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Ben Sidran「Feel Your Groove」(1971)

私の大好きなベン・シドラン。特に70年代の彼のアルバムはハズレがありません。本作は彼のデビューアルバム。

1962年、ベンがウィスコンシン大学の学生の頃、偶然同じ学生だったスティーヴ・ミラーとボズ・スキャッグスに出会います。3人はグループを結成しますが、程なくして解散。ベンはスティーヴ・ミラー・バンドに加入しますが、後に英国へ留学。英国で本作のコンセプトを練り、1971年、本作発表に至ります。

私のベンに対するイメージは、クールなジャズ・フュージョン、小粋なミュージシャンといったものですが、このデビューアルバムは実に熱いです。
冒頭①「Leo's My Name」は自己紹介的なナンバー。
場末のバーでピアノを弾き語っているといった雰囲気ですね。ちなみにベンの息子の名前もレオ。
こうした曲をデビューアルバムのオープニングに持ってくるセンス、なかなかですね…。

ちょっとジャージーなリラックスした雰囲気の余韻冷めやらぬ中、②「Poor Girl」へ突入。
コレ、思いっきり黒いですね~。ベン流ファンク。しかもドラムがツインで重い! ドラマーはジム・ケルトナーと先日ご紹介したゲイリー・マラバー(スティーヴ・ミラー・バンドのドラマー)。凄いグルーヴ感です。またベンのキーボードもスティーヴ・ウィンウッドのように唸ってます。
そしてこの曲のギターはジェシ・デイヴィス。文句のつけようがありません。

④「About Love」はクールなソウル・ジャズ・ナンバー。本作は1971年発表ですが、現代にも通じる音で、全く古さを感じさせませんね。

⑤「Feel Your Groove」は1976年発表の「Free in America」の冒頭1曲目でセルフカバーされていた楽曲。クレモンティーヌの「CLEMENTINE SING BEN SIDRAN」でもカバーされてました。
後半はちょっとクールなグルーヴ感を聴かせるインストです。盟友ボズ・スキャッグスがギターで参加。また印象的なストリングスアレンジはニック・デカロです。

⑩「The Blues in England」では珍しく、ベンのシャウトが聴けます。
彼のヴォーカルはどちらかというと投げやりでクールな印象なんですが、この楽曲については熱いものを感じさせます。題名の通り、ベン流ブルース。熱いギターはピーター・フランプトン。ピーターは当時はハンブル・パイに在籍してました。そしてドラムはなんとチャーリー・ワッツ。言うまでもなくローリング・ストーンズのドラマーです。ジャズ好きなチャーリーとは気が合ったようですね。

デビューアルバムにして既に崇高なアルバムを発表してしまったベン・シドラン。凄いですね。裏ジャケの花瓶には「Dr.Jazz」と記されてますし、当時発刊されたベン著の「Black Talk」も載ってます。この「Black Talk」は未だに大学のジャズ史講座に教材として使われているそうです。博学なベン、その音楽にはその才能が垣間見られます。

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