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The Doors 「Waiting For The Sun」 (1968)

ドアーズというとデビューアルバム「The Doors」やセカンド「Strange Days」、「LA Woman」なんかが有名ですね。特にファースト・セカンドのイメージが強烈だっただけに、このサードアルバムはちょっと過小評価され過ぎているような気がします。確かにファーストの「The End」のような長い演奏の楽曲はありません。でも各メンバーの演奏の力量なんかもよく分かる名盤ではないかなと個人的には思ってます。しかもジャケット、メンバーの立ち姿も凛々しいです!

実はこのアルバム、全米No.1ヒットを記録した楽曲が収録されてます。それが①「Hello, I Love You」という楽曲。ドアーズというとサイケ感覚溢れる怪しげなバンドといったイメージがあると思いますが、この曲はひたすらポップ。だってタイトルからして安易だし、なんだか逆に皮肉な感じ。当時、キンクスの「All Of The Night」のパクリと騒がれました(後にレイ・ディヴィスは「訴える気はなかった」と語ってます)。

③「Not To Touch The Earth」なんかドアーズらしい毒気たっぷりのサウンドです。このメロディ、どうやって考えたんでしょう。イントロからして怪しげ。このキーボードがキーとなる音作りがやっぱり個性的ですよね。このサウンドに、ジムの呟くようなヴォーカル。これ以上の怪しさはないでしょう。

実は本作からのファーストシングルは①ではなく、⑥「The Unknown Soldier」だったんですね。もちろんこの曲はベトナム戦争にインスパイアされて作ったもので、ライヴでは銃殺パフォーマンスもありました。アップした映像にはそのシーンもしっかり収められてます。
ドラムのジョンがスネアロールで盛り上げます。ロビーが自分のギターを銃に見立てて、ジム目掛けて打ち放ちます。今見ても斬新だし、当時であれば尚更でしょうね。

⑦「Spanish Caravan」はロビーのスパニッシュ・ギターがフューチャーされたもの。ドアーズがジムだけのバンドではないことがお分かり頂けるかと思います。エンディングに向かってはレイのキーボードが際立ってきます。ドアーズって、皆、実力者だったんですよね。この曲もドアーズの個性が際立ってます。

エンディングの⑪「Five To One」も演奏がカッコいい。ジムのヴォーカルもこの曲に合わせるように渋い。アップした映像の音源はどうもライブバージョンらしい。そして映像は当時のサイケ感覚が伝わってくるもの。このテの雰囲気が嫌いな方はあまり見ない方がいいかもしれません。

ジムの個性際立ったスタイルが注目されがちですが、ベースレス、キーボードをフューチャーした独特の演奏スタイルなんかは、今聴いても新鮮だし、ドアーズが尋常でないバンドであったこともよくご理解頂けるのではないかと思います。

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