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Rainbow「Bent Out of Shape」(1983)

レインボーが商業的な成功を収めた一枚。私が洋楽を聴き始めた頃、レインボーの「アイ・サレンダー」がヒットしてました。あのポップなメロディーが中学生の私を虜にしたのですが、LPを買うお金もなく、ましてやハードロックのアルバムを買う勇気もなかったような記憶があります…。
それから数年後、PV時代に突入し、MTVが全盛を極めていきました。そんな中、このレインボーは見事に「ストリート・オブ・ドリームス」という超ポップなシングルをヒットさせました。アメリカ市場に受け入れられるのに必死だったリッチーの念願が適った一枚。でもコージー・パウエルが大好きだった私にとっては、当時どうしても好きになれなかった一枚でもあります。

ディープ・パープルを脱退し、レインボーを結成したリッチーは、徐々にアメリカ市場でのヒットを狙うようになっていきます。その顕著な例がアルバムDown To Earth。当時のメンバーはリッチーにコージー、グラハム・ボネットにロジャー・グローバー、ドン・エイリーの5人。ハードロック界の巨匠達が見事に集まったものです。私の大好きな1枚です。でもこのアルバムに収録されている「Since You've Been Gone」のあまりにも商業的なポップさゆえに、コージーはファーストテイクで叩くのを止めてしまったという逸話があります。ポップス好きの私にとっては結構好きな1曲なんですよね・・・。
それからグラハムが抜けて、ジョー・リン・ターナーがヴォーカリストとして加入します。レインボーのロニー・ジェイムス・ディオ、グラハム・ボネットといった強烈な個性の先人達に比べたら、ジョーはちょっと地味な印象かもしれません。

本作は1983年に発表されたレインボーの実質的なラストアルバム。冒頭、「当時どうしても好きになれなかった一枚」と記述しましたが、それは私の敬愛するコージーが、この商業的なレインボーに見切りをつけたからということと、よく分からないジャケットがその大きな要因です。結局当時は全く聴かずじまいに終わってしまいました。
今回改めて本作を聴いて、最初は商業的ロックかなと思いきや、結構いい楽曲が収録されているんですよね。

トップの①「Stranded」からハードなチューンが続きます。
AORファンの私としては、このタイトル、エアプレイを連想してしまいます。曲は全く違いますが、突っ走り具合は似ているかも(笑)。やはりレインボーはこうでないと。

イントロからレインボー、というかリッチー好みの中世的なシンセが。②「Can't Let You Go」もいいですね。
再結成パープルがやりそうな楽曲です。適度にポップで、適度にハード。でもアップしたこのPV、化粧したジョー、気色悪くていやだな~(笑)。

④「Fire Dance」、これはいい! 初期レインボーを彷彿させるスピード感溢れるハードロックです。やっぱりリッチーはこういう楽曲が映えますね。
アップした映像は武道館におけるライヴ映像ですが、ジョーを見ていて、ふっとミスタービッグのエリック・マーティンを連想してしまいました。容姿といい、歌い方といい、何となく似てます。

一応⑦「Street of Dreams」にも触れておきます(苦笑)。
後期レインボーを代表する楽曲。この曲を聴いてレインボーファンになった方々も多いと思われます。PV全盛時代、この楽曲も安易なPVが存在します。当時何度となくこのPVが目に入ってきました。
ここではライヴ映像をアップしておきます。リッチーのバッキングギターはハードロックというよりも、ポップスを演奏しているようなプレイですね。

⑧「Drinking With the Devil」はもうひとつのスピードソング。
この楽曲なんかはミスタービッグが演奏していても全く違和感がありませんね。1983年当時の音ですが、このスピード感覚は今でも十分通用します。
ジョーが吼えまくります。こうして聴くと、ジョーのヴォーカル、相当うまいですね。

結局レインボーはこの後、リッチーとロジャーがディープパープルの再結成に動き、解散してしまいます。その割りにこのアルバム、完成度としてはかなり高いですね。当時私は「Street of Dreams」のノリに騙されてしまいましたが、しっかりレインボーはレインボーとして踏ん張っていたんですね。ジョーのヴォーカルスタイルも改めて見直してしまいました。

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