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Humble Pie「Thunderbox」(1974)

4月6日のジェームス・テイラー来日公演参戦に際して、音楽愛好家の大先輩にチケットはお願いしていたのですが、そのチケットが到着して度肝を抜かれました。
東京ガーデンシアターって8千人収容のホールなんですが、その大きなホールのアリーナ、なんと1列目!!真ん前じゃないですか。しかもステージ正面区画の1列というプレミア級の席。周りに著名人が座るんじゃないかと、別の意味でもドキドキしております(笑)。

またJTのアルバムはご紹介するとして、今回は(全くJTとはイメージの違う)ハンブル・パイです。
スティーヴ・マリオット率いるハンブル・パイというと、私的には「Smokin'」や「Eat It」のジャケットが思い浮かびますが、こちらの作品を思い浮かぶ方というのはあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。

本作は1974年、ハンブル・パイ7作目のスタジオ・アルバム。全12曲中、7曲がカバーということもあり、ちょっと地味な印象ですが、前作ツアーでも一緒だった黒人コーラスグループのブラックベリーズが参加した、非常にソウルフルな1枚で、個人的には非常に気に入っております。

プロデュースはハンブル・パイ自身。ジャケットのデザインはヒプノシス。鍵穴からトイレに座る女性が映っているというエロチックなもの。決してセンスがいいとも思えませんが…。

それではまずはオープニングナンバーから。如何にもハンブル・パイらしいハードロックなタイトル・トラックの①「Thunderbox」。
スティーヴ・マリオットとクレム・クレムソンとの共作。ピーター・フランプトンの後釜として加入したクレムですが、元コロシアムにいただけあってかなりいぶし銀的なギターを聞かせてくれます。
この曲、イントロこそフリーっぽい感じですが、ブラックベリーズのコーラスが加わり、次のメロディへいくと一転、ローリング・ストーンズばりのかなりR&B色の濃いナンバーに変化していきます。特にスティーヴのヴォーカルが際立ってカッコいいですね。

ビートルズもカバーしたアーサー・アレキサンダーの④「Anna」。
ビートルズのイメージが強烈にある曲ですが、あまりにもスティーヴのヴォーカルがソウルフル過ぎて、ちょっと印象が変わってきます。如何にもスティーヴが好みそうな選曲ですね。

後期ZEPのようなサウンドの⑥「Rally with Ali」。
イントロのジェリー・シャーリーのヘビーなドラムはボンゾほどじゃないですが、重厚感ありますね。メンバー4人の共作ですが、スティーヴのソウル好きの影響なのか、コーラスなんかはファンクっぽい印象を受けます。ハードロックの括りの中でも、こうした楽曲は新境地的なものかもしれません。

ドビー・グレーの名曲⑪「Drift Away」をカバー。
この曲のリードヴォーカルはベースのグレッグ・リドリー。このグレッグのヴォーカルがまた骨太でいいんですよね。グレッグってこんないい声していたんですね。スティーヴのバックコーラスも味わい深い。

当時のライヴ映像を見ると、このグレッグが真ん中に立って、スティーヴが左側で暴れまくってます。アップしたのは1974年6月のステージ、エディ・コクランの超名曲「C'mon Everybody」。
もちろんスティーヴのソウルフルなヴォーカルが素晴らしいのは申すまでもないのですが、グレッグのコーラスが実にいいのです。上にご紹介した「Drift Away」の渋いヴォーカルがそのままこちらでも聴けます。スティーヴのハイトーンな声質と合ってますね。それから間奏の盛り上がりからのクレムのスライドギターが絶品。いや~、この当時のハンブル・パイのステージも恐ろしく迫力あります。

ゴスペルグループのザ・ステイプル・シンガーズのグルーヴィーな⑫「Oh La-De-Da」。原曲も相当ノリがいい楽曲ですが、それを少しテンポ遅くし、ヘビーなギターのリフで料理。もちろんブラックベリーズのコーラスを全面に生かしたアレンジです。
ピーター・フランプトンが離れて、ハンブル・パイはより一層ソウルフルな度合いを深めていきますが、スティーヴはこういう曲をやりたかったんだろうなあと感じます。スティーヴのヴォーカル、一歩間違うと黒人シンガーがシャウトしているように聞こえますね。

上にアップした1974年6月のライヴ映像からは想像出来ませんが、こうしたライヴ活動にメンバーが徐々に疲労感を覚え、翌年にバンドは解散してしまいます。

ピーター・フランプトンとの2枚看板時代のハンブル・パイもいいですが、この頃のソウルフルなハンブル・パイもいいですね。

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