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Rolling Stones「Between the Buttons」(1967)

今更ながらビートルズの「リボルバー」は傑作ですね~。レココレを読みながら、改めて痛感しております。

「リボルバー」の発売は1966年8月。そしてビートルズの好敵手でもあったローリング・ストーンズが本作のレコ―ディングを開始したのも1966年8月。その後、11月、12月と断続的に本作のレコ―ディングが行われ、英国では5枚目のアルバムとして1967年1月に発表されてます。

ストーンズは前作「アフターマス」で実験的な作風に挑戦し、更にそれを超えるようなものを…というプレッシャーがあった筈で、そこに「リボルバー」のような斬新な作品が現れたわけですから、メンバーも相当苦労したのではないでしょうか。なかでもバンドの創設者でもあったブライアン・ジョーンズは、更にマルチプレイヤーとしての本領を発揮。本作は全作ミック&キースの楽曲なんですが、アレンジ面はブライアン・ジョーンズの貢献が大きいのではないでしょうか。そして個人的にはブライアンが料理するストーンズ・サウンドって、結構好みかもしれません。

オープニングから不思議で独特な雰囲気の世界観の①「Yesterday's Papers」が怪しげでいいですね(笑)。
ブライアンが奏でるヴィブラフォンが実に怪しげでいいんですよね。キースのファズ・ギターも効果的。ハープシコードはジャック・ニッチェの演奏。初々しいコーラスも70年代のストーンズには見られないですね。チャーリー・ワッツもスネアを叩かないドラミングだし、それぞれが凝ったアレンジで演奏してます。当時のフォークロックとサイケをうまくミックスしたような佳作。

フォーキーなバラードの③「Back Street Girl」。
地味なフォークソングに終わってしまうところを、ブライアンのヴィブラフォンとニック・デカロ(!)のアコーディオンが味のある彩りを添えてます。ミックもこうしたバラード、上手く歌いこなせるんですね~。

従来のストーンズにはあまり見られなかった昔のホンキートンク調の⑥「Cool, Calm & Collected」。
イントロのニッキー・ホプキンスのピアノを聴いただけでは「これがストーンズ?」と思ってしまうくらい陽気が楽曲。サビではブライアンが奏でるシタールやバンジョーが使われてます。これが非常に効果的に使われてますね。そしてエンディングにかけてはハーモニカも使われ、スピードも早まっていきます。エンディングはサイケな感覚…。いや~、いいですね、このアレンジ。この曲のアレンジはまさにブライアン、彼のセンスが凝縮されているような気がします。

ストーンズがボ・ディドリーから大きな影響を受けていることは周知の事実かと思いますが、そのボ・ディドリーのビートをオリジナル作品に取り入れた意欲作が⑧「Please Go Home」。正直、誰もこの作品に注意を払わないかもしれませんが、個人的にはこの曲、ボ・ディドリー・ビート(通称ジャングル・ビート)に乗っけてサイケでヘビーなサウンドに仕上げた佳曲と思ってます。もちろんこのサウンドメイクはブライアン・ジョーンズ。ブライアンはここではメロトロンとテルミンを演奏してます。ワンパターンなドラミングのチャーリーも、ここではヘビーに、かつリズミカルに叩いてますね。アップした映像も、敢えてサイケなものをチョイスしました。

キースのギターがカッコいい⑪「Miss Amanda Jones」。
ストーンズらしいロックンロール。イントロのギターリフからカッコいい。ソウルフルなオルガンはゲスト参加のイアン・スチュアートのプレイです。これも隠れた名曲。

ミック&キースの作品なのに、ブライアンのための曲のように聴こえるのが⑫「Something Happened to Me Yesterday」。
これもまたストーンズらしからぬ陽気な楽曲(アップした映像はチャップリンの映画でしょうか、曲とは関係ないのですが、妙に曲と合ってますね)。これこそブライアンの力量が発揮された1曲。もともとブライアンはサックスも吹けたようですが、ここではすべての管楽器をブライアンが吹いてます。ストーンズの中では異分子になりかけていたブライアンですが、こうしてバンドの創始者として、曲は作れなくても、いろいろな貢献をしてきたんですね。

本作発表後、1967年2月、ブライアンは恋人のアニタと気の合う仲間だったキース、運転手の4人でモロッコへバカンス旅行へ向かいます。ところが途中でブライアンが体調不良で入院してしまい、3人に先に行ってて欲しいと申し出ます。アニタとキースはもともと何となくイイ感じだったと思われますが、それすら気付いてなかったブライアン、案の定、車中、キースとアニタはイイ関係になってしまいます。旅行途中でブライアンは彼等と合流するも、ドラッグ漬けだったブライアンにアニタはすっかり嫌気が差し、ブライアンをホテルに残して、皆、ロンドンへ戻ってしまいます。バンド内での孤立、そしてこうしたプライベート面でも孤立していくブライアン…。負のスパイラルという感じですね。

次作「Their Satanic Majesties Request」では更にストーンズは実験色を深めていきます。

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