはガンガン鳴りっぱなし。私の彼らの楽曲のイメージはこの曲のような感じですね。
ところが2曲目からちょっとイメージが変わってきます。②「Easy Street」、3連系のブギー、う~ん、ブギーというか、ちょっとジャズの香りも感じさせますね。間奏はエドガーがサックスを吹いてます。①も②も作曲者はダン・ハートマン。ダンはベース奏者ですが、エドガー・ウィンター・グループに加入する前のバンドでは主にキーボードを弾いていたようです。
ダンといえば、80年代洋楽ファンにとってはダイアン・レインが主演した映画「ストリート・オブ・ファイヤー」の挿入歌「I Can't Dream About You」のヒットで御馴染み。ですからダン・ハートマンって、そんなポップス一発屋として捉えていたんですが、まったくの間違いでした(苦笑)。
エドガー・ウィンター、リック・デリンジャーという強力なソングライター&ミュージシャンがいたにも関わらず、本作ではダンが11作中、9作も作曲に関わっています。それだけソングライティング能力が高かった訳ですね。
そして何よりビックリなのが⑤「Do Like Me」。コレ、超ファンクです!
一瞬スティーヴィー・ワンダーかと(笑)。エドガーがサックスを吹きまくってますが、それにしてもかなりカッコいいです。
曲名通りのロックンロール、⑥「Rock and Roll Woman」はキャッチーで期待を裏切りません。でもやっぱりこの次の⑦「Someone Take My Heart Away」が本作の白眉でしょうか。この曲、エドガーが作ったバラードですがメロディが実にイイ。バックにはメロトロンが使われているのでしょうか。このサビ、歌詞もメロディも素敵ですね。
⑨「Maybe Some Day You'll Call My Name」なんか聴くと、このバンドが当時流行っていたパワー・ポップの流れを汲むバンドだということが何となく分かります。
アップした音源だけ聴いてみても、エドガー・ウィンター・グループの音楽の多様性が理解出来ると思います。ダン・ハートマンの非凡なソングライティング能力に拠るところが大きいのですが。また演奏能力も相当高いバンドで、何といっても彼らの代表作「Frankenstein」はインストナンバーなんですよね。実に味わい深いバンドです。