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音楽の杜がおススメする70年代洋楽

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人生の大半を音楽に注いできた「音楽の杜」がおススメする洋楽アルバム集
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#1973年

Beck Bogert & Appice 「Beck Bogert & Appice」 (1973)

こちらにはエキブロに綴っていた過去記事を引っ張ってきており、すっかり邦楽中心になってしまってますが、私の大好きな領域は60~80年代の洋楽。特に70年代の洋楽って、かなり「いい音楽」が埋もれてしまってます。そろそろそっち中心の渋い音楽をアップしていきます。 今、同時進行で聴いているアルバムが5,6枚あるのですが、その中でも特に気に入っているのがBBA。ベック、ボガード&アピスですね。個人的にはフュージョン化する前の、ハードロックなジェフ・ベックが大好きで、なぜかこのアルバム

Tom Waits「Closing Time」(1973)

トム・ウェイツ。息の長いアーチストですね。個人的にはあのヴォーカルスタイルが馴染めず、彼のアルバムは永らく未聴となってましたが、今回これを機に、イーグルスの名曲「Ol' '55」のオリジナルヴァージョンが収録されているデビューアルバムを聴いてみました。 プロデュースは意外にもジェリー・イェスター。元ラヴィン・スプーンフルのメンバーで、ポップス寄りのイメージがありますね。トム自身はこのシブいアルバムを「もっとジャズ寄りにしたかった」とのこと。ジェリーのプロデュースが意外なんで

Tower of Power「Tower of Power」(1973)

ドゥービー・ブラザーズのコンサートの余韻が冷めません。まだまだ来日中の彼等。いい演奏を聞かせてくれるものと思います。 さて今回の来日メンバーですが、ベースのジョン・コーワンやサックスのマーク・ルッソ、ドラムのエド・トスがかなり頑張っていた印象です。ジョンは自身のバンドでも来日していた実績あるミュージシャン。彼がコーラスに加わっていたことで、かなり厚みのあるハーモニーが楽しめました。そしてマークは80年代前半にタワー・オブ・パワーに在籍していた名手。マークが在籍していた頃のタワ

Sly & the Family Stone 「Fresh」 (1973)

スライ&ザ・ファミリー・ストーンのアルバムというと、個人的には1971年発表の「There's A Riot Goin' On」でスライは燃え尽きた印象があって、次作にあたる本作は全くスルーしておりました。ところが今回、縁あり本作を購入。そのファンクな作風に、本作こそ彼らの名作!と思った次第。 本作ではベースがラリー・グラハムから当時若干19歳のラスティ・アレン、ドラムがグレッグ・エリコからアンディ・ニューマークに交替。リズム隊が一新されております。アンディは既にカーリー・

Paul Simon「There Goes Rhymin' Simon」(1973)

このアルバム、サイモン&ガーファンクル解散後、ポール・サイモンのセカンド・ソロアルバムとして、1973年に発表された名作です。 米国のゴスペルグループ、ステイプル・シンガーズのヒット曲「I'll Take You There」(以下YouTubeご参照)の演奏にポール・サイモンは興味を持ち、スタックス・レコードの社長へ連絡。ポールはその演奏がマッスル・ショールズのミュージシャンであることを知ります。 マッスル・ショールズの演奏と聞くと、ディープソウル系の音を連想しますが、

Led Zeppelin「Houses of the Holy」(1973)

レッド・ツェッペリン、5枚目のアルバム。邦題「聖なる館」。私の中では地味な印象のアルバムでした。何といってもその前に発表されている4枚のアルバムがロックしていてカッコ良すぎたので…。 本作は賛否両論あるアルバムなのですが、この歳になって改めてじっくり聴くと、様々な音楽に挑戦し、かつZEPらしさも失っていない素晴らしいアルバムであることが今更ながらに認識させられました。 ストレートなロックの①「The Song Remains the Same」。 従来のZEPロックを踏襲

Steely Dan 「Countdown To Ecstasy」(1973)

本作はスティーリー・ダンのセカンドアルバムです。シングルヒットがないこともあり、ファーストアルバムほどヒットはせず、彼らのアルバムの中では地味な存在のアルバムです。あんまり聴いたことがない…って方も多いと思いますが、既に後のスティーリー・ダン的な片鱗が見られたりと、やっぱり味わい深いアルバムなんです。 バンドを意識した曲作りをした、と後にドナルド・フェイゲンが語っていたような記憶がありますが、本作ではドナルド・フェイゲンにウォルター・ベッカー、ジェフ・バクスター(G)、デニ

