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Ben Sidran「The Doctor Is In」(1977)

今回はこの季節、夜に聴くにはぴったりのベン・シドラン。まあ、ベン・シドランなんかを聴き込んでいる方って、よっぽどのマニアでしょうね。私は大好きなアーチストなんですが…。
彼って「ドクター・ジャズ」と呼ばれるほとのジャズの見識の高いミュージシャン。ジャズをベースとした彼の音楽は実に魅力的です。

彼のキャリアの中でもアリスタ時代(1976年~1978年)のアルバムはどれも素晴らしいのです。その中で今回は1977年発表の「The Doctor Is In」をチョイスしました。

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参加ミュージシャンは以下の通りです。
Larry Carlton(g)、Phil Upchurch・Richard Davis・Chuck Domanico(b)、Tony Williams・John Guerin(ds)、Ray Armondo・Gary Mallaber(per), Blue Mitchell(tp)。皆さん、凄腕ミュージシャンばかり。極上の名演と洒落たメロディが堪能出来るアルバムです。

如何にもベン・シドランらしい楽曲の②「Song For A Sucker Like You」。イントロからベンのコーラスが愛らしく、洒落た感じです。途中、6拍子のパートもさりげなくあったりして、ベンらしい。
グルーヴ感たっぷり、そして間奏の裏打ちのチャイナシンバルがカッコいいドラムはジョン・ゲリン。彼はラリー・カールトン等、フュージョン系ミュージシャンとの共演が多いドラマーですね。

ちょっとリズミカルなドラムが印象的な⑥「Set Yourself Free」。ベースとドラムが織りなすリズムワークの載せて、トランペットとピアノがメロディを奏でる…贅沢な音楽です。あ~、心地いい!!

本作には2曲のジャズ・スタンダード・ナンバーのカバーが収録されてます。その1曲が⑦「Silver's Serenade」。原曲はジャズ・ピアニストのホレス・シルヴァーの1963年発表のアルバム・タイトル・トラック。原曲にも参加しているトランペット奏者のブルー・ミッチェル、実はこちらのカバーにも参加しております。ベースはリチャード・デイヴィス、ドラムはトニー・ウィリアムス。効果的なストリングス・アレンジはニック・デ・カルロ。クールな楽曲なんですが、エンディングにかけてはスリリングに盛り上がっていきます。この流れはスティーリー・ダンの「Aja」にそっくり。後期スティーリー・ダンって絶対にベン・シドランからの影響が大きいと思います。

小粋なナンバーの⑨「Charlie's Blues」。アップした映像はベンの弾き語りシーン。ピアノソロも抜群にカッコよく、またこれが上手い!ベンのヴォーカルといい、ピアノのプレイ、洒落たメロディ、ベンの神髄が堪能出来ます。ところでチャーリーって、スヌーピーに登場するチャーリーのことでしょうか⁇

もうひとつのジャズ・ナンバーのカバーの⑩「Good bye Pork Pie Hat」。チャーリー・ミンガスのあまりにも有名なナンバーですね。本作発表の前年、ジェフ・ベックがカバーしておりました。ひょっとしたらベンはそちらも聴いた上で、敢えてジャズらしくカバーしたのかもしれません。これこそ夜長にじっくり聴いていたいナンバーですね。

本作は70年代のベンのアリスタ時代の中間期の作品ですが、一番ジャズ寄りかもしれません。完全なジャズではない、でもAORでもロックでもない、ベン・シドラン・ワールドがここには展開されてます。

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