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Boston「Third Stage」(1986)

新年度入りしました。職場の異動者が多いと、自分は関係ないのに妙に気持ちが引き締まります。新年度、何をしようか改めてじっくり考えさせられますね。

こうしていろいろ振り返りをしていると、なぜか10代によく聴いていた音楽、もしくは当時流行っていた音楽なんかを聴きたくなります。今回ご紹介するアルバムはそういった1枚、ボストンのサードアルバム「Third Stage」。後追いで「Boston」「Don't Look Back」はよく聴いていたのですが、このサードアルバムは、当時の商業ロックの類の1枚という整理をしてしまい、スルーしておりました。

本作は前作から8年のインターバルを置いて発表されてます。なかなか制作が進まなかったことから、当時所属のエピック・レコードと法廷闘争となり、結果、MCAからの発表となりました。妥協を知らないトム・ショルツらしいエピソードですね。

ボストンといえばリーダーのトム・ショルツ、というかトムのワンマン・バンドとも云えます。ただこのアルバムを聴いていると、リード・ヴォーカルのブラッド・デルプっていいヴォーカリストだったんだなあと痛感致します。その名唄が聞けるのが1曲目の①「Amanda」。
ボストンとしては初のシングルNo.1を記録した名曲。しかもこの曲、当時MTV全盛期において、プロモーションビデオすら制作していなかったという非常に珍しいケース。全く商売っ気のないトムらしい話です。つまり本当に曲だけでビッグヒットを記録したということですね。

私の本作中、一番のお気に入りが②「We're Ready」。これは往年のハードロックなボストン、そして歌詞が実に年度初めに相応しいんです(笑)。
ここでのブラッドのヴォーカル、トムのスペーシーなギターとピッタリ相性が合ってます。この曲のハイライトは何と言ってもトムのギターソロに入る前の、リズムが倍速になる2分40秒過ぎ辺りからの緊張感ある演奏と、
♪ We're Ready(準備はいいかい?) 1、2、3、4、Come On!♪
とブラッドがシャウトし、トムが入れ違いに切れ味鋭いギターソロを披露するパート。そしてこの後、♪ We Can Find A Way ♪ (道は見つかるさ)とブラッドが優しく語りかけてくれます。ボストンはトムのバンドでしたが、やはりトムの思いを正確に歌で表現出来たのはブラッドだけだったのではないでしょうか。

こちらはよりロックンロールな④「Cool the Engines」。
なんだか「もっと頭を冷やせよ」と言われているようで(苦笑)。この曲でもトムのギター・サウンドが気になりますが、トムが開発したギター・エフェクター「ロックマン」が冴えわたってます。この「ロックマン」、一世を風靡したようです。日本ではBzの松本さんが愛用者らしい。トムがソニーのウォークマンをヒントに、どこでも持ち運べるヘッドフォン・アンプを開発したことが発端のようですね。実は実業家としても大成しているトム・ショルツ、凄い方です。

キャッチー過ぎる⑨「Can'tcha Say (You Believe in Me) / Still In Love」はあまり好みじゃない方も多いかもしれませんね。
確かにサビは商業ロック丸出しの覚えやすいキャッチーなもの。あまり深みはないと感じられるかもしれません。但し、この曲には「Still In Love」がイイ感じに挟まれていて、かなりドラマティックな展開となってます。ギターの音もいいなあ。

ファンの間では人気の高いバラードの⑩「Hollyann」。
「Third Stage」はバラードで始まり、バラードで終わる見事な作り。この曲もブラッドのヴォーカルとトムの伸びやかなギターが素晴らしい。美しいメロディにこのヴォーカル、ギター、文句ないです。

「Third Stage」、実はファーストやセカンドよりも聴き応えがあるんじゃないかなと思い始めてます。但し、その後のボストンは失速。素晴らしいヴォーカリストだったブラッドも2007年3月に自殺してしまいます。この「Third Stage」はブラッドのヴォーカルが最高に輝いている一枚でしょう。

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