The Band 「Moondog Matinee」 (1973)

ザ・バンドは1968年のデビューアルバム「Music From Big Pink」発表以来、一貫してアメリカのルーツミュージックを追及する姿勢を崩さず、ミュージシャンズ・ミュージシャンとして、玄人受けするような音楽を演奏し続けてきました。そんな彼らが、過去の影響を受けた楽曲をカバーしたのが本作。 本作は、1972年、ずっとツアーに明け暮れていた彼らが、年が明けた1973年に断続的に収録してきたもので、同年11月に、彼らの5枚目のスタジオ作品として発表。如何にも彼等らしい、マ

The Who「Quadrophenia」(1973)

とても重厚かつソリッドな演奏が堪能できるザ・フーの歴史的名盤のコンセプトアルバム。 1965年のイングランドが舞台。ジミーというモッズ少年が主人公。彼の4つの人格をモチーフとしたコンセプトアルバムで、後に「さらば青春の光」として映画化もされてます。 ホーンやシンセも導入されてますが、基本はピートのギター、ジョンのベース、キースのドラムの3ピースが基本。たった3人でコア部分を演奏しているとは思えない重厚感。そこがザ・フーのスゴイところです。 またこのジャケットも素晴らしい。

Billy Joel 「Piano Man」 (1973)

ビリー・ジョエルといえば70年代以降に大成功したシンガーソングライターとして有名だし、「Stranger」に代表されるようなニューヨーク・サウンド(というような音楽ジャンルはありませんが)のイメージが強烈ですが、今回ご紹介するのは、そのビリーの成功前夜のアルバムです。 ビリーは1971年にアルバム「Cold Spring Harbor」でデビューを果たしますが、これが全く鳴かず飛ばず。またこのアルバムはビリーの声を加工するため、勝手に録音テープの回転速度を若干上げた形で発表

George Harrison「Living in the Material World」(1973)

ジョージ・ハリスンが亡くなられて早20年も経つのかと、ちょっとビックリしました。命日は29日ですね。また奇しくも今年1月にはジョージの「All Things Must Pass」をプロデュースしたフィル・スペクターがコロナで亡くなってますし、久しぶりにジョージに思いを馳せております。 後追い世代の私は、ジョージのソロより先に、ビートルズのジョージから先に認識。ビートルズにおけるジョージのインド音楽(いくつかありますよね)は全く苦手でしたが、それ以外のビートルズのジョージの楽

Jim Croce「I Got A Name」(1973)

チャーリー・ワッツの死は、改めてストーンズ・サウンドの要がチャーリー(とビル・ワイマン)だったことを感じさせる出来事でした。亡くなられて改めて分かることって結構あると思います。 最近ジム・クロウチの「I Got A Name」を聴く機会があり、ジムも(私はリアル世代ではありませんが)そんな方だったのではないか、と想像しております。 昔、ある方のブログに以下のようなエピソードが記載されてました。 エリートサラリーマンの道を捨て、自分のやりたい事を成し遂げるため、単身渡米…。数

Focus「Focus At The Rainbow」(1973)

皆さんのなかで、どれだけフォーカスというバンドのことをご存知の方がいらっしゃるでしょうか。私自身も、オランダのプログレ・バンドで、意外とロック寄りのカッコいい曲を演奏していた・・・という程度の知識しかなく、なぜか大昔にチラッと聞いたと思われる本作が、かなりイイ作品だったという記憶だけが鮮明に残っていました。 そして今回、聴く機会があり、改めてユニークなバンドだったんだなあと思った次第。 フォーカスは1969年に結成されたオランダのプログレバンド。テイス・ヴァン・レール(Vo

Gene Clark「Roadmaster」(1973)

ジーン・クラークをご存じでしょうか。あのザ・バーズの中心的メンバーでありながら、2枚のアルバムに参加しただけで脱退。ライブではタンバリンを叩いてた男。でも実際は優れたソングライターでもありました。 ジーン・クラークのソロというと1971年発表の「Gene Clark」、通称「ホワイト・ライト」とも呼ばれているアルバムが有名ですね。 このアルバムの評価に気をよくしたジーンは翌年から次作に向けたレコ―ディングを開始するのですが、その制作に時間がかかり、コストが嵩んできたことから