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Bonnie Raitt「Just Like That...」(2022)

アメリカの姉御、ボニー・レイット、1972年に発表されたデビューアルバムは何度か聴いたことがあるのですが、ブルース臭が激しく、全く好みではなかった記憶が…。それがたまたま彼女の新作を耳にする機会があったのですが、これがまたいいんですよね~。

御年72歳。ボニーもまた苦労人で、これだけ有名なシンガー&ギタリストなのに、商業的な成功は1989年発表の10枚目のアルバム「Nick of Time」まで待たねばなりませんでした。そして本作は前作から6年振り、19枚目(ライブアルバムを含めると21枚目)のアルバムとしてつい最近発表されたばかり。

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プロデュースはボニー本人。楽曲を聞いて頂ければわかりますが、このアルバム、結構音がいいんですよね。あとドラムの音がすごくいい。
リズム隊はボニーとは長年の付き合いのリッキー・ファター(Ds)とジェイムス“ハッチ”ハッチソン(B)。往年の洋楽ファンであれば、このリッキー・ファターの名前に聞き覚えがお有りかと。あのビーチボーイズのメンバーだったリッキーその人です。彼は1979年にボニーを紹介され、以降ボニーのお抱えドラマーとなりました(知らなかった…)。そして本作から参加したグレン・パッチャ(Key)、ケニー・グリーンバーグ(G)の4人が基本メンバーです。

まずはオープニングナンバーの①「Made Up Mind」。こちらはBrothers Landrethが2015年に発表したナンバーのカバーで、かなり原曲に忠実にカバーしております。ブルージーでソウルフルなナンバーで、ボニーのドスの効いたハスキーヴォイスにピッタリ。90年代以降のエリック・クラプトンを彷彿させるナンバー。
確かにお顔は歳相応ですが、立ち姿といい、味のあるスライドギターといい、ボニー若いなあ~。

セカンドシングルの②「Something's Got a Hold of My Heart」も前曲からの流れを汲む、ブルージーなナンバー。
こちらはボニーが以前からカバーしようとしていたNRBQのアル・アンダーソンの作品。原曲の存在は確認出来なかったのですが、こちらもボニーのスライドギターが間奏で堪能出来、まるでボニーのオリジナル作品のように聞こえます。

長年のバンド・ギタリストだったジョージ・マリネリとボニーとの共作の③「Livin' for the Ones」は豪快なロックンロール。
まるでローリング・ストーンズのように聞こえますね~。ジョージはギターとバック・コーラスでも参加。
こちらは最近亡くなった友人や家族に捧げられた楽曲。前々作、前作とキーボード/オルガンで参加していたマイク・フィニガンも昨年8月に亡くなっております。マイクはジミ・ヘンドリックスと共演したこともある伝説のオルガン奏者で、彼がご存命であれば、引き続き本作に参加していたんだろうなあと思います。

リッキーのファンキーなドラムがキーとなっているボニー作の⑥「Waitin' for You to Blow」。
かなりブルージーでありながらもファンクなナンバーです。渋い1曲ですが、こうした曲もかなり好きですね~。この曲、ギターのクレジットはケニーのみなので、エンディングでのギターソロはボニーではなく、ケニーのようですね。
それにしても72歳の方が作る曲じゃないですね~。ボニーは本作の制作に際して、「このアルバムで成長したいと思った」と語ってます。好奇心旺盛なんですね~。見習わないといけませんね。

本作中、一番スローでブルージーなナンバーのアンドリュー・マセソン作の⑦「Blame It on Me」。
この曲はボニーのブルース唱法と随所に聴けるボニーのスライドギターをご堪能下さい。

この歳で、こんな素敵な新作を制作できるボニーって凄いですね。
本作聴いたら、ボニーの過去の名作もより深く聴いてみたくなりました…。

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