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Carole King「A Holiday Carole」(2011)

今年も残り1週間ちょっと…、クリスマスが過ぎたら、あっという間に年末年始。1年早いですね~。

さて、再びキャロル・キングです。今回は彼女自身初のクリスマス・アルバムにして、現時点での最後のスタジオ・アルバムのご紹介です。

以前の記事にも書きましたが、彼女の音楽制作のおけるパートナーだったルディ・ガスが2010年に亡くなったことから、このアルバムはキャロルの娘、ルイーズ・ゴフィンがプロデュースしております。ちょっと寂しいことに、本作にはキャロルの自作曲は実は1曲も収録されてません。クリスマスの定番ソングのカバーと、オリジナルはルイーズの作品。そしてこのルイーズの作品が意外にもイイんですよね。

プロデュースはルイーズ・ゴフィン。キャロルからのアドバイスはあったかと思いますが、ルイーズ、多彩な方だったんですね。だたキャロル自身はもうこの時点で音楽の創作意欲は無くなっていたのかもしれません。

オープニングはジャズの巨匠、ジョン・コルトレーンの解釈で有名な①「My Favorite Things」。
この曲、元々はミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の中の1曲で、クリスマス・ソングとは認識されておりませんでした。ただ、歌詞の「私の好きなもの」に、sleigh bellsやSnowflakes、Silver white winters等といったクリスマスを連想させる単語が散りばめられていることから、いつしかクリスマス・ソングとして扱われていったようです。
キャロルのバージョンは、この古典ソングを現代風なアレンジで仕上げてます。イントロだけでは「My Favorite Song」とは分からないですね。ピアノのロビー・コンダーがこの曲に限らず、本作全編のアレンジを担っているんじゃないかなと推測します(クレジットがないので分かりませんが)。ギターはディーン・パークス。

③「Sleigh Ride」はクリスマス・ソングの超定番曲ですね。もともとは管弦楽曲として作られたもの。
この曲を聴いて、まったりとクリスマス気分に浸って下さいませ。キャロルのヴォーカルも、流石に歳を感じさせますし、決して上手い唱法じゃないんですが、むしろ味があってハートウォーミングな歌い方だなあと感じます。

ルイーズとジョージ・ノリエガ、ジョディ・マーの共作の④「Christmas Paradise」。ここでオリジナル楽曲の登場です。
一気に南国の島国へ行った気分にさせる楽曲が…。ビーチボーイズの「ココモ」を彷彿させるトロピカル・ナンバーです。
本作は、如何にもクリスマス・ソング的な楽曲ばかりでなく、こうした意表を突くナンバーも収録されているのがいいですね。ロビーにディーン、ベースにボブ・グラウブ、ドラムにラス・カンケル、パーカッションにルイス・コンテと名うてのミュージシャンが参加。もちろん作曲者のジョージとジョディのバック・コーラスで参加。

あまりにも有名なクリスマスの定番ソングの⑦「Have Yourself A Merry Little Christmas」。
キャロルも歌ってます。個人的には私が大好きなクリスマスソングです。
比較的シンプルなアレンジで、中盤以降のハートウォーミングなコーラスがキャロルらしい。コーラスクレジットがないので、キャロル自身の多重録音でしょうか。

3曲収録されているオリジナル曲の内の1曲の⑨「Christmas In The Air」。ジョディとルイーズの共作。
かなりキュートなR&B風ポップス。この曲には賛否両論あるかもしれません。個人的にはキャロルの唱法には合っていない楽曲と思いながらも、楽曲自体は非常に好みなので…。
ロックフェラー・センターのクリスマス・ツリーで行われる恒例の点灯式で、キャロルがこの曲を披露している映像がアップされておりました(冒頭にトランプがニンマリした笑顔で映ってますね)。ルイーズも共演してます。もう既にキャロルの声はあまり出ておらず、音程もブレブレ(笑)。ライブとしての出来は今一つですが、娘と共演しているキャロルの表情、嬉しそうですよね。それでご勘弁下さい。この時、キャロルは69歳、ルイーズは51歳。見た目、若いですね…。

そしてやはりこの曲は収録されるべきでしょう。ダニー・ハザウェイ作の⑪「This Christmas」。
ダニーについては何の説明も要らないでしょう。ダニーがデビューしたとき、キャロルはジェームス・テイラー等に、彼のファーストアルバムを聴くようにと薦めていたようです。そのダニーが、超名盤「LIVE」でキャロルの「You've Got A Friend」をカバー、その素晴らしい音源は有名ですね。
そのダニーも1979年に亡くなってしまい…。
この曲、大好きなんですよね。キャロルは割と原曲に忠実にカバーしてます。タイトなドラムはラス・カンケル。

如何だったでしょうか。ちょっと歌声も苦しそうなキャロル。でも娘と一緒に制作したという充実感はあったんでしょうね。

クリスマスの時期はこうした楽曲を聴きながら、まったりしたいものですね。皆様、よいクリスマスをお過ごしください。

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