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Dusty Springfield「Dusty in Memphis」(1969)

今回も地味なアルバムのご紹介です。
ダスティ・スプリングフィールドというと、どっちかというと「この胸のときめきを」のヒットで有名なので、MOR系の軽いタッチのアーチストかと思ったら、この5枚目のアルバムはちょっと骨のあるアルバムなんです。

あ、ダスティも日本では知名度が低いですね(苦笑)。本作、発表された当時はそれほど話題にならなかったのですが、時代を経て、今では海外ではかなりの名盤扱いなんですね。先般購入した「教養としてのロック名盤 ベスト100」にもランクインしておりました。
イギリスのソウルミュージックを牽引する立場にあったダスティは、念願だったソウルで有名なアトランティックと契約し、メンフィスのアメリカン・スタジオで本作を収録します。もちろん参加ミュージシャンはレジ―・ヤング(G)、トミー・コグビル(B)、ボビー・エモンズ(Key)、ジーン・クリスマン(Ds)…といった腕利きミュージシャンばかり。プロデュースはジェリー・ウェクスラーアリフ・マーディントム・ダウドの3名が名を連ね、珠玉の11曲を収録した素晴らしいアルバムとなりました。

アルバムトップはバリー・マン&シンシア・ウェルが書いた①「Just A Little Lovin'」。アルバムトップにしては落ち着いた、メンフィスソウルらしいナンバー。ダスティのソウルフルなヴォーカルがじっくり楽しめます。

ファーストシングルの③「Son of a Preacher Man」は、かなりソウル指数の高いナンバー。イントロのギター、ホーンなんかは思いっきりソウルしてます。アップした映像は当時のTVショー出演のもの。堂々たる歌いっぷりで、実にカッコいいですね。

ランディ・ニューマン作の⑦「Just One Smile」はダスティに書かれたものではなく、もともとはジーン・ピットニーが1966年にヒットさせたナンバー。BS&Tなんかも豪快にカバーしていました。

本作ではジェリー・ゴフィン&キャロル・キングの作品が4曲も収録されてます。ダスティとの相性が良かったのでしょうか。ここでは②「So Much Love」をアップしておきます。「So Much Love」も多くのアーチストがカバーしていますね。1966年にベン・E・キングが歌ったものが最初でしょうか。

バート・バカラック&ハル・デヴィッドも1曲だけ楽曲提供しているので、そちらもアップしておきます。それが⑨「In The Land Of Make Believe」。原曲は1963年にヒットしたドリフターズのナンバー。ドリフターズのバージョンはかなりリズミカルにアレンジしてましたが、ダスティは穏やかなストリングスが効いたイージーリスニング調に。レジ―・ヤングが弾くシタールが効果的です。

この時代のソウルっていうとアレサ・フランクリンとかオーティス・レディングばかりに目(耳)が行ってしまいますが、ダスティのソウル・アルバムもなかなかいいです。まだまだ知らない名盤が多いですね。


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